スーパーカーを間近くで見る事ができる数少ない博物館が茨城にある。スーパーカー好きであればサーキットの狼ミュージアムに必ず行くべし!!(中編)
Maserati Khamsin
先月の記事からの続きで中編になる。
今回も魅力ある車両を紹介して行きたいので、興味が少しでもあったら写真だけでも見ていただきたい。
ランボルギーニ シルエットの隣はマセラティ カムシンだった。
1972年にマセラティ ギブリの後継機としてカロッツェリア ・ベルトーネがトリノサロンにて発表した。
ベルトーネが初めて手掛けたマセラティでもあるカムシンは、シトロエンの傘下で完全設計された唯一の量産されたモデルでもある。
トリノ サロンでベルトーネのプロトタイプとして発表された Tipo AM120として誕生し、フロント エンジンのマセラティとして初めて、ド・ディオン式リア サスペンションを廃止しリアはコイルスプリングを用いたダブル・ウイッシュボーン式サスペンションを採用した。
エジプトの砂漠の風にちなんで名付けられたカムシンは、エッジの効いた角張ったデザインで非対称のボンネットダクトやエンブレム下のダクトがユニークでデザイナーのマルチェロ・ガンディーニのセンスが光っている。
個人的にはよりスタイリッシュな1970年型のギブリの方が好みだが…
全体のテーマはカムシンにも多く引き継がれているが、ギブリはフロントノーズからリアリッドまで滑らかな曲線であるが、カムシンはフロントからリアに繋がるプレスラインが特徴的である。
カムシンのボンネットを覗くと面白い構造ある。
理想的な重量配分である50:50を実現する為にシトロエンの技術を元にステアリングギヤボックスをエンジンの前に配置し、エンジンをよりフロントミッドに配置することに成功している。この理想的な重量配分のお陰でカムシンのハンドリングが大きく向上したという。
なのでカムシンのボンネットを除けたらインターミディエイトシャフトが非常に長いことにも注目して欲しい。
またシトロエン譲りの油圧高圧システムが搭載されているのも珍しく、ブレーキは勿論のことパワーステアリング、リトラクタブルヘッドライトの開閉、シートの調整!??も全て油圧にて調整される。
だか、結果的に高圧ポンプに負荷が掛かり過ぎてオイル漏れが多発しポンプ本体も故障する原因となっているそうだ。
機構としては面白いが、カムシンにとっては販売の大きな足枷となっていた。
フロントミッドに搭載されている90°バンク 4.9L V8エンジンはギブリSSから継承され、アルミ製のシリンダーブロックとシリンダーヘッド、DOHC(ダブルオーバーヘッドカムシャフト)、ドライ サンプ潤滑シ、ウェーバー 2 バレルキャブレター 4 基は70年代のV8エンジンでは異例であった。
最高出力は320PS、最大トルク480N•mで最高速度は275km/hを記録している。
以下マセラティ カムシンの諸元表である。
全長×全幅×全高 | 4,400mm×1,804mm×1,140mm |
車両重量 | 1,680kg |
エンジン型式 | — |
最高出力 | 320PS |
最大トルク | 480N・m |
エンジン種類 | DOHC 4.9L V8エンジン |
総排気量 | 4,930cc |
トランスミッション | 5速MT 3速AT |
TOYOTA 2000GT Open
今まで博物館館や展覧会で度々見た事がある2000GTであるが、サーキットの狼ではオープン仕様となって展示されていた。
このオープン仕様の2000GTは息子さん曰く、事故車だった2000GTがあり、その個体は屋根が大きく凹んでいたが再度公道を走れるように復活させようと考えていた。
しかしルーフが大きく凹んでいるので、このルーフを切ってしまおうと大体な方法を取りオープンモデルと変貌を遂げた。
当時オーナーは既にもう1台2000GTを所有していた為にルーフを切るという思い切った決断が出来たとのこと。
この車両はトヨタが手掛けた訳ではないが、このオープン仕様の2000GTのクオリティは非常に高かった。
正規のモデルのオープンモデルはミュージアムに展示されているのと水没車であった2000GTをベースにTRDが公式カスタムし俳優の唐沢寿明さんが所有していた。
(現在は既に手放しトヨタ博物へ寄贈されているが、展示はされていない模様)
因みにトヨタが手掛けショーン・コネリーが乗車した2000GTはプロトタイプのオープンモデルで1台は予備で計2台用意された。
(正規モデルとプロトタイプはリアトランクの形状が違うそうだ)
「007は2度死ぬ」で登場したプロトタイプは完全にフルオープン仕様でソフトトップは用意されておらず、ダミーであったそうだ。
また007の製作陣からの無茶振りも多々あったようで、当初はタルガトップの予定を進めていたがショーン・コネリーの身長が高く顔が上手く撮影出来ないという事でフルオープンに変更するよう指示されたそうだ。
トヨタ側はその提案に対し2週間程で仕上げ、1967年5月16日に2000GTが販売され1ヶ月後の1967年6月17日に映画が公開された。
BMW 3.0CSL
1960 年代後半にBMW E9プラットフォームをベースにし、1972 年にETC(ヨーロッパ ツーリングカー選手権)に出場するためのホモロゲーション モデル(レースに参加するには認可が必要となり、その認可を取得する為に作られた)として CSL をデビューさせた。
BMWCSLの起源は2800CSに遡り、BMW 2800 CS は、BMW ニューシックス クーペ (E9)の最初の派生型であった。2800CS は 1968 年にデビューした。先代の2000Cや2000CSと比べホイールベースと全長が延長され、新しいエンジンである2.8L 直列6気筒エンジン(コードネームM30)を搭載するには充分な大きさになった。
BMWの基盤となった4灯ヘッドライトとキドニーグリルのフロントエンド処理など、BMWの真髄と考えられている多くのデザイン要素と機能が導入されている。
2800CSはチューニングショップであったアルピナにチューンアップされ数々の功績を残し、1970年のシルキュイ・ド・スパ=フランコルシャンで行われた24時間耐久レースで優勝を果たした後の1971 年から 1972 年にかけて、3.0 CS と3.0CSiへと姿を変えた。
両モデルとも3L 直列 6 気筒SOHC(シングルオーバーヘッドカム)エンジンを搭載していた。
各モデルの特徴として3.0CS はキャブレターでの燃料噴射を行い180PSを発生させ、それに対し3.0CSiはインジェクターによる燃料噴射式で 200PSを発生させる。 ( CSiの名前に「i」が付いているのはインジェクションモデルを指す)
上記でも説明しているが、3.0CSの限定軽量ホモロゲーションモデルとなり1,265台生産されたのが後の3.0CSLである。
3.0CSがベースとなり、より薄いボディパネルと、ドア、ボンネット、トランクリッドなどの特定のボディパーツにアルミニウムを使用しドアトリムや防音材を取り除いた。更にサイドガラスをアクリル製の物へと変更、フロントスポイラー、リアスポイラー、リアバンパーにはFRP素材を使用し210kg の軽量化を実現している。
3.0 CSL には、フロントエアダムスカート、フロントフェンダースプリッター、ルーフスポイラー、展示車には無かったがトランクには大型リア ウィングが追加された。
装備を大幅に軽減した証としてL(Leicht=軽量)の文字を3.0CSの最後に付け3.0CSLとなり、究極のハードコアモデルとして「バットモービル」という愛称で知られている。
展示車ではトランススポイラーのみであるが、トランクにリアウィングが取り付けられるとバットモービルと呼ばれる姿になる。
巨大なリアウイングはドイツの道路での使用を目的とした販売は違法とされたが、BMW側が変更を頑なに拒否したため、3.0 CSL はトランクにウィングを詰め込んだ状態で出荷するようになった。
運良く手にする事が出来たオーナーは自分で巨大なリアウイングを取り付けることができ、法律を回避することが可能となった。
続いてエンジンになる。
初期の2,986ccモデルは180PSのツインキャブレーターとなり、1972年モデルのCSLは、CSiのBosch D-Jetreonic 燃料噴射エンジンが採用され、排気量が僅か向上し3,003ccとなり出力が 200PSまで向上した。
最終モデルでは、エンジン排気量が 3,153 リットルに増加し、総出力が 206PSとCSiよりやや勝るスペックとなった。しかし空気力学は遥かに上回っていた。
そしてBMWはライバル車であるフォード カプリを打ち負かす車両を作り上げた。
最終型にパワーアップされた3.0CSLはヨーロッパ・ツーリングカー選手権において活躍し、ライバルであったフォードカプリとの熾烈な戦いを制し、1973年のチャンピオンを獲得したが、グループ2のチャンピオンシップでフォード エスコートに一度だけ敗戦した。
ちなみに3.0CSLはフォードカプリと同様に長く愛されるモデルとしてレースで活躍していき80年代に入る頃までのCSLの開発が終わる頃には、多くのレースで勝利を収め、今も尚多くの人に語り継がれるBMWとなった。
あ
あ
Eタイプ シリーズ3も忘れてはいけない。
a
a
出典:1970 Maserati Ghibli SS 4.9 | Rock N Roll Classics
出典:唐沢寿明様ご寄贈の「トヨタ2000GT Roadster」を展示(10月26日~2022年4月3日) | お知らせ一覧 | お知らせ | トヨタ博物
出典:The Toyota 2000GT Roadster That Saved James Bond