車の知識を飛躍的に高めてくれたイギリスの国営放送Top Gear
人生の分岐点は高校生だった
以前、自己紹介でも述べたが
私は高校生の中盤くらいから車の世界にどっぷり浸かるようになった。
当時私立高校に通っており、
その高校生活の部活動で出会ったある2人の部員からの影響が私の人生にとって大きな変化を与えた。
高校2年の時は17歳の頃だったろうか、まだ中学生の名残りでカードゲームやPSPをやっていたと思う。
特に好きな物は無く、趣味は釣りといったところの冴えない高校生だった。
そして部活動で出会ったその2人はいつも車の話ばかり。
このエンジンの音が良い、デザインが完璧やダクトの形状がエグいなど。
こういった言葉しか言ってないんじゃないかと思うほどだった。
特にフェラーリが大好きで1人は将来F430 スクーデリアに乗ると豪語して、
もう1人はフェラーリ 458イタリアを絶対に買うと張り合っていた。
そういった環境下にいるからには、私にもその余波が来た。
「Yuuはどんな車が好きなの?」と質問されたが、
当時は車に関しては興味が無かったので答えられなかった。
ならこの中ならどれが1番好き?と言われ3台の車のポストカードを渡された。
「Audi R8」
「Lamborghini Murciélago」
「Ferrari 430 Scuderia」
の3台でありここで初めてアウディ R8を見て車の世界にのめり込んだ。
アウディR8のバランスの取れたデザインの美しさに感銘を受け、
その日からネットで車を調べるように日常が変化していった。
Top Gearから車の面白さを教えてもらった。
この変化していった日常から車の知識を飛躍的に上げたのが英国のTop Gearという国営放送だった。
ユーモア溢れる3人組で車を紹介していく番組なのだが車に対しての情熱が凄まじい。
車両解説は基本的にカンペを覚えていたらしいのだが、
その表現の仕方が独特で面白く私の頭の中に知識としてドンドン入っていった。
嫌いな車は大嫌い、好きな車はとことん好きと両極端に分かれていて本気で嫌いな車は破壊するレベル。
日本では販売されていないが、
イギリス車のモーリス マリーナという車は何度も被害に遭っており、番組で有名なピアノ落としが印象的である。
マリーナ愛好会が番組に対して尋常ではないバッシングがあったとも言っている。
3人とも知ってると思うが、改めて1人ずつ紹介する。
ジェレミー・クラークソン(Jeremy Clarkson)
言わずと知れたTop Gearの元メイン司会者であり、飛び抜けて頭がおかしい。
身長は196cmと高身長である。
私の身長が172cmに対して30cm定規1つ分くらい身長差がある…
3人の中でも大排気量かつ騒音を掻きたてる車が特に好きで、メルセデスAMGが特にお気に入りだと私は思っている。
印象的な過去の愛車を2台紹介する。
・2008 Mercedes-Benz CLK63 AMG Black Series
・Alfa Romeo GTV6
2008 Mercedes-Benz CLK63 AMG Black Series
2015年に売却してしまったらしいが、番組内でもこのCLK63 AMGを賞賛していた。(シリーズ11 エピソード02)
実際に所有していたCLK63 AMG ブラック シリーズは、
新車時に英国へ到着した右ハンドル仕様の 25 台のうちの 1 台となり超希少車だった。
因みに現在のレートでは約2,000万円。
以下スペック表になるが、現在のスーパーカーとも比べても充分過ぎるスペックになる。
●全長×全幅×全高:4657×1833×1365mm
●ホイールベース:2715mm
●車両重量:1760kg
●エンジン:V8DOHC
●排気量:6208cc
●最高出力:507ps/6800rpm
●最大トルク:630Nm/5250rpm
●トランスミッション:7速AT
●駆動方式:FR
●最高速:300km/h
●0→100km/h加速:4.3秒
最大トルク630N・mの力が全て後輪のみに伝わる事になり、これは間違いなくタイヤ破壊マシーンの1台だ。
クラークソンはメルセデス・ベンツ CLK63 AMG ブラック シリーズを、
「この車はまさに悪魔的だ」
「高速での走りは更に凶暴性を増している」
とコメントしている。
そして余りにも速過ぎる為にメルセデスから警告書が出させるほどだと言う。
「オイルを温めてから運転すること」
「ドライ以外の路面状況ではトラクション・コントロールを使用すること」
しかし、こういったクセのある魅力的な部分がある反面で日常的な使いづらさやトラブルも付き物だったらしい。
日常的な使いづらさとして、
先ずシートベルトを締めるのが大変であり、
冬には厚着でのシートベルト着用が不可能とのこと。
日本人とイギリス人では体格差があるが、
太った人を乗せるにはシートのホールド性が高過ぎて難しいなど。
最大の問題として乗り心地が劣悪らしい。
CLK63 AMG ブラック シリーズの事を拷問器具と表現している。
そのくらいイギリスの一般的なの道路でも耐えることが出来ない。
あまりに酷すぎる乗り心地の為にフューエルゲージが減るのを心待ちにしているくらいだ。
しかし、これらを踏まえた上でもパワーとデザイン、悪魔的な様なハンドリングがアドレナリンを放出するとコメントしている。
確かに見た目はやる過ぎと言って良いくらいホイールアーチが膨れており、ブレーキシステムを冷却する為のものだろうが現代では中々見ないデザインだ。
クラークソンは最後にこの言葉を残してCLK63 AMG ブラック シリーズを賞賛していた。
「この車がない人生など、完璧とは言えないのではないだろうか。」と。
そしてジェレミー・クラークソンと言えば、
アルファロメオだ。
無類のアルファロメオ信者と言ってもおかしくない程にアルファロメオを贔屓する。
アルファロメオの中でクラークソンは特にこの2台を心酔している。
Alfa Romeo GTV6
私もGTV6のデザインが好きであり、デザイナーは初代フォルクスワーゲン手掛けたジョルジェット・ジウジアーロである。
直線的なデザインを車を生み出す天才でGTV6にも随所に現れてる。
しかし、クラークソンは間違いなく世界で酷い車の候補として挙げている。
理由として車両トラブルが無限に出てくるという。
・走行中にギアレバーとギアボックスを繋ぐロッドが外れてプロペラシャフト上に落ちた。
・後輪がロックしてスピンしまくる。
・走行後にクラッチペダルと運転席の間に棒を挟まないとクラッチディスクがフライホイール等の熱で焼き付き固着する。
・雨漏れがする
番組中でもアルファロメオのささいな欠点にこだわるのはよそうとカバーしているが、
運転していて全く快適では無いと不安を言っていた。
それでも他のどの車よりも美しく、最高のエンジンサウンドを奏でるという。
「V6エンジンからの唸り声はトンネル内で4,000 rpmに回転数を上げると、どんな音楽よりも朗々としていた。まるで天使に魂をなめられたような気分だった」と表現している。
ジェームズも同様に史上最高のエンジンの1つと言っている。
柔らかく滑らかで、ただの排気音ではなく本物のエンジン音なのだと。
以下スペック表である。
●全長×全幅×全高:4260×1665×1300mm
●ホイールベース:2400mm
●車両重量:1210kg
●エンジン:V8DOHC
●排気量:2492cc
●最高出力:160ps/6000rpm
●最大トルク: 21.7kg・m/4000rpm
●トランスミッション:5速 MT
●駆動方式:FR
Alfa Romeo 4C
2014~2020年まで販売され、アルファロメオの中で最も存在感のある車だった。
4Cが登場するまでの数十年はアルファロメオを象徴する車といえば……と言葉に詰まる様な感じだった。
確かに車を見ればアルファロメオと直ぐに分かるのだが、
アルファロメオの本質をそのまま体現したかと言われるとそうでもなく、
元気がある様で無いブランドに私は見えていた。
そういった中での4Cの登場に驚いたのを覚えている。
実際に見たのは東京モーターショーだっただろうか。
エクステリアデザインが奇抜でヘッドライトの形状には鳥肌が立ったくらいだ。
車高は低く車幅も巨大で一際目立っていた。
クラークソンは4Cでロンドンを走ることで、車に興味の無いイギリス人を振り向かせる事が可能だと言っている。
会社から出てきた女性が歩道の真ん中で4Cに見惚れて立ち止まり、そして隣に止まった車からは拍手が送られバスの乗客はスマホのカメラを起動するに違いないと。
そして実際に4Cを運転していたクラークソンは、これ程までに羨望の眼差しを受けたことはない。
まるでガンジーとダイアナ妃が合わせて転生したかのようだったと。
そして人々がアルファ4Cを気に入る理由は単純だという。
「4Cには乗る度に新たな一面を見せ、カーボンファイバーのシンフォニー、バランスの極み、このキュートで脅迫的ではないミニフェラーリには全てアルファの想いが詰まっている」
だから皆も虜になるはずだと。
しかし、良い所ばかりではないのがアルファロメオである。
いくつかの問題があるとクラークソンは言う。
番組内でもリチャードとジェームズが言っていたが、1000万円近い車が回転式の暖房スイッチ、プラスチックの多用での内装が安っぽくパネルの音が何とも言えない。など言いたい放題だった。
実際のクラークソンも
・車幅が広い。
・ギヤボックスの変速が鈍い。
・スポーツエキゾーストのシステムの音がうるさ過ぎる。
・燃料タンクが小さい。
他にも、
・トランクリッドが上がった状態で後方視界は皆無、ステアリングは鉛の様に重い。
・走っているとドアの下から隙間風が入ってくる。
・たまに車体が左右に大きく振れるのも恐怖でしかない。
・インテリアに高級感は一切感じない。
・走っていると数十分も経たない内に足が攣るとも。
だが、ここまで不満が多く欠点があろうとも我が子のというのは愛しいものだと言っている。
アルファには他の自動車メーカーが1972年にとうに解決したような問題が山積になっている
にもかかわらず、クラークソンは4Cを愛している。
私もこの以下の言葉に賛成だ。
「デザイン共に仕上がりが完璧で、電気系統やサスペンションも完璧な車はただの人間を目的地に運ぶ機械に過ぎない。」
車の本来の存在価値はAからB地点への目的地に人や物資を快適に運ぶ目的に作られている。
その目的を果たす車のみで、ヤンチャな車やドライバーを試す車、人馬一体となる車が存在していなければ今の私は他の仕事に就き他の趣味を持っていると思う。
その中でも4Cは ドライバーの意思を無視して自分の行きたいと思う場所へと導いてくれる人間のようだと表現し、以下のように最終評価していた。
と、クラークソンは4Cを評価していた。
こういった風に1台1台を丁寧に?わかりやすく車を紹介してくれるお陰で私の車に対する知識や好奇心を飛躍的に上げてくれた。
少なくとも私は全シリーズを3~4回は見直している。
気になった方はAmazon primeや Hulu、U-Nextで見れるので是非一度でも良いので見て欲しい。
因みにどのシーズンも面白いが、私のオススメはシーズン19 のエピソード2だ。
ジェレミーがレクサスLFAに対して本気で向き合った内容になっている。
●全長×全幅×全高:3990×1870×1185mm
●ホイールベース:2380mm
●車両重量:1050kg
●エンジン:直列4気筒DOHC16バルブICターボ
●排気量:1,742cc
●最高出力:240ps/6000rpm
●最大トルク: 35.7kg・m/2100~4000rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:MR