東京オートサロン2024で心を動かされた車とは???ルノー、ランボルギーニ 、アストンマーティンなど勢揃いだった。 (後編)
魅力ある車が多過ぎる問題
前回の記事に続いて後編になる。
後編は私がオートサロンの展示車両で特に気に入った輸入車3台やハイパーカー等を含めて紹介していく。
写真は15:00頃の写真だが、奥のロータスやROBERUTAブースは人で溢れ返っていた。
MOONTECH×EUROHABIT
東ブースに私は多くの時間を割いていたのだが、やはり目についてしまうのがアストンマーティンである。
ROBERUTAブースの近くにヴァンテージ AMRが展示されていた。
カスタム内容は、Ploomワンオフエアサス、
MOONTECHワンオフエキゾースト、
NEWTRALEへのフルオーダーホイールの作成となっている。
Ploomのエアサスはリーズナブルかつ32段階という多段階の減衰調整が可能なエアサスペンションを販売している会社で、
適合が無い車種に対してはワンオフでの製作を承っているという心強いカスタムメーターになる。
またベローズエアバックを採用している事で、スリーブタイプよりダウン量が上昇し、乗り心地もベローズタイプの方が良いと言われている。
スリーブタイプはホイールハウスに余裕がない車種にでも取り付けられるが、ベローズタイプは取り付け車種が限られてしまうデメリットもある。
価格はエアサスペンションとエアタンクやその他配線等を合わせて輸入車は約98万円となるが、アストンマーティンのようなハイブランドは料金が加算されるとのこと。
ワンオフ エキゾーストを作成したMOONTECHは群馬県の伊勢崎市に店舗を置いてあり、足回りのカスタムからボディワークといったカスタムカーに関わる作業は網羅しているショップになる。
先程のPloomエアサスを取り扱っており、ボディキットはPANDEM/ROCKET BUNNYの正規代理店を務めているので取り付けのノウハウやボディキットに合わせたホイールの選定も行ってくれるという。
(因みに私はRCF V1とE46 M3のボディキットが好みである。)
そして最もこのヴァンテージで目を惹かれるのがNeutrale Wheelsのフルオーダーホイールになる。
オーナー様の拘りが詰まったホイールであり、細部に渡りディテールを綿密に仕上げたそうだ。カッパーのカラーリングがチャイナグレーのヴァンテージに完全にマッチし、今までアストンマーティンにカッパー色のホイール履かせていた車両を殆ど見た事がないので、(そもそもアストンでスタンス系にカスタムせずに純正ホイールで乗っているのが殆どである)ここまでバランス良く仕上がっているのはオーナー様の熱意が感じられた。
そしてこのヴァンテージ AMRの車両自体もかなりの希少車である。
詳しい詳細が無かったので不明ではあるが、ヴァンテージAMRはヒーローエディション(141台)とヴァンテージ59(59台)の計200台限定で販売されている。
ヴァンテージAMRには
•サビロ・ブルー
•オニキス・ブラック
•チャイナ・グレー
•ホワイト・ストーン
が用意されているが、
ヴァンテージ59には、1959年からの59という年号を取った59台の限定生産になり、その1959年のルマン24時間レースで
1位2位と連続ゴールを達成した伝説のマシンであるDBR1の60周年を記念したスターリンググリーンのボディカラーが施させれている。
ヴァンテージAMRには更にアストンマーティンのレーシングチームのカラーであるライムグリーンのストライプがアクセントとして外装又は内装に施される。
以下ヴァンテージAMR諸元表になる。
全長×全幅×全高 | 4,465×1,942×1,273m |
車両重量 | 1,530kg |
エンジン型式 | M177 |
最高出力 | 510ps |
最大トルク | 625N•m |
エンジン種類 | V型8気筒DOHCツインターボ |
総排気量 | 3,982cc |
トランスミッション | 7速MT |
注目して欲しいのが、トランスミッションが7速MTである事だ。
7速グラツィアーノ ギアボックスが搭載されており、ここ10年でのフェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレンのスーパーカーブランドはマニュアルトランスミッションの搭載は皆無である。
これらのスーパーカーブランドは、デュアル クラッチによる高速シフトチェンジで0 ~ 100 km/h のタイムや最高速の競争でいかにどのブランドよりも速く、そして信号待ちで遭遇した隣のスーパーカーを所有している人よりも優れた車に乗っていたいという、人達にはヴァンテージAMRは向いていない。
このヴァンテージAMRに搭載されている7速マニュアルトランスミッションは排気音や感情、そして目的地よりもその道中に集中するための車となっている。
0~100km/hは公表値によると、8ATが3.6秒、7速MTが4秒台となっている。
4秒台となると現代のスーパーカーの「0~100km/hは3秒以下」という水準からは遠のくが、マニュアルトランスミッション搭載車となると非常に速く、最高速は314km/hに到達する。
マニュアル車には通常のヴァンテージと同じ M177型 AMG 4.0 リッター ツインターボ V8 が引き続き搭載されており、出力は同じ510馬力でマニュアルトランスミッションの保護の為にトルクは625N•mに抑えられている。
(8AT車は685N•mとなっている。)
そして私はメルセデス AMG ユニットにマニュアルトランスミッションがアストンマーティンによって初めて取り付けられたという事実に歓喜した。
アストンマーティンがこの事実を実現したのは本当に興味深い。
過去にAMGのエンジニアにマニュアル化は可能なのか尋ねたとき、ドイツ人らしく彼らは開口一番に、
「なぜそうする必要があるのか?」
と聞き返した。
そしてその後に「取り付けられない」という言葉が続いたそうだ。
ドイツ人からしたら、8速ATという快適で変速スピードも十分に速く何不自由もないユニットにわざわざマニュアルトランスミッションを取り付けるなんて、阿呆らしくなったのだろうか?
肝心の7速トランスミッションは、イタリアのグラツィアーノ(ランボルギーニ・アヴェンタドールを含む多くの車のギアボックスを製造している)によって開発された。
また、このトランスミッションは、
“ドッグレッグ”
と呼ばれる独自のシフトパターンを特徴としており、先代V12 ヴァンテージSのトランスミッションに初めて搭載されたのと90%以上同じだという。
先程出てきた”ドックレッグ”だが、1速の位置が違うのが特徴で、1速ギアは左下になる。
全てのギアが慣れ親しんだ位置と異なった位置にある事に私は驚いた。
リバースは左上にあり(ここはフォルクスワーゲンと同じである)、ダブル H シフトパターンでは 2 速、4 速、6 速が上にあり、3 速、5 速、7 速が下に位置付けられている。
仮に私が運転する機会があった時は混乱の嵐だと思う。
アストンマーティンの主任開発エンジニア、
マット・ベッカー氏は
「マーマイトのように7速マニュアルミッションは完璧ではありませんが、実際にはそれが気に入っています。なぜなら、それを学ばなければならないからです。そして、それは私に車との新たなレベルの関わりを提供してくれるからです。」
「マーマイト」とは何だ?と思うかも知れないが、マーマイトはイギリスのソウルフードでビールづくりの過程で出る酵母を主原料とした発酵食品とのこと。
このM177エンジンと7速マニュアルトランスミッションの調律を上手く組み合わせたヴァンテージAMRを更に3つのワンオフカスタムを加えたヴァンテージは刺激的な1台であった。
畑野自動車
2台目は畑野自動車ブースに展示してあった、ルノートゥインゴがベース車両のC’eLavie(セラヴィ) 105とC’eLavie 105 MAXI Conceptになる。
先に打ち明けておくが、C’eLavie 105が冗談抜きで欲しくなってしまった。
私はコンパクトカーも好きであり、トゥインゴは日頃から気になってた1台である。
が、ノーマルのトゥインゴは見た目が非常に可愛い。あまりにも可愛いのでトゥインゴから私が降りてきたらガッカリさせてしまうレベルだ。
私が良く拝見させていただいてるエッセイがある。
車好きであれば1度は聞いた事があるだろう、清水草一さんが執筆している
「カーマニア人間国宝」で、
トゥインゴを購入した記事を当時見たのだが、記事を見た次の日には某中古車ショップにて私もトゥインゴを見に行っていた。
そのくらいトゥインゴに魅力を感じていたが、試乗中にミスファイヤーの様な不具合が発生しエンジンチェックランプが点灯したので、それ以来縁が無くなってしまった。
そんな少し苦い思い出があったトゥインゴではあるが、C’eLavie 105を目の前にして「欲しい」という購買欲がまた沸々と湧いてきてしまった。
というのもC’eLavie 105の完成度が非常に高く、トゥインゴの可愛さが薄れ逞しい顔立ちになっている。
以下トゥインゴの諸元表となる。
全長×全幅×全高 | 3,645×1,650×1,545m |
車両重量 | 1,030kg |
エンジン型式 | H4B |
最高出力 | 92ps |
最大トルク | 135N•m |
エンジン種類 | 直列3気筒DOHC12バルブターボ |
総排気量 | 897cc |
トランスミッション | 6速EDC |
特筆すべき点は、全長が3,645mmと小柄であり全幅が1,650mmとあるので基本的に何処でも行けてしまう。
最小回転半径は国内で売られてた中でもトップレベルで、非常に小回りが利く。
またフォルクスワーゲンUp!とほぼ同じ大きさであり、Up!はトゥインゴより早く販売終了となったが、未だに根強い人気があり中々手放さないオーナー様が多い。
Up!とトゥインゴの大きな違いが駆動方式になる。Up!は一般的なエンジンを前に置いてフロントタイヤを駆動させるFFとなっているが、トゥインゴはリアにエンジンを置いてリアタイヤを駆動させるRRとなっている。
ここで両車で変わってくるのが、ハンドリングである。Up!はFF車なのでドライブシャフトがフロントに取り付けられているので若干ハンドリングが悪くなるが、(殆ど気にならないレベルだが)トゥインゴのハンドリングは反応も早く良く曲がり格別であった。
またUp!のトランスミッションASGの癖に対して、トゥインゴはデュアルクラッチのギクシャク感が多少あったがUp!のASGの癖の強さに比べたら圧倒的にトゥインゴが優先であった。
しかし他の悪い点も確かにあった。
フロントアシストが車線逸脱警告しかなく、Up!のシティエマージェンシーブレーキ(低速域追突回避•軽減ブレーキ)と比べドライバーに対するアシストが殆ど搭載されていない。
クルーズコントロールはUp!と同様に低速固定なので追従機能はなし(トゥインゴにそこまで求めてしまうのはおかしいが)
個人的に嫌いなのだが、リアドアハンドル箇所が前ドアとは違いピラー部に取り付けられている。(ピラーマウントドアハンドルと言うらしい)トヨタのC-HRが販売されてきた辺りから流行りだしたが、フロントドアとバランスが悪く見えるので私は好みではない。
ここで、魅力的なC’eLavie 105とトゥインゴのデザインを確認していく。
フロントは通常のトゥインゴとは比べ+105mm全幅が拡大されている。写真を見て分かるように、左右で計4個のデイライトがC’eLavie 105である事を象徴している。
フェンダーはノーマルと比べ膨らみが増し、地に這いつくばる様な重厚感が増している。
サイドはリアドアに大きく手を加えられて、リアフェンダーに合うようにリアドアも大型化されているのが制作途中の投稿で分かる。
ホイールはトゥインゴGTのアルミホイールが取り付けられていたが、フェンダーの大型化に合わせてワイドスペーサーが取り付けられている。
リアバンパーもハンドメイドで作られている。
リアドアからブリスター状に膨らんだリアフェンダーはインスタグラムを通して作業工程を確認する事ができ、ラリーカーとも思わせるC’eLavie 105 MAXI Conceptのリアは片側105mm拡大されている。C’eLavie 105はテールライト下部にダクトを設けてありホイールハウス内の圧力を整流すると思われる。
そしてC’eLavie 105のボディキットは328万円と少々値段が高いがC’eLavie 105には多く労力と熱意が込められている。
私は328万円という値段は妥当でもあり、寧ろ安いのではないかと実車を目の前にして感じていた。
4LAWS
会場で特に人が集まっていたのが、4LAWSのポルシェになる。
それもその筈でフルカーボンボディのナローポルシェが展示されていたら、通り過ぎる訳にもいかない。
このカーボンボディ剥き出しのポルシェは、空冷ポルシェをベースにナローポルシェのデザインへ変更している。
展示されているナローポルシェのベースとなったのは恐らく993型だと思われるが、とにかくボディが美しかったのが記憶に刻まれている。
このカーボンボディには大きな特徴があり、
「Infusion carbon(インフュージョンカーボン)」
という名のカーボンであり、このインフュージョンカーボン成形は強度と軽量化、見た目の美しさが特徴であるという。
正にその通りでカーボンボディは非常に滑らかでカーボンの織目は芸術品そのものであった。
ドライカーボン、ウェットカーボンのそれぞれの良さを併せ持った成形技術になるという。
ドライカーボンとウェットカーボンの違いを簡単に説明すると、加熱・加圧可能なオートクレーブ(プリプレグと呼ばれるシート状のカーボンを、型に重ね合わせ、高圧下で熱硬化させる工法)で成形した物をドライカーボンと言うそうだ。
またウェットカーボンとはカーボンファイバーに樹脂を塗り込み自然乾燥させた物らしい。
ドライカーボンは高品質(高弾性・高強度)で高価な物、ウエットカーボンは手軽に製作出来、安価という特徴を持つ。
そして両方の性質を合わせ持ったインフュージョンカーボンはドライカーボンとウェットカーボンの間より少し軽く、強度はどちらのカーボンよりも圧倒的に強く、自動車のボディに使用するには最適だという。
車両重量は分からないが、カーボンボディ化された恩恵は凄まじいだろう。
この4LAWSによって制作されたこのナローポルシェは4年前では2,000~2,500万円との事だったが、現在は空冷ポルシェが著しく値上がっているので今買うとなると3,000万円付近になってしまうのだろうか?
しかし、あの美しいフェンダーラインをいつでも自宅で見られるとなると安い買い物なのかもしれない。
ALPINE
2台目のフランス車になるが、アルピーヌA110が展示されていた。
ベースモデルは今までに何度か見た事があるのだが、今回は最上級モデルのA110 R TURINIになる。
つい先日、1月12日~1月21日までの9日間の第1ロット24台の受注生産申込期間が終了した。
このアルピーヌA110 R TURINIは1,550万円とベースモデルの約2倍近くの値段となっている。
その2倍近くの価格が上がった理由として、F1カーボンファイバーをあらゆる箇所に採用する事によって軽量化とダウンフォース向上させ、シャシーもベースモデルと比べ10mm低い専用シャシーとなっており、サーキットでは更に10mmの調整できる高性能のアジャスタブルレーシングダンパーが採用されているからだ。
以下、アルピーヌA110 R TURINIの諸元表となる。
全長×全幅×全高 | 4,255×1,800×1,240m |
車両重量 | 1,100kg |
エンジン型式 | M5P |
最高出力 | 300ps |
最大トルク | 340N•m |
エンジン種類 | 直4 DOHC 16バルブ ターボ |
総排気量 | 1798cc |
トランスミッション | 7速 DCT |
パワーユニットはベースモデルの252psとは48ps違うが、A110 Sや A110 GTとは同じエンジンスペックとなっている。
しかし、F1カーボンファイバーを多く取り入れた結果0~100km/hは4秒、最高速度は284km/hに達している。
(A110 Sは0~100km/hは4.2秒、最高速度は260km/hとなっている)
生産終了してしまったが、同じ2シーター軽量ミッドスポーツカーであるアルファロメオ 4C コンペティツィオーネは最高出力240ps、最大トルクは350N•mとなり0~100km/hは4.5秒、最高速度は258km/hである。
このベースモデルとは明らかに違う、A110 R TURINIのデザインを確認していく。
1977年に生産終了を迎えた初代A110から
40年後の2017年のジュネーブ•ショーで初めて公に公表された新生アルピーヌA110は初代のA110のクラシカルなデザインを継承していた。ボンネットセンターのプレスラインや独立した左右軽4つのヘッドライトはそのままである。
その新生アルピーヌA110が誕生してから約4年経った最上級モデルのA110 R TURINIにはカーボンファイバーの軽量ボンネットとフロントリップスポイラーが取り付けられている。
サイドデザインなのだが、 A110が発表された当初から驚きが隠せなかったのがサイドのエアインテークが非常に小さくスマートな印象であり綺麗なデザインだと思うのだが、冷却性能は大丈夫なのかと思ってしまう程だ。
(理由は不明だが左側はダミーだという。)
またドアからリアフェンダーにかけて急降下していくプレスラインはA110の独特なラインであり、ドア下部にはカーボンファイバー製のサイドスカートが取り付けられている。
リア周りにはリアスポイラー、ディフューザー、アンダーパネルがカーボンファイバー製であり、フロント同様に多くのカーボンファイバーが採用されている。
またマフラーカッターのノーマルモデルに対して、A110 R TURINIはセンター2本出しに変更が加えられている。
生産されるすべてのA110 R TURINIには個別の番号が付けれる。今後アルピーヌは2024年のホットハッチから電気自動車にベクトルを変更するらしい。
2025年にはクロスオーバー、2026年には電動A110の後継車の登場が予想され、現代のすべてのA110の中で最も軽量、最速、最も機敏なこのA110 R TURINIはドライバーを魅了するに違いない。
CPC PREMIUM COATING
最後はCPC PREMIUM COATINGに展示してあったハイパーカーになるが、このCPCプレミアムコーティングで新しく誕生した”ダブルGN”は、
優れた“滑力(かつりょく)”
が美しさを守る 2層プレミアムコーティング
と説明されている。
約30年前から日本で発売されており、
「カーディーラーのみで取り扱っている製品」という強みと誇りが兼ね備えて、日々進化し続けたのがCPCブランドのボディコーティングになる。
この「滑力」というのは、「滑落性」と「流水性」を組み合わせた状態で、「滑落性」とはボディがシルクのように滑らかでサラサラしているので自然とゴミや埃を滑落させる性質であり、「流水性」は水アカの原因となる水滴を残さないように水がボディの傾斜によって流れ落ちる状態を指している。
詳しくはホームページを見て欲しいが、このCPCプレミアムコーティングのブースには陶器のように艶々のランボルギーニ シアンが展示してあった。
このランボルギーニ シアンは世界で63台のみ存在し、オープンモデルのロードスターの19台を入れても82台しかこの世に存在しない。そして日本に7台納車されるとなると実に全体の約9%のシアンが日本に存在する事になる。
シアンは最も複雑に作られ顧客に納車されるランボルギーニであり、初のスーパーキャパシタ搭載ハイブリッドV12エンジンのハイパーカーである。
アヴェンタドール SVJ の 6.5L V12エンジンをチューニングしたエンジンを搭載しており、単体で 785ps を発生するが、この時点でアヴェンタドールSVJ よりも 15ps高い。吸気系統にチタン製インテークバルブを採用した事にも起因しているだろう。
これにさらに 34psの電気モーターが加わり、合計 818psという巨大なパワーを秘めている。
最大トルクは720N•mとアヴェンタドールSVJと同じである。
また7 速ギアボックスもアヴェンタドールSVJに搭載されいる物とほぼ同様であり、スーパーキャパシタを新たに加えたハイブリッド システムも含まれている点が大きく異なっている。
スーパーキャパシターを取り付ける事で重量は 34kg 増加しているが、その増えてしまった重量を削る為にカーボンファイバーがその他の構成部品に使われている。
以下ランボルギーニ シアン諸元表となる。
全長×全幅×全高 | 4,980×2,080×1,133m |
車両重量 | 1,600kg |
エンジン型式 | L539 |
最高出力 | 818ps |
最大トルク | 720N•m |
エンジン種類 | V12エンジン+48V「eモーター」 |
総排気量 | 6498cc |
トランスミッション | 7速 セミAT |
シアンはチェンテナリオと同様にアヴェンタドールSVJをベースとしており、ポルシェで働いていたミティア・ボルケルトの指導の下でランボルギーニの社内デザイナーによってシアンのデザインが生まれた。
シアンという名前の由来はイタリア ボロネーゼ上空に現れる閃光や稲妻を指し、「FKP 37」は1937年生まれで、ランボルギーニの経営権を引き継いだVWの責任者だったフェルディナント・カール・ピエヒを指している。ピエヒは多くの人にとって必要とされランボルギーニに与えた功績は計り知れない人物であった。
常に未来を受け入れる優秀なエンジニアでもあったが2019年の8月に82歳で死去し、そのフェルディナント・カール・ピエヒに敬意を表してシアンに「FKP37」と加えたという。
そのランボルギーニ シアンFKP37のエクステリアを確認していく。
フロントにはアヴェンタドールSVJの面影は全く残っておらず、ベースにしたと公表が無い限り気づく事は先ず有り得ないだろう。
今後のランボルギーニのトレンドになるであろう、Y字のデイライトは2017年に電気自動車のコンセプトモデルとして発表されたTerzo Millennio(テルツォ•ミッレニオ)から継承されている。
そしてアヴェンタドールの後継のレヴエルトもY字のデイライトが採用された。
ボンネットにはダクトが設けてあり、そこを通った空気がダブルバルブルーフのような形状をもつルーフを通りリヤへ流れダウンフォースを獲得している。
サイドデザインも見ものである。
フロントヘッドライトからボンネットにかけて段差になっており、フロントフェンダーからの膨らみが急降下し巨大なサイドインテークへ空気が流れる道筋が綺麗に描かれている。
ランボルギーニには珍しい丸みを帯びたフロント/リアのフェンダーラインは私が好きなアストンマーティンとはまた違う美しさでありながら、実に機能的なデザインに落とし込んでいる。
リアは3連テールライトがカウンタックを思い浮かばさせる。
両側のカーボンフィンは単に装飾という訳でもなく、リアフェンダーから流れてきた空気を整流する役割を持っている。
エンジンカバーのすぐ下の4つの正方形のカットアウトはランボルギーニが「スマート・マテリアル」と呼ぶ新素材を使ったポップアップスポイラー機構になる。
排気温度が特定のしきい値に達するとベントが開くのだが、電気機器は一切使わずに自然に自動で開くという。
スプリングと正体不明の素材(ランボルギーニは秘密にしている)ので、高温時に上昇してベントを開きエンジンルーン内の熱を排出し適正温度に保つ働きをする。
今後のランボルギーニを指針を示すかのように発表されたシアン FKP37はこれからハイブリッド化されていく大排気量エンジンの手本となるような存在でもあった。
自動車の排ガス規制と常に向き合っているランボルギーニはレヴエルトが恐らく最後の市販化V12となってしまう。
モーター音だけの未来はとても悲しくつまらない世界になってしまうので、いつまでもランボルギーニの大排気量エンジン音を町中に響かせて欲しいものだ。
前編、後半と長文になってしまいましたが、ここまで見ていただきありがとうございました。
ブログの更新も記事の量が多かった為に、1週間毎の更新になってしまいましたが、また3~4日に1記事のペースで載せていこうと思うので、是非目を通していただけたらと思います。
Yuu