1つの美術品だと思ってしまったケーニグセグ・レゲーラはカーボンボディに纏われたワインレッドが何とも表現し難いくらいに美しかった。
世界限定80台の美術品
ここ数ヶ月で様々なハイパーカーを見てきたが、その中でもケーニグセグ レゲーラの存在感は群を抜いていた。
以前の東京オートサロンでは4億円という驚異的な価格もあってバリケードが全面に張り巡らされていて細かなディテールを見る事が出来なかった。
前回のこちらの記事でも見に行かせていただいたが、
「ビンゴスポーツ」のショールームにレゲーラが展示されているのを偶然見かけたので仕事の合間に今回もお邪魔させていただいた。
そしてカーボンファイバーの織りなす美術品のようなボディを間近で見る事が出来たので紹介していきたい。
Koenigsegg Regera
レゲーラは現在日本に9台注文されており、私の目の前にあったのは日本上陸4台目となる。
そしてじっくり見れば見るほどワインレッドのボディに圧倒される。
写真では本来の塗装面の滑らかさとカーボンファイバーの繊維質が伝わりに難いが、レゲーラのボディは今まで見てきたスーパーカーやハイパーカーの中でもトップレベルで美しかった。
以下 ケーニグセグレゲーラの諸元表である。
全長×全幅×全高 | 4,560×2,050×1,110mm |
車両重量 | 1,420kg |
エンジン型式 | 不明 |
最高出力 | 1,500PS~ |
最大トルク | 2000N・m |
エンジン種類 | 5.0Lツインターボチャージャー付き V8 |
電気モーター | YASA 750 R モーター 2個 YASA P400 モーター 1個 |
総排気量 | 5,100cc |
トランスミッション | KDDシステム シングルスピード固定ギア |
普通の一般車とはデザインがかけ離れ過ぎるせいか諸元表からも全長が4,560mmと私のCクラスより小さい事に驚いた。
実車を見ると5mはあるかと思うが、調べてみるとシビックFK7と全く同じサイズである。
しかしシビックと同様の全長とはいえ、レゲーラのボディにはとんでもないパワートレインが搭載されている。
ケーニグセグ最新の5.0L V8 ツインターボエンジンがミッドシップに積まれており、エンジン単体でも1,100PSを発生させる。
軽量かつ既にハイパワーである内燃エンジンにクリスチャン・フォン・ケーニグセグは、ハイブリッド技術を新たなパフォーマンスの高みを目指してレゲーラに強力なハイブリッドパワートレインを搭載したが、これにはちゃんとした経緯がある。
ケーニグセグは2013 年にテスラ モデル S P85+を購入し、シフトダウンやターボ ラグを待つことなく即時にフルパワーで供給するパワーユニットに感銘を受け、電気自動車の直観的な体験を元に3つの電気モーターとエンジンを連携させる事に成功した。そのシステムは1500馬力を発生させ、電気モーターとガソリンエンジンからのすべての動力は後輪に送られる。
そして、この1500馬力を後輪へ伝達する為にケーニグセグは新たに「ケーニグセグ・ダイレクト・ドライブシステム」を発明した。(以下KDDシステム)
KDDシステムは従来の7速ギアボックスを排除し、シングルギアダイレクトドライブシステムに切り替えることで減速比 2.73:1 のトランスミッションになっている。
これはアゲーラの7速に相当するという。
7速で停止状態からの発進を経験したことはないが、代わりに私は6速のマニュアルミッションで6速発進をイメージしてみた。もちろんトルクが足りなくてエンストしてしまうイメージ沸きその減速比でのトルク不足をどう補っているのか気になった。
レゲーラのエンジンは1,100PSの最高出力と1,250N•mの最大トルクは停止時には発揮する事ができない。
そこで考えられたのが670PSの出力と3500N•mのトルクを後輪に直接供給(クランク上の1000Nmに相当)を発揮するレゲーラの電気駆動システムの出番になる。
電動モーターからの瞬間トルクが従来のトランスミッションのローギアと同じように作用し、車体をスムーズに力強く発進させることを可能にした。
動画を見てみると1速のみで加速し続けているのが分かる。
従来のトランスミッションを排除した上で、その機械的損失を最小限に抑えることを可能にしているのは、電気駆動システムのハイドロカップである。これはレゲーラのために特別に開発された特注のトルクコンバーターになる。
スウェーデンの地元職人によって製造されていたハイドラカップは基本的にロックアップ機能を備えた高性能トルクコンバーターで静止状態から発進する際の最初に後輪にかかるトルクが電動モーターから発生させる。
パワーユニットでは他のハイパーカーを凌駕しており、エクステリアは以前見たCCXよりも更に進化していた。
Exterior
フロントデザインでは、巨大なフロントスポイラーが特徴的でナンバーの取り付け位置も工夫されている。
日本ナンバーというのは欧州のナンバープレートと比べ縦の長さがあるので、どうしても外観の悪さや空力に悪影響を及ぼしてしまう。
レゲーラはアルファロメオと同様にセンターからオフセットに取り付けてあるが、ホイールハウスを整流する為とダウンフォース得る為のエアダクトを邪魔している。
ボンネットに備えられた3個の小さなダクトは
走行風によってボンネット下部に1度入りフロントウィンドウを通りダウンフォースを得ると同時にとインテークダクトに導かれるようになっている。
そしてヘッドライトを良く見ると内部に小さなファンが組み込まれているのを発見した。
恐らくはヘッドライトの曇り防止対策に備えられいるのかと思うが、200km/h以上の走行域ではヘッドライトにも相当な負荷がかかる為に内部の圧力差でヘッドライトが曇ってしまうのでファンを組み込んだと予想した。
またこのレゲーラは内外装にカーボンパーツが多数取り付けられるゴーストパッケージが採用されているがフロントスプリッターが取り付けられていない。
これによってラグジュアリーな印象を残している。
サイドで最も気になったのがホイールである。
レゲーラのホイールは完全自社製のカーボンホイールとなっているが内側が金色となっている事に注目して欲しい。
サイドストライプも金色となっているが、どうもこの金色は塗装で表現しているとは難しいくらいに違和感があった。
ビンゴスポーツの車両説明には金箔が張り巡らされていると説明があり、ここで初めてあの違和感に対して納得できた。
流石ハイパーカーだ。金箔を遮熱フィルムに使うのは聞いた事があるが、ボディに埋め込む車両は今まで見た事がなかった。
レゲーラはケーニグセグの中でもスポーツモデルではなくラグジュアリーカーの部類に入るという。(それでも400km/h以上を出せる車両に変わりはない)
CCXと比べてるとサイドデザインはリアに向かうに連れて緩やかに落ち込んでいるデザインである。私がケーニグセグを見ると思うのがフロントオーバーハングがやけに短いと感じる。
ミッドシップはエンジンをボンネット下部に積んでいないのでフロントオーバーハングが短く傾向になるが特にケーニグセグは短い印象を持っていてレゲーラも同様に非常に短かった。
続いてリアデザインを確認していく。
異様なまでのダブルルーフの盛り上がりに目を奪われる。
ケーニグセグのモデルはフロントウィンドウが戦闘機のようなデザインが特徴で、高速域での正面から受ける空気の圧力を左右、上部へと受け流しルーフ後方を谷のように膨らませる事で空気の流速が上がりインテークダクトにより多くの空気をエンジンへ送る事に成功し更にダウンフォースまで向上させている。
またフロント同様にゴーストパッケージの固定式リアウイングも取り付けられていなかった。
レゲーラには3本マフラーがあるが、ディフューザーと同形状に作られたサイドマフラーはアクラポビッチ製のレゲーラ専用となっている。
センターのマフラーも排気用かと思っていたが、こちらはバッテリー排熱用となっている。
また巨大なリアタイヤから生み出される空気抵抗を整流する対策としてリアには2本のベントが設けられている。
この圧倒的な存在感を放っているケーニグセグ レゲーラは世界初の機能も備えつけられている。ボタン一つで車体の自動開閉を可能にする世界初自動開閉システムAutoskin/オートスキンを採用している。
これによってレゲーラは軽量でコンパクトな油圧システムを採用することでコンポーネント数を極限まで抑え車重を増やすことなく完全自動開閉させる事に成功している。
ビンゴスポーツのショールームでも異彩を放っていたケーニグセグ レゲーラを充分に堪能したが、世の中には100万円以下の車から5億円を超える車もあったりとここまで振れ幅が大きい商品は無いと思う。
なので、この車という世界は本当に奥が深く生涯飽きる事は無いだろうと改めて感じた。
参照元動画: