ジャガーFタイプをJAAAAGに。エンブレムの外し方とジェレミー・クラークソン発の元ネタ
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きっかけは、『グランド・ツアー』のサハラ砂漠スペシャルだった。
ジェレミー・クラークソンが乗る白いジャガーFタイプ。そのリアの文字が、よく見ると「JAGUAR」ではなかった。

あれを見て、魔が差した。私のFタイプも、ああしよう、と。
純正の「JAGUAR」を外し、UとRをAに替えて、Gを最後に回した「JAAAAG」に付け替えた。普通の人が見てもただのふざけた奴にしか見えない。
でも番組のファンなら、後ろに付いた瞬間に気づいてくれる。
この記事では、純正エンブレムの外し方と新しい文字の貼り方、そして「Jaaaaag」という言葉の元ネタまでを書いていきたい。
先に結論
- 「Jaaaaag」はジャガーの正式な愛称ではない。 ジェレミー・クラークソンが「Jag」を大げさに伸ばした、トップギア時代からのジョークになる
- 番組が描く「ジャーグ乗り」は、 ちょっと不良で信用ならない、でも憎めない英国紳士
- 特番『サンド・ジョブ』では、ジェレミーが乗るFタイプのリアの文字が替えられていた。 今回はそのFタイプへのオマージュ
- 本人いわく、そのFタイプはサハラで何ひとつ壊れなかった。 惚れ込んだジェレミーは帰国後、同型の白いFタイプを買っている
- 純正の文字は両面テープ留めが一般的。 温めて、糸で切って、樹脂ヘラで剥がす
- 仕上がりを決めるのは位置合わせ。 外した純正の文字は捨てずに取っておきたい
今回の作業内容
ジャガー Fタイプ リアエンブレム交換
やること自体は、両面テープで貼られた文字を剥がして、新しい文字を貼るだけになる。ただし塗装面なので、手順を間違えると傷が残る。ここからは、実際に作業した順番で書いていく。
純正「JAGUAR」エンブレムの外し方
Fタイプのリアの文字エンブレムは、一般的に両面粘着テープで固定されている。ただし過去に板金作業が行われエンブレムを再利用している場合は固定方法が異なる可能性はあるので、注意してほしい。
作業を始める前に、まずは今の状態を写真に残しておきたい。
| 道具 | 使いどころ |
|---|---|
| マスキングテープ・定規(メジャー) | 元の位置を記録する。貼り直すときの基準線にもなる |
| ドライヤー | 文字と粘着テープを温めて、粘着剤を柔らかくする |
| 釣り糸(デンタルフロスでも可) | 文字の裏に通して、テープだけを切り離す |
| 樹脂製のヘラ | 残った粘着剤を削ぐ。金属製は塗装を傷めるので使わない |
| 粘着剤除去剤 | 塗装面に使えるものを選ぶ。強い溶剤は避ける |
| マイクロファイバークロス | 拭き取り用。柔らかいもので、塗装面を傷つけないように |
| 脱脂用クリーナー | 新しい文字を貼る前の下地づくり |
※特別な工具は使っていない。どれもカー用品店やホームセンターで揃う。
手順は次のとおり。焦らず、1つずつ進めるのが一番の近道になる。
エンブレムの周辺を洗う
砂やホコリを噛んだまま作業すると、それだけで傷の元になる。
元の位置を記録する
写真と寸法で残し、マスキングテープで文字の下端と中心に印を付ける。テープは文字から少し離して貼ると、後の作業で剥がれにくい。あとで泣かないための保険になる。
ドライヤーで少しずつ温める
文字と粘着テープを温めて、粘着剤を柔らかくする。塗装面を過熱しないよう、一点に当て続けない。
釣り糸を文字の裏に通す
文字の端から、塗装面とのすき間に糸を差し込む。デンタルフロスでも代用できる。
のこぎりの要領でテープを切る
糸の両端を持って左右に動かし、少しずつ進める。箇所によっては粘着部分が弱く文字をつまんで取ることができた。
残った粘着剤を落とす
除去剤でふやかしてから、樹脂ヘラかマイクロファイバータオルでやさしく拭き取る。金属工具でこじるのと、強い溶剤は厳禁。
清掃して脱脂する
表面を拭き上げて脱脂すれば、新しい文字を迎える準備が整う。
再塗装されたパネルや劣化した塗装、長年貼りっぱなしの個体では、 剥がす際にクリア層を傷める可能性がある。
補修歴の分からない中古車は、特に慎重に進めてほしい。 ヒートガンは短時間で高温になるので、DIYならドライヤーの方が扱いやすい。
不安があれば、無理をせずプロに相談してほしい。
年数が経った個体では、剥がした後に文字の形に沿って汚れや艶の差が残ることもある。汚れなら拭き取りで落ちるが、艶の差まで気になる場合は磨きが必要になる。
「JAGUAR」から「JAAAAG」へ貼り替える
新しい文字をすぐに貼りたくなる気持ちを抑えて、まずは剥がす前に付けた印をもとに、マスキングテープで基準線を作る。

文字は台紙の上で仮並べして全体の幅を確認し、車両の中心と文字列の中心を合わせる。ここで妥協すると、後ろに立つたびに気になり続けることになる。

今回用意したのは某オークションで購入した中古の純正エンブレムを使用。傷も汚れもなく非常に綺麗な状態で3,000円程度で購入できた。
接着後の洗車や水濡れのタイミングは、使った両面テープや接着剤の指示に従うのが確実だ。貼った直後は特に、高圧洗浄機を近くから当てるのは避けたい。両面テープで付いている部品なので、至近距離の水圧には強くない。
外した純正の文字は捨てない
外した「JAGUAR」の文字は、捨てずに保管しておくことをおすすめしたい。 手放すときや、純正の見た目に戻したくなったときに必要になるかもしれない。
再び使う場合は、裏に残った粘着剤をきれいに落とし、新しい両面テープを貼り直してから取り付けることになる。
なぜジャガーを「Jaaaaag」と呼ぶのか
ここで種明かしをしておきたい。

「Jaaaaag」は、ジャガーの正式な愛称でも、英国式の発音でもない。ジェレミー・クラークソンがトップギア時代から使ってきたジョークになる。
英国ではジャガーを「Jag(ジャグ)」と略して呼ぶことがある。それを「ジャーーーグ」と、もったいぶって伸ばして発音する。
それだけで、ジャガーという車とそのオーナー像を、一語で言い表してしまう。発音ひとつでキャラクターを立ててしまう、ジェレミーらしい芸だと思う。
| 誰が | 何と言ったか(意訳) |
|---|---|
| ジェレミー | ジャーグは「少しばかり不埒な」車。妻とロマンチックな週末旅行に出かけて、一晩中ウェイトレスを口説いていても許される。なぜなら、ジャーグに乗っているから |
| ハモンド | 「大変申し訳ない。お宅の犬を轢いてしまった……私のジャーーーグで」 |
| メイ | 「ジャーグ乗りは誰ひとり、完全には信用できない。でも、それがすごく好ましい意味で、ってことかな?」 |
| 公式本 | 『The Big Book of Top Gear 2011』には、「あなたはジャーグ乗りか?」という診断コーナーまであった。詐欺まがい、請求書を払わない、手癖が悪い、口説き上手 |
※海外のファン編集Wikiなどに記録されている発言を意訳したもの。放送での言い回しとは完全には一致しない。
並べてみると、散々な言われようだ。それでも読んでいると、なぜかジャガーが欲しくなってくるから困る。
もちろん「ジャガー乗りは悪人」という話ではない。ジャガーの上品さと色気があるからこそ成立する、皮肉の効いた愛情表現だと思っている。安っぽい車で同じことをやっても、ただの迷惑な人になるだけだ。
ジャガーに付いて回る「ちょっと悪い男の車」というイメージは、番組が一から作ったものではない。
1960年代のジャガー Mk2は、ウッドと革で仕立てた 「紳士の特急(Gentleman’s Express)」 と呼ばれた車だった。
その一方で、当時の英国では銀行強盗が好んで使う逃走車としても知られていた。 当時の一般的な警察車両より速く、奪った現金を積めるトランクもあったからだとされる。
紳士の車であり、悪党の車でもある。 ジェレミーの「ジャーーーグ」は、ジャガーが昔から持っているこの二面性を突いたジョークなのだと思う。
ジャガーを茶化し続けた3人とFタイプ
3人はジャガーを茶化し続けてきた。ただ同時に、ジャガーを何度も番組の主役にしてきたのも、この3人だった。流れを並べるとこうなる。
TIME LINE
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1
トップギア時代|「Jaaaaag」のネタが3人の定番になる
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2
2013年|トップギアで、ジェレミーがFタイプ V6 S コンバーチブルを試乗
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3
2018年|グランド・ツアー シーズン2第6話「Jaaaaaaaaags」が配信される
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4
2023年|モーリタニアで『サンド・ジョブ』を撮影。ジェレミーはFタイプで参加
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5
2023年|帰国したジェレミーが、白いFタイプ・コンバーチブルを購入
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6
2024年2月|『サンド・ジョブ』が配信される
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7
そして今|うちのFタイプのリアも、JAAAAAGになった
ジェレミーとFタイプの縁は、サハラよりずっと前から始まっている。

2013年、トップギアは登場したばかりのFタイプ V6 S コンバーチブルを取り上げた。ジェレミーはこの車を「常軌を逸した人のための、成人指定級のハードコアな怪物」と評している。

見た目と速さを絶賛する一方で、乗り心地の硬さには注文をつけていた。褒めるだけで終わらないのが、あの人らしいところだと思う。
2018年1月に配信されたグランド・ツアー シーズン2第6話は、タイトルがそのまま「Jaaaaaaaags」。日本では「ジャガーの魅力全開! コロラド珍道中」の題で配信されている。

古いジャガーでコロラドを旅しながら、ジャガーはスタイリッシュで少し悪党っぽいだけでなく、丈夫で信頼できる車だと証明するという回になる。
ジェレミーはスーパーチャージャー付きのXJR、メイはXK8のコンバーチブル、ハモンドは420G。途中でメイとハモンドは車を乗り換える羽目になり、最初の1台のまま最後まで走り切ったのはジェレミーだけだった。
『サンド・ジョブ』のFタイプは「何ひとつ壊れなかった」
そして決定打になったのが、2024年2月に配信された特番『サンド・ジョブ(Sand Job)』だ。日本では「激走!サハラ砂漠 ラリーカーはダカールを目指す」の題で配信されている。

舞台は西アフリカのモーリタニア。かつてのパリ・ダカール・ラリーの足跡をたどりながら、ダカールを目指す。3人が選んだのは、よりによってフロントにエンジンを積んだ後輪駆動のオープンカーであった。
| 担当 | 車 | エンジン |
|---|---|---|
| ジェレミー | ジャガー Fタイプ V6 S コンバーチブル | 3.0L V6 スーパーチャージャー |
| ハモンド | アストンマーティン DB9 ヴォランテ | 6.0L V12 |
| メイ | マセラティ グランカブリオ | 4.7L V8 |
※いずれも中古車をベースに、サスペンションとタイヤを強化し、補助灯や下回りのガードを追加したラリー仕様に改造されていた。
番組に登場したジェレミーのFタイプは、リアの文字が「JAGUAR」から例のジョークの綴りに替えられていた。私のFタイプでやったのは、要するにこのFタイプへのオマージュになる。
本人のコラムによれば、Fタイプで現れたジェレミーを見て、撮影クルーは大笑いしたという。サハラに入ればジャガーは勝手にバラバラになって、お前はハゲタカの朝食になるぞ、と。
結果は逆だった。走行距離10万kmを超える中古車だったにもかかわらず、何ひとつ壊れず、何ひとつ外れなかったと本人は書いている。

大きなジャンプからの着地も、岩だらけの登り坂もこなした。
その横で、ハモンドのDB9は序盤から不調が続いた。改造を担当した業者によれば、電装系のトラブルでサポートのメカニックが毎晩手を焼いたという。
ジェレミーは後に「僕の車が信頼できたのと同じだけ、彼の車は信頼できなかった」という趣旨のことを語っている。
サハラで壊れなかったのは事実だとしても、劇中車はノーマルのFタイプではなかった。
改造を手がけたのは、ダカール用の車両づくりで実績のある英国の専門業者(Rally Raid UK)とされる。 サスペンションとタイヤが強化され、下回りにはガードが追加されていた。
さらに、センサーに砂が入ってもリンプモードに入らないよう、電子制御にも手が入れられていたとされる。 リンプモードとは、異常を検知したときに出力を絞って走らせる、フェイルセーフの制限走行のことになる。
一方でジェレミーは、ジャガー・ランドローバーにはレンジローバー向けに作られた過酷な耐久試験があり、Fタイプもそれに合格しなければならない、という話をコラムで紹介している。
頑丈さの素地があったのは確かだと思う。ただ、ノーマルのFタイプで同じことができるという話ではない。 ここは分けて受け取ってほしい。
この旅で、ジェレミーはすっかりFタイプに惚れ込んだ。配信前のインタビューでは「あまりに見事だったので、帰国してすぐに1台買った」と語り、「ハモンドが帰国後にアストンを買ったとは思わないけどね」と付け加えている。
買ったのは、劇中車と同型の白いFタイプ・コンバーチブル。本人の話では約10年落ちの個体で、価格は2万ポンド台。日本円にして400万〜500万円ほどになる。
ディーラーに値段を提示して、その日のうちに連れて帰ったという。
購入後に書いたコラムでジェレミーは、Fタイプを「史上最も美しい車のひとつ」と書き、ずっと隠れファンだったと明かしている。
Fタイプの美しさに惹かれ、1年半かけて探し続けた私としては、ここは深くうなずくしかない。
2025年のインタビューでも、このFタイプに毎日乗っていると話している。気になるのは、電動の送風口がせり上がるときに少しきしむことくらい。それ以外は、いつもちゃんと動くそうだ。
散々ジャガー乗りを茶化してきた男が、最後は自分が白いジャガーのオープンから降りてくる側に回った。ネタで始めて、本気で惚れる。実にあの人らしい結末だと思う。
タチバナのひとりごと
『サンド・ジョブ』の3台のうち、2台は私にとって他人事ではない。今乗っているFタイプと、以前乗っていたDB9だ。
ジェレミーのFタイプはほぼノートラブル、ハモンドのDB9は不調続き。元DB9オーナーとしては、正直あまり笑えなかった。
ちなみに私のFタイプは、1年点検でクーラント漏れが2箇所見つかっている。ジェームズの言葉を借りれば、完全には信用できない。ただし、とても好ましい意味で。
まとめ
- 「Jaaaaag」は正式な愛称ではない。 ジェレミーが「Jag」を伸ばした、トップギア時代からのジョーク
- 番組のジャーグ乗りは、ちょっと不良で信用ならない、でも憎めない英国紳士
- 紳士の車であり悪党の車でもある、というジャガーの二面性は Mk2の時代から続いている
- 『サンド・ジョブ』のFタイプは、本人いわく サハラで何ひとつ壊れなかった
- ジェレミーは帰国後、同型の白いFタイプ・コンバーチブルを買っている
- 純正エンブレムは温めて糸で切る。 金属工具と強い溶剤は使わない
- 再塗装や劣化した塗装の個体は、クリア層を傷める恐れがある。不安ならプロに相談を
- 仕上がりを決めるのは位置合わせ。 外した純正の文字は捨てずに保管
エンブレム交換そのものは、たいした作業ではない。エンブレムの外し方と、粘着剤の処理、そして位置合わせ。気をつけるのはこの3つになる。
普通の人にはほぼ純正に見えて、番組のファンには元ネタが伝わる。これで多少わがままな運転や駐車をしても許される、というわけでは残念ながらない。
それでも、私のFタイプは立派なJAAAAGになった。
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