ドライブ

アルファロメオとチゼータV16Tを見に河口湖自動車博物館に行ってきた。ジュリア•スプリント•スペーチアーレに再び心奪われる。

Yuu

久しぶりの自動車博物館

今回はちょっと趣を変えて、イタリア車の魅力に浸った一日をレポートしていく。

私自身、輸入車に携わる中でイギリス車の洗練されたエレガンスさに魅了されてきたが、イタリア車の情熱的で芸術的なデザインにも心惹かれている。

5年以上前に1度来ているが、当時の記憶が薄れてきたので河口湖自動車博物館にイタリア名車見るために計画を立てた。

富士山の麓にある博物館は毎年8月限定で開館する貴重なスポットで自動車の歴史をテーマ別に展示している。

河口湖自動車博物館は山梨県南都留郡鳴沢村の富士桜高原に位置し、自動車館と飛行館の2つがある。

自動車館ではホールAが自動車の誕生から1950年代まで、ホールBが1950年代から2000年代までの車をテーマ別に展示している。

アクセスは、中央自動車道の河口湖ICから車で約15分。公共交通機関を使う場合は、河口湖駅からバスやタクシーで向かうのがおすすめで駐車場も広々としており、輸入車オーナーにとってはドライブがてら訪れるのに最適。

8月末の平日に訪れたのだが、最終週ともあってか場内は車で溢れ返り駐車待ちの行列ができ10分程度待って駐車することができた。

入場料は大人1,000円で、クラシックカーの展示を見ながらゆったり過ごせる。

以前は写真撮影が全て禁止だったと覚えていたが、現在はスマートフォンのみの撮影が許可されていたので今回の撮影車両は全てiPhoneで撮ることになった。

ホールA 「自動車の黎明期から1950年代の名車たち」

河口湖自動車博物館の自動車館のホールAは特に自動車の歴史の初期段階に焦点を当てたエリアになる。

ここでは自動車の誕生から第二次世界大戦前後、そして1950年代までの車両がテーマ別に展示されており、合計で約40台以上のクラシックカーが並ぶ。

戦前車から戦後すぐのモデルまで、自動車の発展史を追体験できるのが魅力で公式サイトによると、第二次世界大戦中に使われた米軍のジープ、フォルクスワーゲンなど、歴史的に重要な役割を果たした貴重な自動車が揃っている。

ホールAに入るとまず目を引くのフォードやプジョー、メルセデス・ベンツの名車たち。

Mercedes-Benz 540K

メルセデス・ベンツ 540Kはグロッサー•メルセデスとも呼ばれ、偉大な富豪や貴族、要人の為に作られ

「偉大なメルセデス」

としての最高級リムジンになる。

540の「K」はスーパーチャージャー付きを意味し、ヒトラーの命令によって作られ戦前最後のメルセデス•ベンツの最高傑作と呼ばれている。 

Mercedes-Benz 300SL

1954年から生産されたこのモデルは、シルバーのボディに特徴的なガルウィングドアが開いた状態で展示されており、レーシングカーの血統を感じさせる。

3.0L直列6気筒エンジンで最高出力215PS、トップスピード260km/h以上というスペックは当時としては革新的で美しいメルセデスベンツを象徴する1台である。

MG•A1600 MK-II

1955年から生産された英国製スポーツカーで、1.5Lエンジン、開放的なデザインが魅力で固定式の屋根を持つクーペとして「フィクスド ヘッド クーペ」とオープンタイプがありライトウエイトスポーツの王者として人気があるそうだ。

「フィクスト ヘッド クーペ」と対照に「ドロップ ヘッド クーペ」とあるが、これは逆に屋根が開けられるように帆がある車両を指している。

有名なところでは「ロールス・ロイス ファントム ドロップ ヘッド クーペ」が世間的には広まっている気がする。

Rolls-Royce Silver Wraith

1952年式のシルバーレイスで豪華な内装と直列6気筒エンジンが特徴。

シルバーレイスはロールス・ロイスの戦後モデルとして知られ、シャーシが長くカスタムボディが多かった時代のもので、英国のラグジュアリーカーの象徴となる。

Alfa Romeo GHIA Prototype

ホールAのイタリア車コーナーでは、ターコイズブルーに白の帆が組みわさっているアルファロメオが目立っていた。

この車両はイタリアのデザイナー GHIA(ギア)による試作車である。

ボディとフェンダーが一体化されたスタイルはフラッシュサイドデザインと呼ばれ、継ぎ目が無いことからとても美しい曲線美で描かれている。

Bugatti Type57

さらに、ブルーのブガッティ Type57 1930年代の傑作で、流線型ボディとスーパーチャージャー付きエンジン。グリルのデザインは今もシロンやミストラルに継承されブガッティの象徴的なデザインが際立つ。

生産台数は700台で展示されている車両は1~3億円の価値があり、その中でもアトランティックは4台作られ過去に競売に掛けられた時には20~30億円で落札されたという。

Morgan 3 Wheeler

1910年代からの三輪車で、Vツインエンジンが露出。英国車のルーツを感じる。

このモーガン 3ホイーラーは、1910年にH.F.S. Morganによって設立されたMorgan Motor Companyのモデルで、その歴史は長く1911年から1952年まで生産されたクラシックな三輪自動車となる。

軽量ボディとJAPやMatchless製のVツインエンジンを搭載し、最高速度は約117km/h程度。

けれどもJAP製の1100ccのエンジンで199km/hの最高速度を達成した女性ドライバーがいたそうだ。

税制優遇を受けやすい三輪設計が人気で、走る楽しさを追求し英国のモータースポーツシーンで活躍した。

博物館では青いボディの個体が展示されており、露出したエンジンとシンプルな構造が、当時のエンジニアリングの純粋さを物語ってる。

BMW 502

BMW 502も印象的であった。

この車は1954年から1964年まで生産されBMWの戦後初のV8エンジン搭載モデルで、

通称「バロックエンジェル」と呼ばれる優雅なデザインが特徴。

3.2L V8エンジンで最高出力140hp、4速マニュアルトランスミッションを備え、トップスピード160km/h以上。

当時のドイツの高級セダンとして、メルセデス・ベンツの競合として人気を博した。

博物館ではネイビーブルーの個体が展示されており、丸みを帯びたボディラインとクロームグリルがクラシックカーのエレガンスを表現して1950年のBMWを代表する最高傑作である。

ホールA全体として、約80台の展示のうち半分近くがここにあり、戦前から60年代初頭の車両が中心。

ポルシェ356Aやなども並び、場内は所々クラシックカーの上品な匂いが漂っていた。

ホールBの展示「1950年代から2000年代のスーパーカーたち」

ホールAで自動車の歴史の基盤を学んだ後、ホールBへ移動。

ホールBは1950年代から2000年代までの車両を中心に、テーマ別に展示されており、特にイタリア車のスーパーカーセクションが圧巻であった。

ここでは、フェラーリやランボルギーニなどの名車がずらりと並び、総台数は約40台近くあった。

ホールBのワインレッドのフロアとは違い、緑のフロアがガレージのような雰囲気であった。

フェラーリやアルファロメオのイタリア車の展示が多く、レッドカラーのボディカラーが映えていた。

フェラーリ 275 GTB

先ずはフェラーリ 275 GTB。

1964年から生産されたモデルで、3.3L V12エンジン、最高出力280PS。

ピニンファリーナのデザインが美しいクーペで快適性も重点に置いたGTカーになる。

トップスピードは240km/h以上、レーシングバージョンも存在。博物館では、フロントの丸いヘッドライトと流線型ボディを間近で見ることができた。

フェラーリ 365 GTB/4 Daytona

続いて隣に展示されていたフェラーリ 365 GTB/4 Daytonaは1968年から1973年まで生産されたフェラーリのグランツーリスモで、通称「Daytona」と呼ばれ、275 GTB/4の後継モデルとしてパリモーターショーでデビュー。

4.4L Colombo V12エンジンを搭載し、最高出力352PS、最大トルク431N•mを発揮する。

0~100km/h加速は約5.4秒、トップスピード280km/h以上と、当時のスーパーカーベンチマークとなった。

ピニンファリーナによるシャープなデザインで、全長4,425mm、全幅1,760mm、乾燥重量1,200kgと軽量。博物館では、珍しいネイビーのボディカラーを纏い1960年代後半のイタリアンGTの黄金期を感じさせる。 

フェラーリ 330 GT 2+2

そしてフェラーリ 330 GT 2+2も素晴らしい存在感を放っていた。

この車は、1964年から1967年まで生産された2+2シーターのグランツーリスモで、250 GTEの後継として登場。

4.0L Tipo 209 Colombo V12エンジンを搭載し、最高出力300PS、最大トルク約326N•m。3連Weberキャブレター、4速マニュアルトランスミッション(オプションでオーバードライブ付き)、後輪駆動で、最高速度は245km/h。ピニンファリーナが描いたエレガントなボディでは全長4,810mm、ホイールベース2,640mmとファミリー向けのスペースを確保している。

シリーズIとIIがあり、シリーズIIではシングルヘッドライトに変更されている。

アルピーヌ A110

フランス車では、アルピーヌ A110。

1970年代のラリー仕様で、CIBIEライトとElfステッカーがレーシー。1.6Lエンジンで軽量ボディ、モンテカルロラリー優勝車としても有名。

フェラーリ F40

フェラーリのスペチアーレモデルでは、フェラーリ F40とF50が展示されていた。

F40は1987年から1992年まで生産されたフェラーリのアイコンで、フェラーリ創立40周年記念モデルとして発表。

2.9LツインターボV8エンジンを搭載し、最高出力478PS、最大トルク577N•mを発揮。

5速マニュアルトランスミッションの後輪駆動で、0~100km/h加速約4.1秒、最高速度は320km/h以上となる。

ケブラー、カーボンファイバー、アルミニウムの複合素材ボディで乾燥重量1,100kgと軽量でこちらもピニンファリーナによるアグレッシブなデザインで固定ヘッドライトと大型リアウイングが特徴。

生産台数は約1,300台となり希少性も高く、最近の競売では6億円近い値段となっている。

フェラーリ F50

続いてF50もホールBのハイライト。

1995年から1997年まで生産された限定モデルで、フェラーリ創立50周年を記念し、F1技術を市販車に投入。4.7L自然吸気V12エンジン(F1由来のTipo F130B)を搭載し、最高出力520PS、トルク470Nmを発揮。

5速マニュアルトランスミッションの後輪駆動で、0~100km/hは約3.9秒、最高速度は325km/hになる。

カーボンファイバーモノコックシャーシで乾燥重量1,230kg、取り外し可能なハードトップが特徴でF40の後継としてよりF1よりな洗練されたスタイルになる。

アルファロメオ ジュリア・スプリント・スペチアーレの美

ホールBで私が特に気に入っているのがアルファロメオになる。

アルファロメオといえば、創業地であるミラノと、かつてミラノを支配した貴族の家紋に由来したエンブレムが象徴するイタリアのスポーツカーブランド。

歴史は古く1910年創業でレーシングカーとしても有名である。 

中でも私の心を奪っているのが、

「アルファロメオ ジュリア・スプリント・スペチアーレ」

この車は1963年に導入されたモデルで、元々ジュリエッタの後継として登場した。

1.6LのDOHCインライン4気筒エンジンを搭載し、最高出力112PS、5速マニュアルトランスミッション。 

ボディデザインはベルトーネによるもので0.28という当時では驚異的なCd値で低い流線型ボディが美しい。

最高速度は180km/h以上でレーシング仕様としても使われ、ミッレミリアなどのクラシックレースで活躍した。

実車を間近で見ると、その曲線美に惚れてしまう。 シャープなノーズに膨らんだフェンダーにメッキバンパー、リアのテールフィン風デザイン。レッドのボディカラーが映え、まるで芸術品が展示されているようだ。

内装に目を向けると、シンプルながらも洗練されたデザインに目が惹かれる。ブラックのレザーシートは体を優しく包み込み、ダッシュボードのメーター類はアナログ式でスピードメーターとタコメーターが中央に配置されている。

ステアリングホイールは細身の3本スポークでクラシックカーらしい操作感を想像させる。

シートは2人乗りで、リアシートはなく、荷物スペースとして活用可能。

このモデルの歴史を振り返ると、元々は1957年のトリノモーターショーでプロトタイプが発表されたジュリエッタ・スプリント・スペチアーレが基盤で、ベルトーネのデザイナー、フランコ・スカリオーネによるエアロダイナミクスを重視したデザインが特徴。

ジュリア版ではエンジンを1.6Lに拡大し、フロントディスクブレーキを採用して性能を向上させた。生産台数はジュリエッタ版と合わせて約1,366台と少なく、今日では希少なコレクターズカーとして知られる。 

実際にレースでは、ミッレミリアやタルガ・フローリオで活躍し、アルファロメオのスポーツ遺産を象徴する一台だ。

赤いボディのスペチアーレが一番輝いて見えるのは、照明の当たり具合もあるが、何よりそのタイムレスな美しさゆえだろう。もし機会があれば、実際に乗ってみたいと思わせる魅力に満ちている。

チゼータV16Tの希少性とスーパーカーの迫力

続いて、今回のもう一つの目玉、チゼータV16T。チゼータV16Tは、1980年代後半に開発されたイタリアのスーパーカーで、元ランボルギーニエンジニアのクラウディオ・ザンポッリが手掛けたもの。

ジョルジオ・モロダーとの共同プロジェクトとして知られ、V16エンジンを搭載した世界初の市販スポーツカーになる。

エンジンは横置き6.0L V16、クアッドターボで540PSを発揮。0~100km/h加速は4.5秒、最高速度は300km/h超えというモンスタースペック。

チゼータV16Tの歴史を少し深掘りしてみる。

この車は、1988年に発表され、1991年から1995年にかけてイタリアのモデナで生産された。

ザンポッリはランボルギーニのチーフエンジニアとしてディアブロの開発に関わっていましたが、ランボルギーニがクライスラーに買収された後、独立してチゼータ社を設立。

1991 Lamborghini Diablo

モロダーは有名な音楽プロデューサーで、投資家として参加した。

車名の「Cizeta-Moroder V16T」は、二人の名前から来ているが、後にCizeta V16Tと呼ばれるようになった。

6.0リッターのV16エンジンは、横置き配置で、

2つのランボルギーニUrracoのV8エンジンを組み合わせたような構造。(実際に公表されていないので詳細は不明)

64バルブ、8カムシャフト、2つの燃料噴射システム、4つのシリンダーヘッド、ツインタイミングチェーンを備えている。

V8エンジンが連なっている…

自然吸気で560PS、最大トルクは540N•mを発揮し、レッドラインは8800rpm。T字型のレイアウトで、エンジンを横置きにしギアボックスを縦置きにすることで、コンパクトに収めている。

5速マニュアルトランスミッションで、後輪駆動。0~100km/hは4.5秒、トップスピードは328km/hに達すると言われている。

マルチェロ・ガンディーニがデザインしたチゼータ V16Tは、ランボルギーニ・ディアブロの原型となったもの。

チゼータに関する有名なエピソードとして、

ディアブロのプロトタイプ第1案が当時の親会社クライスラーに拒否された後、第2案(修正版)が提案されたが、クライスラーはこれを不採用とした。

しかし、内部コンペで優位な案が出ず、この第2案をベースに改良を加えてディアブロの量産版デザインが完成したため、

「ディアブロの本来の姿」

と噂された。

車体はチューブラーフレームにオールアルミニウム製ボディを採用。

特徴として、上下二段式のリトラクタブル・ヘッドライト(左右各2灯がせり上がる)と、アルピーヌ・A610からの流用テールランプが挙げられる。

ワイドボディ、ポップアップヘッドライト、シザードアが特徴で、全幅は2060mmと非常にワイド。

ボディはアルミニウムとカーボンファイバーで軽量化されています。生産台数はわずか9台(プロトタイプを含むと10台以上?)で、その個体が目の前に置いてあることに日本コレクターの凄さを感じざるを得ない。

ブルネイのスルタンが複数台所有していたエピソードも有名で1995年に会社が倒産した後、ザンポッリはアメリカに移り、1999年から2003年にかけて追加生産を試みたが成功しなかった。

2つのV8を組み合わせたエンジンの音色は独特の咆哮だそうで、実際に聴ける機会は無いがYouTubeでは確認することが出来るので是非聞いていただきたい。 

まとめ

今回の河口湖自動車博物館訪問で、ホールAのクラシックカーからホールBのスーパーカーまで改めて満喫することができた。

ジュリア・スプリント・スペーチャーレに再び心奪われ、輸入車の多様な世界を実感しイタリア車の魅力を吸収できた。

私の脳裏に深く焼き付いた車両が以前トヨタ博物館に展示されていたが、現在その車両は静岡にあるそうなので時間がある時にでも見に行ってこのブログで紹介したい。

最後にR32が美しかったので撮ってしまった。

帰路ではMOOSE HILIS BURGERでボリュームのあるハンバーガーを食べた。

食べ応えがあり河口湖自動車博物館の近くにあるので是非食べていただきたい。

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ABOUT ME
Yuu
アストンマーティンDB9やマセラティグラントゥーリズモ、メルセデスベンツCクラスを過去に所有し、現在はジャガーFタイプと三菱エクリプスクロスを愛車とする30歳の整備士が運営するブログ「タチバナ記録簿 」。 フォルクスワーゲンのプロショップでフロントスタッフとして働く著者が、輸入車の維持費を安く抑える節約術や日常のメンテナンス、ちょっとした雑談をリアルに紹介。 高校生時代からの車への情熱を交え、初心者からベテランまで役立つ情報を発信。 フォルクスワーゲンのメンテナンスのコツやコストダウン方法を探しているなら、このブログを是非覗いてみてください。

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