Nostalgic 2days(ノスタルジック2デイズ)に行ってきた! 「ロードスター」から生み出されたジャガー XKSSの造形美に感動。

初めて行くノスタルジック2デイズ

ブログを初めてから自動車イベントに訪れる回数が増えたが、今回は国産旧車の出展がメインのイベントであった。


休日というのもあり、来場者は非常に多い印象だった。
特に「ハコスカ」の愛称で呼ばれているC10型スカイラインやR32 GT-R、フェアレディ240Zといった日産の車両が特に多く目立ち来場者はカメラを向けてシャッターを切っていた。

私の国産車の知識は輸入車と比べかなり乏しいが、フルチューンされたカスタム車や希少な国産車を見れたのは非常に楽しい時間を過ごせた。

その中でも特に惹かれたのがArt racingのブースであった。
Art racing

Art racingは愛知県名古屋市に拠点を置き、カスタムモデルやコンセプトカー、クラシックカーを再現するコンプリート•カービルダーになる
いわゆる「レプリカモデル」のワンオフ製作となるが、私はレプリカとは知らずに初めてガルフカラーのGT40を見た時は本物だと勘違いしてしまった程に完成度が非常に高い。
今回展示されていたフォードGT40はトヨタのビートをMR-Sとしたモデルであるが外観上ではMR-Sの面影は何処にも見当たらない。

本物のGT40と間違えてしまうのはボディデザインの仕上がりも勿論のことだが、ほぼ同じ寸法で全長と全幅が製作されていることがより本物との見分けを付かなくさせている。
ノスタルジック2デイズに展示されていたGT40はMR-Sではなくホンダのビートをベース車両にしていたそうで、ベースモデルであるビートはホイールベースが本物のGT40とは約20cm違い最低地上高は約3cm高くなりホイールベースが短くなった分、縮小デザインに変えなければならない問題が発生したそうだ。対するMR‐SベースとなったART GT MKIはGT40と同サイズで製作されている。
GT40の流線的でアメリカンマッスルカーらしい盛り上がったホイールアーチが特徴的なフロントカウルはアルミ板から叩き出すという熟練した技術で製作された。

私は日々の仕事でアルミ板から1から何か生み出すという作業は無いので、同じ自動車業界であっても点検したり故障を修理していく作業では味わえない面白味があると感じた。

話をしていただいた担当者によると、フロントボディやリアボディ、左右の特徴的なドアは3Dデーターを元にFRP(繊維強化プラスチック)で成形された。ドアのボディ上部まで開閉するサイドドアはドライバー交代をし易くする為に考案され全高が低いGT40ではあるが太いサイドシルを除くと比較的乗車しやすいという。
今回展示されているMR-SベースのGT40は違和感なく自然に仕上げられていたので私は全く気が付かなかった。
一部の界隈では「所詮レプリカだろう」「本物に乗らないと意味がない」と思う人が一定数必ず存在する。

しかし、私はレプリカモデルには違いないが目の前のART GT MKIから凄まじい熱量を感じた。
1台製作するのに莫大な時間と集中力が詰め込まれたレプリカモデルを鼻から否定するのは検討違いであると私は思う。

ART XKSS

そして私がノスタルジック2デイズで最も欲しいと思ったのがART XKSSになる。

数ヶ月前までジャガーが新しいブランディングの為に奇行?といわれるような数々のプロジェクトを発表したが、今では何事もなかったように静まり返りジャガーブランドの終焉をただ待っているような雰囲気である。
そんな危機的状況にあるジャガーであるが、半世紀以上前のジャガーXKSS頃の輝かしい時代に遡っていきたい。
そのジャガー XKSSは1955 年、1956 年、1957 年に優勝し、ルマン 24 時間レースを席巻したDタイプであったが、1957 年までにジャガーは売れ残った Dタイプのシャシーから利益を生み出したく悩んでいた。

その結果がXKSSであり、Dタイプとは違い助手席まで繋がるフロントウィンドウや乗降をし易くする為のドアを用意し運転席後部のフィンを取り外した。
公道走行用バージョンであるXKSSは史上初のスーパーカーとして位置付けられるポテンシャルを秘めていた。

3.5リッター6気筒エンジンと4速トランスミッションを搭載し最高速度は約240km/hに到達し人々にセンセーションを巻き起こした。
その後悲劇が起こり、1957 年 2 月にジャガーの生産ラインであるブラウンズ レーン工場で発生した火災により、XKSSの未完成であるシャーシ9台が焼失し25台の生産予定が16台となってしまった。
約60年後の2016年7月5日に同社はこの災害を偲んで、ジャガー・クラシック部門を通じて手作業で作り上げるオリジナル仕様のXKSSを9台製造することを決定し、2017年に顧客へ納車された。
そういった悲しい歴史を持つXKSSをArt racingがライトウエイトスポーツカーであるマツダのロードスターをベースに新しい形となって誕生した。

ロードスターという絶対的な信頼度がある車両をベースにDタイプの直列6気筒から直列4気筒へ変更し整備性や今後のアフターパーツを確保するにも容易であることを理由に採用したという。

GT40同様にロードスターの面影は何処にも見当たらない。
フロントカウル、ドア、フロントウィンドウ、リアカウルにいたる全てのパーツがハンドメイドによって作られクラシックジャガーの美しいフェンダーラインも見事に再現されている。

本物を見たことがないので実寸は不明だが、XKSSとロードスターのサイズ感は見事にマッチングし新たな姿へと変貌を遂げている。
特に私がじっくり眺めていたのがヘッドライト周りの造形で細部にもArt racingの熟練した技術が多数見ることができた。

ジャガーのコアなファンでさえ、レプリカなのか判断出来るか分からないくらいインテリアに関しても完成度が非常に高かった。

どの自動車メーカーも最近は原点回帰ということで旧モデルの復活や旧モデルのデザインを現代風にリデザインした新型車を発表しているが、私はメンテナンスし易く維持や故障も気にしないで美しいボディに酔いしれることの出来るカービルダー事業に更に注目していきたい。

因みに私はお金が有り余っているのなら、ジャガー XJ13をArt racingにて製作依頼したいと思っていた。
その他にも数々の魅力的なカスタムカーやクラシックカーか展示されていたので下記のリンクから覗いてみていただきたい。
