シャラン

シャランやティグアン、トゥーランのブレーキに違和感がある…ロアアームブッシュの劣化が引き起こすリスクとは?

Yuu

ブレーキの違和感は危険のサイン

フォルクスワーゲンの人気モデルであるゴルフ6やシャラン、トゥーラン、ティグアンで走行中にブレーキを踏んだ際に「ググッ」とした違和感を感じたことはないだろうか? 

ゴルフ6
シャラン

これはゴムブッシュの劣化が原因である可能性が高く放置しておくと重大な事故を引き起こす可能性がある。

ゴムブッシュの劣化は、ブレーキ性能の低下やハンドリングの不安定さを引き起こし、最悪の場合、大きな交通事故につながる可能性がある。

自分の愛車はきちんとメンテナンスが行き届いているだろうか

事故は他人事ではなく、今回あるお客様が起こしてしまった実際の事例をもとに、ゴムブッシュの劣化がもたらす危険性と、適切なメンテナンスの重要性について詳しく紹介していきたい。

メンテナンス不足が招いた 自転車との接触事故

数年前、私のショップに相談へ来られたお客様が自転車との接触事故を起こしてしまったという。

事故の原因は急ブレーキの効きが悪かったと教えてくれ

そのお客様は、私のショップでの入庫歴がなく、ディーラーや他のプロショップでのメンテナンスを一切受けていない状態であった。

代わりに、カー用品店やスピード車検など、格安の車検サービスを利用していた。

その結果、車両の状態は非常に悪く、以下のような問題が確認された。

オイル漏れが放置されてい

実際はもっと汚れていた

エンジンオイルやギアオイルの漏れはエンジンやトランスミッションに深刻なダメージを与える可能性があり、特に上記の車両に共通する1.4LのTSIエンジンはオイル管理が非常に重要で漏れを放置することで、潤滑不足によってピストンとシリンダーの油膜が切れて金属摩耗が発生し圧縮不良が発生する。

詳しくは下記の記事に載っているで参考にしていただきたい。

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格安タイヤが装着されていた

レグノは素晴らしいタイヤ

安価なタイヤはグリップ力が低く、特に雨天時のブレーキ性能が大きく低下してしまう。

今回お客様のティグアンは1本 8,000円という中国製のタイヤを取り付けていた。

口コミでもトレッドパターンの摩耗が早く、雨天時のグリップ力や耐久性に欠けるなどの評価で格安タイヤを履くデメリットは非常に大きい。

タイヤが劣化していても駄目

せめて1本13,000円程度のタイヤを履いていただきたいと思う。

メーカー不明のオイルフィルターが使用されてい

品質の保証がないフィルターは、適切なろ過ができない可能性があり、エンジン内部に汚れが蓄積してしまう。

最悪な場合、フィルター内部から金属片、ろ紙がオイル通路へと流れ込みエンジン内部を損傷させる恐れがある。

なので純正オイルフィルター又は製造メーカー(MANNやMAHLE)が印字されているもの。

オイルは真っ黒

ブレーキが効かない原因を特定

お客様から車両をお預かりし、車両をリフトに乗せるために車両の位置調整をしようとブレーキを踏んだら異様な挙動があることに気付いた。

ホイールが振れ、後方に沈み込むような感触があり、明らかに異常な状態であった。

車両をリフトアップしてブレーキや下回りを確認したところ、ブレーキパッドやローターには問題はなかった。

しかし、フロントサスペンションのロアアームブッシュに深いひび割れが見られ、弾力性が失われている状態が確認された。

ゴムブッシュが切れている

この破損がブレーキ時の違和感や効きの悪さの大きな要因あると判断した。

ロアアームブッシュの役割と劣化の影響 

ロアアームブッシュは、サスペンションシステムの重要な部品でコントロールアーム(車輪とシャーシをつなぐ部品)とシャーシの接続部にあり、ゴムまたはポリウレタン素材で作られている。

ひび割れが発生

主な役割は以下の通りになる。

• 振動の吸収:道路からの衝撃や振動を吸収し、乗り心地を向上させる。

• ホイールアライメントの維持:車輪の位置を正しく保ち、ステアリングの安定性を確保する。

ノイズの低減:金属部品同士の接触を防ぎ、異音の発生を抑える。

しかし、今回の車両のようにロアアームブッシュが劣化すると、ゴムが硬化し、ひび割れが生じてしまう。

その結果、弾力性が失われ、コントロールアームが適切に動かなくなる。ブレーキをかけた際に軸部が不安定に動き、「ググッ」という違和感や、ブレーキ性能の低下を引き起こしてしまう。

劣化や破損の影響は他にも及び、以下のような症状が発生することが考えられる。

ステアリングの不安定さ:ハンドリングセンターがズレ、直進安定性が悪化する。

• 異音の発生:強めにブレーキを踏んだ時や段差を越える際に、「ギシッ」「ガタンッ」などのキシミ音やガタつき音が発生する恐れがある。

タイヤの偏摩耗:アライメントが崩れることで、タイヤの向きが大きく変化し部分摩耗が加速する。

ロアアームブッシュが劣化する原因

ロアアームブッシュが破損する原因は、主に以下の3点になる。

• 長期間の使用による摩耗

:走行距離や使用年数が増えると、ゴムが徐々に硬化し、弾力性を失う。1年点検や車検ごとに定期的な点検や交換が必要になる。

• 道路の凸凹による過度のストレス

:悪路での走行が多い場合、ブッシュにかかる負担が大きくなり、ゴム部に負担が掛かり劣化が早まる。

• ゴムの経年劣化

:ゴムは時間と共に酸化し硬化するので、10年以上経過した車両で注意が必要になる。

シャランでは、約30,000kmでロアアームブッシュが破損し、交換が必要になる傾向。

ティグアン

またティグアンやトゥーランでは、50,000kmを超えると約8割の車両でブッシュの劣化が見られ、ブレーキ時に車体が沈み込むようなブレーキになる。

今回お客様が起こしてしまった接触事故はロアアームブッシュの破損と格安タイヤの使用が重なった結果、ブレーキが効きにくい状態になり、事故に発展してしまった。

ロアアームブッシュ交換

お客様に状況を説明し、交換作業の了承を得た後、ロアアームブッシュの交換作業を実施した。

交換作業は比較的簡単であるが、トルクレンチやロングラチェット等が必要になるので交換は正規ディーラーかプロショップでの実施をオススメする。

1.ボルトの取り外し
ロアアームブッシュは、18mmのボルト1本と16mmのボルト2本、計3本で固定されている。

ボルトはかなり強めに締められているのでロングラチェットを使用して緩める。

またボルトを取り外した際に砂や水が大量に出てくる可能性があるので注意する。

3本のボルトを取り外したら、ロアアームブッシュを手前に引っ張り取り外す。

2.新しいブッシュの取り付け
新しいロアアームブッシュをロアーアームに取り付けるが、ロアアームの先端とブッシュが摩擦で全く滑らないのでロアアームの先端に薄くラバーグリスを塗布することで取り付けが楽になる。

3.ボルトの締め付け
取り付けは、16mmのボルトを規定トルク(50N·m +90°)、18mmのボルトを規定トルク(70N·m +180°)で締め付ける。

4.最終確認
交換後、試運転を行いハンドリングやブレーキ時の違和感が解消されたのを確認する。また作業後は強制ではないが、ホイールアライメントの調整を行うと車両の安定性が増すのでオススメである。

メンテナンス不足が招いた事故の教訓

今回の事例では、お客様がメンテナンス費用を抑えるために適切な点検を怠った結果、自転車との接触事故が発生してしまった。

車両の所有者として、しっかりとした車検整備やメンテナンスを行うことは、自身の安全だけでなく、他者を守るための使命である。

もし車両の維持が難しい場合、乗り換えを検討することも一つの選択肢であり、管理ができる車両に乗ることで、自身の安全性を確保できる。

メンテナンスは、単なるコストではなく、命を守るための投資と考えてもらいたい。

以下 2013年式 ティグアンのロアアームブッシュ交換工賃になる。その他ゴルフ6やシャラン、トゥーランも当ショップでは同様の工賃になる。

ロアアームブッシュ交換工賃

2013年式 ティグアン ロアアームブッシュ交換
部品名、料金、純正部品番号

•交換工賃及び診断料等 8,000円

•ロアアームブッシュ 32,800円 3C0198231


税込み価格合計 40,800円

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ABOUT ME
Yuu
現在30歳の男性。フォルクスワーゲンのプロショップでフロントスタッフをしています。 アストンマーティンDB9、マセラティ グラントゥーリズモを所有していました。 現在はメルセデスベンツ Cクラスに乗っています。 いかに安く維持するか日々節約との勝負でその奮闘記やちょっとした整備や雑談を紹介したいと思っています。

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