自動車はいずれ全てが…ジャガーが内燃機構を完全廃止し電動化へ。
まさか本当に終わってしまうとは…
以前から気になっていたが、ジャガーが本格的に電気自動車への移行を示してしまった。
電気自動車の中で私は、
中国のBYD、アメリカのテスラがほぼEVマーケットを占めており、それ以外ではメルセデスのEQシリーズ、日産アリアの勢いが良いと思っている。
特にBYDは2023年の上半期の業績が絶好調である。
BYDが新車販売初のトップ10 世界1〜6月、EVけん引 – 日本経済新聞 (nikkei.com)
上半期の純利益が前年同期の35億9000万元(現在のレートで735億円)に対し、109億5000万元(約2243億)になったと発表した。好調なEV販売の恩恵を受け、売上高は73%増の2,601億2,000万元(約5兆3291億)となっている。
そもそも中国では日本とは比べ物にならない程にEVが栄えており、2023年上半期には世界のEV販売の55%、合計340万台を占めた。
更に2023年上半期の世界販売台数はメルセデスやBMWを追い越し、テスラには40万台近く差が付いている。
あと数年も経てば、ホンダとスズキは抜かれ日本の自動車産業が中国に抜かさせる日も遠くはないと思う。
そして、BYDの強みは価格の安さが他のBEV車(電気自動車)より群を抜いている。
DOLPHIN(ドルフィン)は新車販売価格が約363万円~ となっている。
BYD DOLPHIN(ドルフィン)を東京都品川区での購入の場合は、
CEV補助金の最大65万円
東京都の補助金は60万円
品川区の補助金は0万円
となり最大125万円の補助金を受け取れる。
(因みに葛飾区の場合は最大25万円の補助金が追加される)
補助金を引いた車両価格は238万円となり、
ここにオプション価格やローン金利を加えても300万円程で新車の電気自動車が手に入る。
(因みにフォルクスワーゲン ID.4は約700万円オーバーである。)
こういった状況で中で、ジャガーがどういった電気自動車を展開していくかが気になるが、現在販売しているIペイスについて詳しく見ていきたい。
ジャガー Iペイス
現在Iペイスの2024年モデルはオンライン販売での受注生産となっている。
これはテスラ同様に受注から納車までの工程をスマートフォンで済ませる事ができるので、大幅にコストが削減する事が可能になる。
Iペイスは2018年の9月からデビューしており、ドイツ車より早く電気自動車に先入した。
ジャガーにとっては初の完全電動SUVではあるが、設計はドイツ人で、製造はオーストリアで行われている。
諸元表は以下の通りになる。
全長×全幅×全高 | 4695×1895×1565m |
車両重量 | 2,230kg |
バッテリー | 90kWh |
最高出力 | 400ps(294kW) |
最大トルク | 696N・m |
駆動方式 | 電動モーター ×2 全輪駆動(AWD) |
総排気量 | 0cc |
モーター | 交流同期電動機 |
充電最大走行可能距離 | 438km |
最高速度 | 200km/h |
0-100km/h 加速 | 4.8秒 |
価格 | 1,517万円~ |
Iペイスはデビューから5年経つが、最大走行距離可能距離は438kmのままである。
(エントリーモデルのSから最上級モデルのR-ダイナミック、全グレードモデルが全て同じバッテリーユニットである)
そして現在新車注文出来るのはR-ダイナミックのみであり、値段は1,517万円と非常に高価である。
価格帯ではテスラのモデルXと近い金額だが、
車両サイズで見比べてみるとモデルYがライバル車と私は思う。
テスラ モデルY
テスラ モデルYの諸元表は、
全長×全幅×全高 | 4760×1925×1625mm |
車両重量 | 2,000kg |
バッテリー | 75kWh |
最高出力 | 351ps(235kW) |
最大トルク | 660N・m |
駆動方式 | 電動モーター ×2 全輪駆動(AWD) |
総排気量 | 0cc |
モーター | 交流同期電動機 |
充電最大走行可能距離 | 595km |
最高速度 | 250km/h |
0-100km/h 加速 | 3.7秒 |
価格 | 727万円~ |
となり、先ず目に付くのがIペイスの半値でほぼ同スペックのモデルYが購入出来てしまうところだ。
0-100km/h 加速では圧倒的にモデルYが優勢だ。
この3.7秒台のスーパーカーは、
レクサス LFA
ジャガー Fタイプ SVR
アストンマーティン DB11 (V12)
と同じ加速であり、驚きを隠せない。
スペックではIペイスの方が全体的に高いが、車両重量が230kgとやや重い為に加速時の差が開いてしまった。
そして、Iペイス及びモデルYの充電時間に触れてみる。
充電方法の比較は「CHAdeMO」(チャデモ)という日本発の急速充電である。
このCHAdeMOの名称には、
「CHArge de MOve = 動く、進むためのチャージ」、「de = 電気」、「(クルマの充電中に)お茶でも」の3つの意味を含んでいて、2014年4月に開催されたIEC(国際電気標準会議)において、電気自動車用急速充電規格の国際標準の一つとして承認されている。
Iペイスは、左フロントフェンダーに日本市場向けのCHAdeMO(チャデモ)の急速充電用ポートがあり、
右フェンダーに普通充電用のポートがある。
対するモデルYの充電ポートは、テスラ独自の規格となっている。
その為、モデルYには、CHAdeMO規格のアダプターはそのまま接続する事はできない。
国内に設置された急速充電器(CHAdeMO)は約9,600基、普通充電器が22,000基が設置されているが、テスラのスーパーチャージャーは396基となっている。
遠出する時などCHAdeMOを利用する可能性が高くなるので、テスラからは専用のアダプターが販売されている。
(2年前は51,000円となっていたが、現在は81,000円もするらしい…)
両車のCHAdeMOでの充電時間は、
Iペイスが約1時間25分、モデルYが約1時間30分となっている。
価格、最大走行距離、最高速や加速において全てモデルYより劣勢なIペイスだが、
エクステリアやインテリアに関しては私はモデルYに勝ち目がないと思っている。
特に特徴的なのがボンネット上のエアロブリッジがグリルからの空気をフロントガラスやルーフラインに効率よく流すように導いて、
その空気は車のフード下の空調システムやバッテリー冷却システムにも供給される。
更にこの設計により、IペイスはFペイスやXF,XEとフロントデザインを共有しながらも、空気抵抗係数がわずか 0.29 と低く抑えられている。
Iペイスは2019年の
ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー賞、
ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー賞
ワールド・グリーンカー賞
の受賞車であり、15年にわたる自動車賞の歴史の中で、3つの世界自動車タイトルを獲得した初のモデルである。
その素晴らしい功績を受賞したIペイスのデザインに強い魅力を感じていたのだが、その理由が分かった。
Iペイスを設計したのは、
イアン・カラムであると知った時に、
「だから惹かれたのか。」
と納得してしまった。
私はフロントも素晴らしいが特にリアデザインが気に入っている。
Iペイスの角張ったリアデザインを見ると、大袈裟ではあるが1990年代のジャガー XJのリアが浮かび上がってくる。
そしてイアン・カラム自身も、
ジャガー車の設計はおそらく世界で最高の仕事であり、
これまで私が携わったプロジェクトの中で
I-PACE ほどやりがいのあるものはなかったと正直に言えます。
電気自動車は、設計者にプロポーション、
プロファイル、パッケージングを再考する前例のない自由を提供し、
私のチームはこの機会を最大限に活用しました。
2019年のワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー賞
ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー賞
ワールド・グリーンカー賞
の受賞は、彼らの功績が真に評価されたものです。
と述べている。
インテリアはテスラほど未来志向ではなく、エクステリア同様にFペイス、XF,XEの延長線上の様に感じるが、センターコンソールは肉抜きされてスッキリした印象である。
(ジャガーではXJのインテリアが1番好き)
エアコン操作は全てタッチパネル式ではなく温度調整、風量はダイヤル式となっている。
ステアリングスイッチに関しては、嫌な予感がするので触れない。
Iペイスは質感や見た目が素晴らしいが、
世界的の認知が低いのが勿体ないと思う。
(YouTubeやネットでの記事が本当に少ない)
どのブランドよりも先駆けて電気自動車を発表したが、今ではテスラ、アウディ、メルセデスベンツといった巨大ブランドが日本市場を占めてしまっている。
更にBYDも本格的に参入してくるとなると、ジャガーはIペイス以上に魅力的な電気自動車を誕生させないと生き残る事は難しいと思う。
今後この競争にいかに喰い付いていけるのかが非常に気になるので、
陰ながら応援したいと思う。