ケーニグセグ

世界125台のうちの1台が目の前に!!ケーニグセグ「ジェスコ」の進化したエアロダイナミクスは圧巻

Yuu

ハイパーカーという異次元の世界

2週間近くまともな休日が無く、忙しい日々を過ごしている中でようやく1日ゆっくりできる休日を満喫してきた。

タイミングも良く、ビンゴショールーム展示されているというケーニグセグ「ジェスコ」を見に溜池山王まで足を運んだ。

私は仕事だったので走行している姿を見ることが出来なかったが、先週にザ・ペニンシュラホテルズ主催「Japan Driving Experience」にジェスコが参加している。

少なくとも4台の「ジェスコ」が日本に

Koenigsegg Jesko

現在ビンゴスポーツに展示されている個体はボディ色はクリスタルホワイトといったパールホワイトで纏われており、オーダーメイドで青色と黄色のストライプがスウェーデンの国旗を表現している。

ケーニグセグ ジェスコ BINGO SPORTS ビンゴスポーツ アゲーラ レゲーラ E85バイオ燃料 エンジン スペック 最高速 加速 デザイン LST トランスミッション
変速 Light Speed Transmission,

ケーニグセグは一貫してシンプルなデザインであると私は思う。

ハイパーカーブランドの中では強烈な印象を与えるフォルムではないが、謙虚で伝統的なフォルムは人々を虜にする。

私はレゲーラやアゲーラと比べフロント周りが大人しくなったと感じた。

Koenigsegg Regera
4台のうちの1台

ジェスコを手掛けたのはヨアヒム・ノードウォールというデザイナーであり、前作はレゲーラもデザインにも携わっている。

なので雰囲気はレゲーラに似ており、ヘッドライトは更に細くシンプルに変更されフロントには巨大なフロントスプリッター、ボンネットにはダクトが設けられエアロダイナミクス効果が向上しケーニグセグではお馴染みのラップアラウンド•ウィンドウスクリーンはルーフラインが高くなったことでより戦闘機のようなフォルムになった。

因みにジェスコはアゲーラよりも30mm車高が高くなり前方視界も良くなって全長は更に40mm伸びたという。

ケーニグセグがラップアラウンド•ウィンドウスクリーンを採用している利点として抗力効率と高速安定性を提供することができると述べており、ボディ上半身の揚力を低減することでリアウイングには整流された良質なエアが流れ込む。

アゲーラ One:1にも採用され階層式リアウイングは新設計されコントロール性を向上させる為に可能な限り後方へ配置し、ウイングを大きく湾曲させている。ブーメランのような形状にすることで表面積を大きくしダウンフォースを最大限に得るようにしているが、リアウィングの角度は可変しダウンフォースや低抗力の設定が可能で運転状況に応じて自動的に制御させ250 km/h走行時に800 kg、最大で1,400 kgのダウンフォースを発生させる。

ケーニグセグ ジェスコ BINGO SPORTS ビンゴスポーツ アゲーラ レゲーラ E85バイオ燃料 エンジン スペック 最高速 加速 デザイン LST トランスミッション
変速 Light Speed Transmission,
ケーニグセグ ジェスコ BINGO SPORTS ビンゴスポーツ アゲーラ レゲーラ E85バイオ燃料 エンジン スペック 最高速 加速 デザイン LST トランスミッション
変速 Light Speed Transmission,

様々なデザイン細部への徹底的なこだわりにあるジェスコにはミニマリズムの要素が多く取り込まれているそうだ。

そのミニマリズムの先駆者と呼ばれているのがディーター・ラムスという人物であり、その影響が色濃くジェスコに反映されている。

ディーター・ラムスのデザイン理論の根本はシンプルで機能性を第一に考えて何かを作る、という点であり、

 “Less, but better.(より良いデザインは、より少ないデザインである)”

というデザイン哲学を提唱している。

装飾だけであれば、それは不要で無駄であるということになる。

そこでケーニグセグはディーター・ラムス流のデザインをジェスコに応用し、それを最大限まで高められた。

 以下ケーニグセグ ジェスコの諸元表になる。

全長×全幅×全高4,610×2,030mm×1,210mm
車両重量1,420kg
エンジン型式不明
最高出力1,298PS
最大トルク1,000N・m
エンジン種類ケーニグセグ ツインターボチャージャーV8
総排気量5,032cc
トランスミッション9速マルチクラッチトランスミッション

エンジン基本スペック

ジェスコに搭載されているエンジンは、5.0L(5,065cc)のツインターボV8エンジンになる。このエンジンは、ケーニグセグの従来モデルであるアゲーラから進化したもので世界から注目されたこのエンジンを紹介していきたい。

•通常ガソリン(オクタン価91)
:1,298PS、トルク1,000N⋅m

•E85バイオ燃料
:1,622PS、トルク1,500N⋅m

このパワーは、E85燃料(エタノール85%混合燃料)を使用することで大幅に向上する。E85を使うと、エンジンの点火タイミングを進めることができ、ブースト圧を高め、空燃比を柔軟に調整することでパワーが引き出される。ジェスコのエンジンは、公道走行可能な量産車としては世界最高レベルの出力を持つ内燃機関の一つとされている。

しかし、最高速度の記録を樹立するためには適切なテストコースが必要でケーニグセグは、ジェスコ アブソルートの最高速度テストを計画しているが、具体的な日程や場所は公表されていない。

ケーニグセグ・ジェスコ(Koenigsegg Jesko)の最高速は、モデルのバリエーションによって異なり、ジェスコには、基本モデルの「ジェスコ」と、最高速度を追求した「ジェスコ・アブソルート(Jesko Absolut)」の2つのバージョンが存在している。

•ジェスコ(基本モデル)
:ダウンフォースを重視した設計で、最高速度は約480 km/hとなっている。

•ジェスコ・アブソルート
:最高速度を追求したモデルで、空気抵抗を最小限に抑える設計が施されている。ケーニグセグは、ジェスコ・アブソルートの最高速度が500 km/hを超えると公言していますが、公式な記録はまだ公開されていません。理論上は530 km/hに達する可能性があるとされているが、実際のテストは先程も言ったとおり行われていない。

参考までに、前モデルのアゲーラ RSは、2017年に447.19km/hの世界記録を樹立している。ジェスコ アブソルートは、この記録を大幅に上回ることを目指している。

エンジン設計と技術的な特徴

フラットプレーンクランクシャフト

ジェスコのV8エンジンには、180度フラットプレーンクランクシャフトが採用され、以下の特徴がある。

•軽量設計
:重量はわずか12.5kgで、V8エンジンとしては世界最軽量クラス。スウェーデン南部の工場で、1つの鋼鉄ビレット(塊)から削り出されている。

•高回転性能
:フラットプレーン設計により、バンク間での均等な点火が可能となり、エンジンの回転数が最大8,500rpmまで上昇(アゲーラの8,250rpmから向上)この高回転域でのパワー供給が、ジェスコの驚異的な加速性能を支えている。

ニュートラル状態では、ジェスコのエンジンは0~7,800rpmまで0.21秒吹け上がる。

※我らが日本の国宝車でもあるレクサスLFAは0~9000rpmまで0.6秒で到達する。

•独特のサウンド:フラットプレーンクランクは、自然吸気エンジンのような高音域の咆哮を伴う独特なエンジン音を生み出す。ターボチャージャー付きでありながら、自然吸気エンジンのような感覚がドライバーの脳に訴えかける。

軽量なコンロッドとピストン

フラットプレーンクランクは高回転で振動が大きくなる傾向がありますが、ケーニグセグはこれを軽減するために以下の工夫を施している。

•超軽量コンロッド
:ケーニグセグのエンジン設計者であるトーマス・ヨハンソン博士が設計したコンロッドは、プレミアムスウェーデン鋼を使用し、ボルト込みでわずか540gと超軽量。チタン製のものと同等の軽さでありながら、より高い強度を誇る。

•ピストン
:ピストンも軽量化され、1個あたり約285gになる。セラミックコーティングが施され湾曲したピストンヘッドは、燃焼室の形状を最適化し、ピーク圧力を抑えつつ高い平均圧力を維持する。これにより高出力時でもホットスポット(一部が高温となる現象)やデトネーション(異常燃焼)を防いでいる。

ターボチャージャーとターボラグ対策

ジェスコのエンジンには、大型のツインターボチャージャーが搭載されているが、ターボラグ(タービンの応答遅れ)を最小限に抑えるための革新的なシステムが導入されている。

•エアインジェクションシステム
:20リットルのカーボンファイバー製エアタンクが搭載されており、電動コンプレッサーによって最大20barの圧縮空気を蓄えている。この空気をターボチャージャーに直接噴射することで、低回転域でも即座にブースト圧を立ち上げ、ターボラグをほぼ完全に排除する役割を持つ。

•触媒の効率化
:このエアタンクは、エンジン始動時に排気系に空気を噴射し、触媒コンバーターを素早く暖める役割も果たす。これにより、排出ガスを低減し、2026年までのグローバル排出基準にも適合する設計となっているという。

•ターボの設計
:セラミックボールベアリングを使用したターボチャージャーは、応答性を高め、最大ブースト圧は通常ガソリンで1.8bar、E85で2.2barに達する。

燃料供給と燃焼制御

ジェスコのエンジンは、効率的な燃焼を実現するために高度な技術が新たに加えられている。

•3インジェクターシステム
:各シリンダーに3つの燃料インジェクターが配置されている。従来の2つのインジェクター(燃料レールに配置)に加え、インテークプレナムに3つ目のインジェクターを追加。これにより、吸気トランペット直上で燃料を噴射し、シリンダー内の冷却効果を高め、燃焼をよりクリーンにする。

•シリンダー内圧センサー
:量産車としては世界初となる、各シリンダーに個別の圧力センサーを搭載。点火から最大圧力に至るまでの時間を計測し、エンジンコントロールユニット(ECU)が点火タイミングをリアルタイムで調整する。これにより、各シリンダーが最大効率で動作し、パワーと効率の両立が可能。

•圧縮比
:圧縮比は8.6:1(一部資料では9.0:1とも記載)。ターボエンジンとしては比較的低めであるが、高ブースト圧と組み合わせることで効率的なパワー供給を実現している。

軽量素材と構造

エンジン全体の重量は約189kg(417ポンド)と非常に軽量で、様々な素材が使用されている。

•エンジンブロックとシリンダーヘッド:アルミニウム製

•インテークマニホールド:カーボンファイバー製で、吸気効率を最大化する形状に最適化

•エキゾーストシステム:インコネル(超軽量スーパーアロイ)製で、厚さはわずか1/32インチ。TIG溶接とセラミックコーティングが施され、軽量かつ耐久性のある設計になる。

その他の特徴

•ドライサンプオイルシステム:通常のオイルパンではなく、ドライサンプ方式を採用。これにより、エンジンの重心を下げ、極端なコーナリング時でもオイル供給が安定する。

•アクティブエンジンマウント:レゲーラ(Regera)から引き継がれた技術で、低速走行時には振動を抑え、高速走行時にはエンジンをしっかりと固定するアクティブマウントを採用。快適性とパフォーマンスの両立を図る。

LSTの基本構造と特徴

LST(Light Speed Transmission)は、9つの前進ギアと7つの湿式マルチディスククラッチを備えた自動トランスミッションで、以下の特徴を持っている。

超高速シフト

・ギアチェンジは約0.2秒で完了し、事実上「光速」に近い速度を実現。

非シーケンシャルシフト

・従来のDCTが隣接ギア(例: 7速→6速)に限定されるのに対し、LSTは任意のギア間(例: 7速→4速)を直接シフト可能。

軽量・コンパクト

・重量は液体を含めて約90kgで、従来のDCT(例: フェラーリやマクラーレンは約125kgの重量がある)より大幅に軽量。長さも従来の7速DCTの半分程度に抑えられる。

UPOD技術

「Ultimate Power On Demand(究極のオンデマンドパワー)」により、ドライバーの要求に応じて最適なギアを瞬時に選択。

フライホイールとクラッチの排除

・エンジンとトランスミッションの間に従来のフライホイールやシングルクラッチが存在せず、軽量なクランクシャフトと直接接続。これにより、エンジンのレスポンスがF1マシンのように鋭くなる。

内部構造と動作原理

LSTの核心は、3つのシャフトと7つのクラッチによる独自の設計にある。以下にその仕組みを詳しく説明していく。

LST(Light Speed Transmission)

3軸構成のトランスミッション

•インプットシャフト: エンジンから直接トルクを受け取る。

•カウンターシャフト: 3つのギアを持ち、入力シャフトからのトルクを伝達

•アウトプットシャフト: 最終的に後輪(または全輪)にトルクを伝える。3つのギアを持つ。

これらのシャフトは、6つのギアペア(3×3の組み合わせ)で9つのギア比を生成。従来のDCTでは9速を実現するために9つのギアペアが必要だが、LSTは複合ギア設計により効率化。

7つのクラッチ

•6つのクラッチが前進ギヤを担当(各ギヤペアに対応)

•1つのクラッチが後進ギヤを担当。後進はギヤセットをスキップし、インプットシャフトとアウトプットシャフトを直接接続して回転方向を反転。

•追加の8番目のクラッチは電子制御デファレンシャルに使用(一部モデル)

クラッチの動作

•各クラッチは油圧アクチュエーターと圧力センサーで制御され、0.2秒以内に開閉可能。

•1つのクラッチが後進ギヤを担当。後進はギヤセットをスキップし、インプットシャフトとアウトプットシャフトを直接接続して回転方向を反転。

•追加の8番目のクラッチは電子制御デファレンシャルに使用(一部モデル)

•各クラッチは油圧アクチュエーターと圧力センサーで制御され、0.2秒以内に開閉可能。

•ギア選択は、従来のシンクロナイザーやセレクターフォークを使わず、クラッチの開閉だけで行う。これにより、機械的な移動が不要でシフトが高速化。

ギアチェンジの仕組み

LSTの最大の特徴は、非シーケンシャルシフトとUPOD技術になる。

•非シーケンシャルシフト: すべてのギアが常時噛み合った状態で、クラッチの開閉だけでギアを選択。

•例: 9速から2速へのシフトでは、9速で使用していたクラッチ(例: クラッチ3と6)を解放し、2速に必要なクラッチ(例: クラッチ1と5)を同時に閉じる。これにより、5速や6速を経由せずに直接2速へ移行。

•この動作は、3シャフト構成と7つのクラッチにより、どのギアペアも瞬時にアクセス可能だから実現できる。

UPOD(Ultimate Power On Demand)

•ドライバーがパドルシフトを「強く引く」か、シフトレバーを特定の位置まで動かすと、トランスミッションのコンピュータがエンジン回転数や車速、アクセル開度に基づいて「最大加速に最適なギア」を自動選択。

•例: 7速で走行中にUPODを起動すると、4速が最適と判断されれば瞬時に4速へシフト。

•通常のシフト(パドルを軽く引く)では、1段ずつギアを変更。

具体例: 9速から2速へのシフト

•9速の状態: クラッチ3と6が閉じ、入力シャフト→中間シャフト(ギア3)→出力シャフト(ギア6)の経路でトルク伝達。
ケーニグセグ ジェスコ BINGO SPORTS ビンゴスポーツ アゲーラ レゲーラ E85バイオ燃料 エンジン スペック 最高速 加速 デザイン LST トランスミッション
変速 Light Speed Transmission,
•2速への移行: クラッチ3と6を開放し、クラッチ1と5を閉じる。トルク経路が入力シャフト→中間シャフト(ギア1)→出力シャフト(ギア5)に切り替わる。
•時間: このプロセスは約2ミリ秒で完了し、トルクの中断がほぼゼロ。

デュアルクラッチトランスミッション(DCT)も同じ原理で動作するが、片方のクラッチが開くともう片方のクラッチが閉じる。

DCTの問題点は1度に前後ののギアしか事前選択できないことで、1速であればR、2速をスタンバイに、3速であれば2速又は4速がスタンバイ状態になっておりトランスミッションECUが走行状態に応じて変速を実施する。

この一連の動作は完璧に見えるがクリスチャン・フォン・ケーニグセグはLSTを開発するにあたってDCTだと最適なギヤへのシフトダウンに時間が掛かることに気付いていた。

ケーニグセグ・ジェスコの5.0LツインターボV8エンジンは、軽量クランクシャフト、先進的なターボシステム、精密な燃焼制御、そして革新的なトランスミッションとの組み合わせにより、圧倒的なパフォーマンスを実現した。

パワー、効率、ドライビングフィールを高いレベルで両立させたこのエンジンは、ハイパーカー史に残る名機の一つであると私は思う。目の前にあったケーニグセグ ジェスコは、まさにエンジニアリングの極致を示す一台だった。

出典:Is the Koenigsegg Jesko the World’s Fastest-revving Production-car Engine?

出典:2024 Koenigsegg Jesko for sale | Official UK Koenigsegg Dealer | SuperVettura

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ABOUT ME
Yuu
現在30歳の男性。フォルクスワーゲンのプロショップでフロントスタッフをしています。 アストンマーティンDB9、マセラティ グラントゥーリズモを所有していました。 現在はメルセデスベンツ Cクラスに乗っています。 いかに安く維持するか日々節約との勝負でその奮闘記やちょっとした整備や雑談を紹介したいと思っています。

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