東京オートサロンの盛り上がりが凄い。マセラティMC12やロータス エミーラなど見応え満載だった。(前編)
こんなにも人混みに揉まれるとは…
東京モビリティショー2023に続いて、先日東京オートサロン2024に行ってきた。
9:00から開催という事だったので、開場前の40分程早く行けば余裕で前列付近で開場待ちが出来ると思っていたが完全に甘かった。
幕張メッセは人で溢れ、朝早くから並んでいるであろう前列はメッセ内で暖かく開場待ちが出来るのに対して、私は外で寒空の下ひたすら開場を待つ事になった。
そして開場されるや否や入場口を間違えた事に気づいた…
今回の目的はマセラティMC12であり、展示されているブースは東エリアにあるので早々に失敗してしまった。
オートサロンには魅力的な輸入車が多く展示されていたが、台数が多過ぎるので特に気になった車両を抜粋して紹介する。
ROBERUTA
時間が経つにつれ人が多くなるので、早歩きでMC12が展示してあるROBERUTAブースへ向かった。
ROBERUTAとは、サスペンションにリフター機構を取り付けるシステムを提供している会社である。
約1秒という非常に早いスピードで、最大90mmの車高上昇が可能になる。
このシステムを取り付ける事によって段差時のフロントバンパー下部やフロントリップを擦るリスクを格段に減らす事が出来るシステムで、
このロベルタリフターシステムはノーマル車両を基本設計とし、車検の方は問題なくクリアできる。
またロベルタリフターシステムには、最上位モデルの「エレクトリック(電磁式)と標準仕様の「メカニカル(機械式)」が用意されている。
リフターシステムには、チタン合金・ジュラルミンを使用しているとあるが、チタン合金は幅広い温度下で安定した強度で軽くて強く、サビにくいなどの特徴を持っている反面コストが高く、加工が難しい特徴もあるという。
ジュラルミンが用いられる物として、アタッシェケース(ジュラルミンケース)の素材が有名である。軽量ながら強度が高いという特性を持ち、表面にできる酸化皮膜のおかげで、チタン合金同様にサビに強い特徴がある。
この両方の金属の特徴を活かし、加工が難しいともいわれる問題をクリアしたのがロベルタリフターシステムになる。
ロベルタリフターシステムには2種類あり、ロベルタリフターシステム・エレクトリック(電磁式)は、リフトストロークとスピーディなレスポンスが最も優れているの最上位モデルあり、走行中も上げ下げが可能であり、
リフターの作動状況は音とインジケーターで確認することができる。
主なシステム内容は、リフターユニット本体と配管・配線類に、メインコントロールモジュール、2個の小型リモートスイッチになり、車体に加工を施すことがないのが何よりも最大の利点である。
続いてロベルタ リフターシステム・メカニカル(機械式)になるが、こちらはシンプルかつ高機能な構造で必要十分なリフター機能を加えることができる標準モデルとのこと。
リフターの作動は徐行速度までの範囲内で行なうことが可能であり、メカニカル(機械式)のリフター操作はエレクトリック(電磁式)のメインコントロールモジュールおよびリモートスイッチが付属しない為、シンプルな車内固定式ボタンで車両のリフトアップとダウンを操作する。
シンプルかつ高機能で多くの車種に対応する事が特徴的でメカニカルの取り付けには一部加工が必要らしい。
実際のグランカブリオの動画になるが、動画を見るとかなりのリフトアップ効果が得られるのが確認できる。
このリフトアップ量であれば大抵の段差は問題なくクリア出来そうなので、お金があれば是非取り付けたいシステムになる。
因みにアストンマーティン DB9はエレクトリックフロントリフターシステム(電磁式)+車高調付きで1,171,500円+税となり約129万円に取付工賃が掛かるのでおおよそ140万円で取り付けられそうだ。
DB9に乗っていた時は、純正車高で段差に悩まされた時が何度もあったので車高調も付くとなれば一石二鳥であり、私の経済的事情が飛躍的に上昇すれば必ず取り付けたいシステムだ。
前置きが長くなってしまったが、そのフロントリフターシステムを提供しているROBERUTAのブースにてお目当てのMC12を見ることが出来た。
マセラティMC12と聞くと、思い浮かんでくるのがエンツォ フェラーリである。
見た目が似ている点もあるが、この両車に共通しているのはエンジン、フロントウィンドウ、シャシー、ドライブトレーンである。
2002 年からフェラーリはエンツォを 400 台製造したが、著名なオーナーには F1 チャンピオンのミハエル・シューマッハ、エリック・クラプトン、さらにはローマ法王ヨハネ パウロ2世が所有している。
マセラティMC12は上記の構成部品を共有しフェラーリがエンツォの生産を中止した2004年のジュネーブモーターショーでMC12を発表した。
MC12は工場から出荷された公道走行用の車両は 50 台のみであるため、MC12 の方が希少なモデルではある。
その50台の1台が日本の千葉県に展示してあるのだから、見に行かない訳にもいかない。
極めて異質なデザインを持つ車が生まれた年でもある 2000年代初期のスーパーカーは、
フェラーリ エンツォを筆頭にマセラティMC12、ブガッティ ヴェイロン、ポルシェ カレラGT、メルセデスベンツ SLRマクラーレンなどが生まれている。
そんな恐ろしい2000年代の中でも、地味に存在を知られていない事が多いマセラティMC12を紹介していく。
初めに、マセラティMC12をデザインしたフランク・ステファンソン氏の話によると、
このデザインプロジェクトは、レースカーと公道走行可能車を並行して進めて行くという点で特別な企画だったという。
僅か4 か月の作業の結果、
ステファンソン氏はこのスケジュールを「前代未聞」と呼んでいたそうだ。
開発チームはレギュレーションを満たすために週休0日の週7日間勤務という日々を繰り返し全力で取り組んだと述べている。
マセラティMC12を開発する目的はFIA GT チャンピオンシップに出場することが前提であった。車には空気を効果的に送り込み、ダウンフォースを生成し熱を放散できるボディが必要であるが、世界耐久選手権のほとんどの車はレース用に改造されたレースカーとは異なりMC12 はその逆だった。最初からレースカーとして製造されたのが特徴的な車である。
当時はエンツォを改造したものだと非難される人もいるが、MC12の開発責任者フランク・スティーブンソンはその説明に憤慨し、エンジンとシャシーはフェラーリと共有されているが、マセラティのホイールベースははるかに長く、オーバーハングは延長され、内装は異なり、エンジンはオリジナルのものであると述べている。
以下マセラティMC12の諸元表になる。
全長×全幅×全高 | 5,143×2,096×1,205mm |
車両重量 | 1,355kg |
エンジン型式 | F140B |
最高出力 | 632ps |
最大トルク | 652N・m |
エンジン種類 | 自然吸気 12気筒 |
総排気量 | 5,998cc |
トランスミッション | 6速セミAT |
そしてFIA GT チャンピオンシップに参戦するに当たってオーバーハングの長さがレースカーにとって問題になった。
最初の 25 台の長さは 5,150mmであったが、FIA がMC12 がレースに出場予定のシリーズレギュレーションを変更したせいで、全長を 5,000mmに制限した。
その結果レースカーもロードカーもすべて150mm短くする必要になり、残りの25台は150mm短いMC12となっているのが非常に面白い。
ROBERUTAに展示されていたMC12はどちらの生産ロットだったかは不明であった。
先程も説明したが、MC12にはエンツォと同様のF140B と呼ばれる 6.0 リッター V12 エンジンを共有しており、最高出力は632PS/7,500rpm、トルクは66.5kg·m/5,500rpmを発生する。
「カンビオコルサ」と呼ばれる6速ATが動力を後輪にのみ供給するトランスミッションと組み合わせられ、ステアリングコラムに取り付けられたパドルシフトによって制御され0-100km/h加速3.8秒、最高速度330km/hという性能を発揮する。
このMC12だが、フェラーリ エンツォよりも車両と車幅が長く、車高が少し高いため、速度が少し遅いという。
以下 フェラーリエンツォの諸元表であるが、
全長×全幅×全高 | 4,702×2,035×1,147mm |
車両重量 | 1,255kg |
エンジン型式 | F140B |
最高出力 | 660ps |
最大トルク | 657N・m |
エンジン種類 | 自然吸気 12気筒 |
総排気量 | 5,999cc |
トランスミッション | 6速セミAT |
エンツォの方が加速は速く、最高速度が高く、ブレーキの制動距離が短い結果が出ている。
最高速度はエンツォが350km/hを出したのに対し、MC12は330km/hにしか達しなかったが、
レーストラックではドライビングレビューの為のテストを受けると、フェラーリよりも速いタイムを記録した。
エンツォの兄弟車である、マセラティMC12には様々な空力処理が施されているのでエクステリアデザインを確認していく。
先ずはフロントデザインから、
レーシングモデルのMC12コルサとは違い、グリルが取り付けられていない。
マセラティの象徴であるトライデントエンブレムの横は空気の流入口となっており、ボンネットに備えられた左右6本のダクトフィンから形成される8本のエアダクトは巨大なダウンフォースとラジエーターの冷却に必要となっている。
更にフェンダー上部にダクトが備えてあり、車両が走行する事によってフェンダーダクトに走行風が当たり負圧を生み出す事ができるので、ボンネット共にフロントのダウンフォースとラジエーターの冷却効率を向上させている。
少し疑問に感じているのだが、公道走行モデルのMC12のヘッドライトが剥き出しになっているのは空力処理の点からどうなのだろうか?
私はヘッドライトカバーを付けた方が空気の流れが良いと思うのだか…
サイドに移っていく。
一目でスーパーカーの中でも車両全長が長い事に気づく。
フェンダー付近にはボンネット固定のスナップ錠が2つ取り付けられている。
フロントフェンダーから抜けたエアがそのままインテークグリルに入るのだろうか?開口部の大きさはエンツォと比べグリルが非常に大きいのが印象的である。
MC12のカラーリングはビアンコフジ(パールホワイト)のボディに車両下部がブルーに塗られているが、1本のコーチラインがまた強烈なアクセントとなっているのがサイドから確認できる。
ホイールはセンターロック式で、タイヤはフロント245/35 ZR19、リア345/35 ZR19となっている。
続いてリアに移るが、
MC12はフルカーボンファイバー車であり、あらゆる路面で最大のダウンフォースを実現するために、完全に風洞内で開発された。
リアの巨大な固定式リアウイングは記憶にも新しいアストンマーティン ヴァルキリー AMR PROを思い立たせた。
加えて究極のダウンフォースを得る為にリアバンパーエリアは廃止され、カーボンディフューザーが4枚設置されている。
中央のインテークダクトもエンツォとは異なり、MC12のみに設けられている。
公道走行モデルでありながらレーシングスタイルを追求したMC12を見に行けたこと大きな収穫であった。
2020年の時点で3億円の価値があると言われているMC12は現在の円安の影響により今は4億円だろうか?
エンジン音は聞けなかったのが残念ではあるが、この貴重な車両を展示してくれたROBERUTA社に感謝したい。
その他には、MC20チェロと、SF90 スパイダーが展示してあった。
Lotus
2017年に中国の浙江吉利控股集団(吉利)がロータスグループを買収したのがまだ記憶の中で新しく残っている。
1986年に誕生した自動車企業の吉利汽車(以下ジーリー)は2010年にボルボを買収し、それまで経営不振だったボルボを見事に立て直して、ボルボは5~6年くらい前のフォード傘下の元で作られていたモデルは何か全体的にパッとしなく日本でも乗っている人は稀であったが、今日では良く見かけるようになり全体的に高級感を更に加えたのがボルボが再復活した要因だと思う。
そしてボルボを見事に復活させたのが、親会社のジーリーであり、今度はロータスを復活させようとしている。
ロータスはスポーツカーを作るのに専念していたが、2021年の販売台数が1566台だったのに対して、2022年は僅か576台という。
これは日本ではなく全世界である。
世界に576台しか車を顧客へ届けられていないとなると、会社を存続させる為の資金を集めるには余りにも低い数字になる。
ロータスは少量生産、軽量、高性能のスポーツカーを製造することで最も幅広く知られている英国の企業だが、現代においてスポーツカーのみでの勝負は余りにも厳しく、これまでのロータスとはまったく異なる新しいモデルが必要になる。
今までのマーケティング戦略から逸脱しているが、頑なにスポーツカーを作っていたら、資金が減っていく一方で利益を上げれない状況が続いてしまう。
会社を生き残らせる為には今のロータスにはSUVが復活の鍵となっている。
その復活の鍵となっている新型エレトレは、中国で生産され、2023年中に米国で発売される予定の高性能電動SUVだ。
以下エレトレ Rの諸元表である。
全長×全幅×全高 | 5,103×2,060×1,636mm |
車両重量 | 2,520kg |
エンジン型式 | 不明 |
最高出力 | 918ps |
最大トルク | 985N・m |
エンジン種類 | 112kWhリチウムイオンバッテリ |
総排気量 | 0cc |
トランスミッション | 前1段、後2段 |
展示されていたエレトレはBase、S、Rの3種類のラインナップの内の最上位クラスのRが展示されていた。
第一印象は、ただひたすらにデカい。これはロータスなのか?と思う程でフェラーリ プロサングエや最近のトヨタ車に似ていた。
ロータスブースに置いてあるのだから、ロータスには違いないのだが、ロータスらしさをこの時点では感じられてはいなかった。
エリーゼやエキシージはロータスのありたい姿をそのまま映し出した姿であるが、
しかし、このエレトレにもSUVながら随所にロータスらしさが表れていた。
エレトレのフロントはスポーツカーで培ってきたエアロダイナミクスが最先端技術によって、更に向上している。
写真だと分かりづらいが、ヘッドライト下部に通気口が設けている。
またフロントバンパー下部はアクティブグリルシャッターとなり、ブレーキが加熱した際に開くという。
ヘッドライトは2段構成であり、上段に備わっているライトがデイライトとウィンカーで下段のライトがロービームの役割を果たしている。
先程のロータスらしさとは、ボンネット部分ににあると私は感じた。
エリーゼやエキシージ同様にボンネットダクトがあり、空力処理が施されボディ周りの空気を整流する。
因みにエレトレのCd(空気抵抗)値は0.26を達成している。比較としてゴルフ8のCd値は0.27である。
サイドはSUVでありながら、綺麗なボディラインが美しい。
ロータス曰く、デザインの特徴的な要素は、
「ポロシティ」
であり、空気は、車を通り抜けるだけでなく、
車の下、上、周囲にも流れるという空力学的な理論だという。
このポロシティはエヴァイヤというハイパーカーのデザインに最も現れているが、このエレトレにも取り入れているという。
実際にフロントフェンダーとフロントドアに隙間があり、空気を整流している穴がある。
リアにも各所に「ポロシティ」の要素を取り入れいる。
Dピラーやテールライト付近にも整流する為のベントがあった。
このエレトレRの最高速度は265km/hであり、0~100km/hは3秒を切って2.95秒である。同じ加速度はランボルギーニ ウラカンSTOやマセラティMC20が上げられる。
車両価格はSが2,332万円、Rが2,585万円となりどちらも私には遠く縁のない車両となっている。
エレトレに続いてスポーツカーのエミーラになる。発表当時からエミーラの存在が気になっており、今回オートサロンで実車を見る事が出来て非常に良かった。
エミーラはロータスの内燃機関エンジンを積む最後のミッドシップエンジン搭載車になる。
そのエミーラが誕生するきっかけとなったのが、電動ハイパーカーのエヴァイヤである。
エレトレでも少し触れたが、エヴァイヤは「Type 130」というタイプナンバーにちなんで130台を限定生産、2020年の間に生産を開始した。
このエヴァイヤを手に入れる為には、車体本体価格の3億円という巨額の金額と予約時に手付金として約3,200万円が必要となっていた。
しかし、その巨額の金額を払って手に入られるのが、4 つのモーターで4輪を駆動させる1,972 psのモンスターマシンになる。
0~100km 3秒以下、0~300km/h 9秒以下、最高速は320km/hとなる。
以下エヴァイヤの諸元表である。
全長×全幅×全高 | 4,459×2,000×1,122mm |
車両重量 | 1,680kg |
エンジン型式 | 不明 |
最高出力 | 2,000ps |
最大トルク | 1,700N・m |
エンジン種類 | 2,000kWリチウムイオンバッテリー |
総排気量 | 0cc |
トランスミッション | シングルヘリカルギヤ式遊星歯車トランスミッション |
そして、このエヴァイヤのデザインを見て分かるが、エヴァイヤのデザインをインスパイアされたのがエミーラになる。
以下エミーラの諸元表となる。
全長×全幅×全高 | 4,413×1,895×1,226mm |
車両重量 | 1,458kg |
エンジン型式 | 2GR-FE |
最高出力 | 405ps |
最大トルク | 420N・m |
エンジン種類 | V型6気筒DOHC24バルブ |
総排気量 | 3456cc |
トランスミッション | 6MT |
エヴァイヤと比べややコンパクトになり、内燃機関を積んでいるエミーラは2.0Lモデルと3.5Lモデルを選択できる。
2.0LモデルはA45 AMGのターボエンジンを流用している。360psを発揮するよう再調整され、AMGの8速ツインクラッチギアボックスと繋がれている為、ATのみの設定になる。
最上位モデルの3.5Lは420psの出力となり、6速MTと6速ATのどちらかを選択できる。
6速MTの場合は、最高速度が288km/hとなり0-100km/hは4.3秒で達する。
比較としてゴルフ8 Rは0-100km/hは6.3秒と公表されている。
エミーラのエクステリアデザインを確認していく。
フロントはエヴァイヤと比べ少し大人しくなっている。
フロントバンパーはエキシージに似たようなデザインとなっているが、新しい空力処理が施されている。
フロントバンパーから取り込んだ空気はラジエーターを冷やし、ボンネットやカウルトップを通り空力性能を高める役割もしている。
ヘッドライトはMC20に近いデザインであり、今までのロータスとは違い縦長の形状となっている。
サイドに移ると、ドアからリアフェンダーまでデザインがエリーゼやエキシージと比べて全く違うことに気づく。。
両車とは比にならない程に抉れており、その先のインテークダクトまで繋がっている。
ホイールは標準で20インチとなっており、フロント~、リア~であり、ドアハンドルは格納式に変更されている。
リアデザインは、エヴァイヤほどのインパクトではないが、十分に他メーカーと差別化できる独自性のあるデザインになっている。
エヴァイヤとエミーラのデザインに関する違いは、エヴァイヤは内燃機関機関を持たないので、フロントからの走行風をドアインテークからリアバンパーへ直接流して巨大なダウンフォースを発生させている。
それに対しエミーラはリアホイールアーチ内の圧力を整流させる効果を発生させている。
インテリアはエリーゼやエキシージのような簡素なイメージはなく、エヴォーラの内装を現代に合わせたシンプルながらもラグジュアリー感がある仕上がりになっている。
私はドライバーズカーであるマクラーレンに近い雰囲気をエミーラから感じ取った。
そして同じエンジン、エヴォーラ由来のシャシーなど、本質的には伝統的なロータスであることを考えると、エミーラはロータスを変えてくれる1台なのかもしれない。
私は現代でもマニュアルトランスミッションを搭載し、車を操作する楽しみを捨てていないロータスを応援していきたい。
Bond Group
次のBondブースは、一際人が集まっていたブースであった。
Bond Groupはスーパーカーやラグジュアリーカーといったプレミアムカーの販売やカスタムが有名なプロショップである。
特にYouTubeのチャンネルが人気であり、現在は約9万人の登録者数で、1番人気の動画は201万再生回数となっている。
そのBond Groupには、まだ日本に輸入されて間もないロールスロイス スペクターと超希少車のメルセデスAMG GTブラックシリーズP One Editionが堂々と展示されていた。
ロールスロイス スペクターは、ロールスロイス初の完全電気自動車であり、世界最高の電気自動車と評価されている。
レイスに続いて、ロールスロイスの2ドアクーペになるが、価格の位置付けとしてSUVのカリナンとファントムの中間に位置付ける。
(おおよそ4,800万円~となっている)
動く高級マンションと言われているロールスロイスだが、スペクターも全くその通りのロールスロイスだと思った。
名前の「スペクター」に関しては007のイメージが強く、やや違和感を感じてしまうが実際はどうでも良い話ではある。
その若干の違和感を感じていたスペクターはBondブースの展示車では一際異彩を放っていたというより、不気味であった。
ダイヤモンドブラックの車体にMV FORGEDのPS0-RRが完璧にマッチしている1台である。
(というよりも似合い過ぎてて非の打ち所がない。)
そんなロールスロイススペクターを確認していく。
以下諸元表である。
全長×全幅×全高 | 5,453×2,080×1,559mm |
車両重量 | 2,890kg |
エンジン型式 | 不明 |
最高出力 | 584ps |
最大トルク | 900N・m |
エンジン種類 | 102kWh リチウムイオンバッテリー |
総排気量 | 0cc |
トランスミッション | 前後2基モーター |
現代に置いて全長が約5.5mまで迫る大型クーペのマーケットはロールスロイス唯一であると私は思う。
(因みに世界限定1台のマイバッハ エクセレロは全長5,890mmもある)
先程のエヴァイヤと比べるとリチウムイオンバッテリーの容量は低く見えてしまうが、
ID.4の車両重量が2,140kgに対し77kWhのリチウムイオンバッテリーに対し、スペクターは2,890kgの車両重量で102kWhのリチウムイオンバッテリーは十分とも言える。
(あくまで車両重量に対してだが)
このスペクターは2,890kgという車体を0-100km/hを4.5秒で加速することができ、(ID.4は8.5秒)航続距離は400kmを超えるそうだ。
ロールスロイスは走る高級マンションと言われているが、スペクターに関しては走る美術品と言われた方が私はしっくりくる。
それほど迄にエクステリアが美しかった。
そしてロールスロイス 103EXというコンセプトカーを知っているだろうか?
BMWグループ100周年を記念して作られ、自動運転技術を備えた完全な電気自動車である。
スペクターには103EXからのインスパイアを受けたと思われる。
フロントから確認する。
最近のトレンドなのか、ヘッドライトがデイライトとロービームが個々で別れている。
友人の間で一時期話題となったBMW 7シリーズと似ているが、
(ロービームはそもそも同じ部品か?)
BMWと比べデザインが落ち着いており、見た目のラグジュアリーさはロールスロイスの圧勝である。
またパルテノン神殿をモチーフにした巨大なグリルは、ゴースト同様にイルミネイテッド・グリルが採用されている。
サイドデザインは、レイスと同様にドアは前開きとなりドアヒンジは後方に取り付けられているのが分かる。
レイスとサイドを比べると一見同じように見えるが、
レイスがヘッドライトからのプレスラインに対してスペクターはドアハンドルやや前方からプレスラインが形成されているので、レイスとは違う上品さを感じる。
装着されているPS0-RRはMV FORGEDのプロスペックシリーズとなり、究極のモータースポーツスタイルとパフォーマンスを生み出しながら重量を削減する新しいフロントアンダーカット技術を採用しているいという。
値段は1本当たり約45万円~だそうだ。
私が特にスペクターで気に入っているのが、リアデザインである。
ルーフから急斜面で落ちるデザインとレイスの丸みを帯びているデザインは全く異なっていて、シューティングブレイクと思わせるようである。
また昨年10月に退任したトルステン・ミュラー・エトヴェシュCEOはスペクターのテールライトが気に入っており、
スペクターのテールライトは
「湖に浮かぶ島々」
を連想させるものだと述べている。
またその他の一般の車両とは違い、スペクターのテールライトはボディに埋め込まれるように 取り付けられているのも特徴だという。
そしてインテリアになるが、ロールスロイスはEV化するに当たって最初の車両は未来的なインテリアを採用しない決定を下していた。
高級ウッドを惜しみなく使用しているアンティークでありながら最新鋭のインテリアやアナログ時計、エアコンのノブ等に変更は加えられていない。
しかしメーターはアナログからデジタルパネルへ変更されたという。
またスペクターは左右ドアがレイス同様に前開きであるが、
ブレーキペダルを踏む事で自動で運転席ドアが丁寧に優しく閉まるシステムを新たに追加したそうだ。助手席のドアはセンターコンソールのスイッチで閉められる。
このエクステリア、インテリア共に贅沢を極めたスペクターは富豪のあらゆる欲求に応えてくれそうだ。
Bond Groupブースには、ある条件を満たさないと購入する事が不可能なメルセデスAMG GT Black Series P One Editionも展示してあった。
このP One Editionは単体での購入が不可能なメルセデスベンツになる。
4,000万円以上するBlack Seriesを購入したらP One Editionが買えるのか?またはメルセデスのトップモデルを何台も購入した履歴を持っている人が条件なのか??
両条件とも答えはノーである。
その答えとは、メルセデスAMG ONEを購入した人のみP One Editionを購入するオプションが与えられる。
そのAMG ONEの購入金額は約4億8800万円とのこと。
この想像が全く付かない謎めいた金額は、私が一生働いても届かない数字である。
しかし私の目の前にP One Editionがあったという事は、日本国内にAMG ONEを購入したオーナーがいるという事が証明されている。
2017 年 9 月に AMG ONEを購入した顧客に対して約 625万円でメルセデス AMG ブラック シリーズ P One Editionを購入するオプションがあった。
理論上は 275 台しか生産できない事になるが、実際はメルセデスAMGから、米国市場向けの24台を含む全世界で僅か40台しか生産されなかったと主張している。
P One Editionには量産モデルのAMG GTには用意されていないMercedes Benz AMG F1 W11 EQ Performance レースカーからインスピレーションを得た独特のカラーリングが施されている。
カラーリングには、メルセデスの長年のF1パートナーであるペトロナスに敬意を表し、手描きと言われるメルセデスのスリーポインテッドスターが特徴的である。
AMG ONEが2017年に初めて発表され、2019年から2020年の納車が約束されていた。
しかし、世界的なコロナウイルスによる影響と深刻な半導体不足が発生し開発に遅れが生じたのもあるが、F1技術を現行のレギュレーションに適合させるのは非常に難しかったという。
つい最近の2022年にメルセデスの圧倒的なF1の勝利の軌跡が崩れ始めた時点でも、英国で製造されたAMG Oneはまだ約5億円もの大金を納めた顧客に届ける準備が出来ていなかった。
このAMG ONEを心待ちにしていた人々のために、メルセデスAMGはP One Editionを作成したとのこと。
以下諸元表になる。
全長×全幅×全高 | 5,453×2,080×1,559mm |
車両重量 | 1,540kg |
エンジン型式 | M178LS2 |
最高出力 | 730ps |
最大トルク | 800N・m |
エンジン種類 | V8DOHC32バルブ ツインターボ |
総排気量 | 3,982cc |
トランスミッション | 7速DCT |
エンジン出力はブラックシリーズモデルとは変わらず、ツインターボチャージャー付き4リッターV8エンジンからの730馬力である。
同じエンジンではあるが、このエンジンは専用チューンの4.0リットルV8ツインターボになる。
0~100km/h加速は3.2秒で最高速325km/hになり、ブラックシリーズはニュルブルクリンク北コースで市販車のラップレコードを樹立するという、ただ 1 つの理由だけのために作られた車である。
この強力な AMG はまさにそれを実現し、ランボルギーニ アヴェンタドールSVJ の記録 6:44秒97 を1 秒以上上回る 6:43.62 を達成した。ブラック シリーズのタイムがAMG GT R Proの7分4秒632 というタイムに対して21 秒も大幅に短縮していることは全く違う車と言っても過言ではない。
その他にマクラーレン765LTやF8トリブートなどが展示してあった。
BMW
BMWにはi50 M60、M2 コンペンティション、M8 コンペティションが展示されていたが、写真のみで失礼させていただく。
過去最大に長文となってしまいましたが、
ここまで目を通していたたぎありがとうございます。
まだまだ詳しく紹介したい車両があるので、
後半も見ていただけると嬉しいです。