レンジローバー ヴェラール P400eに試乗。街中で感じた大きさ、PHEVの走り、乗り心地を勝手に評価した。
久しぶりに運転したランドローバー

写真で見たときからレンジローバー ヴェラールは端正なSUVだと思っていた。今回、そのヴェラール P400eを山道や高速道路、市街地を走らせる機会があった。
今回試乗したヴェラールは2.0Lガソリンターボエンジンと電気モーターを組み合わせたプラグインハイブリッド(PHEV)だ。
結論から言えば、ランドローバーというブランドは私のようなフロントスタッフが似合う訳はなかったが、実際にハンドルを握り運転してみるとを今まで運転してきた車とは違った気づけないことがいくつも見えてきたので紹介していきたい。

ヴェラールの諸元表
今回試乗したヴェラールは現行型ヴェラールで走行距離が5,000㎞未満のほぼ新車に近い車両であった。
| 車名/グレード | レンジローバー ヴェラール P400e |
|---|---|
| パワートレイン |
プラグインハイブリッド(PHEV) 2.0L直列4気筒INGENIUMガソリンターボ+電気モーター |
| システム出力 |
最高404PS(約297kW)/最大640Nm モーター単体:約143PS・105kW |
| 駆動/トランスミッション | フロント縦置き・AWD・8速オートマチック |
| 駆動用バッテリー | 総容量 約19.2kWh・リチウムイオン |
| EV走行距離 |
公称最大64km/想定実用最大約51km 試乗開始時の表示は約40km |
| ボディサイズ |
全長 約4,797mm × 全幅 約1,930mm × 全高 約1,683mm ホイールベース 約2,874mm |
| 車両重量 | 約2,290kg |
車両概要
- 車名
- レンジローバー ヴェラール P400e
- サイズ
- 全長4,797 × 全幅1,930 × 全高1,683mm
- ホイールベース
- 約2,874mm
- 重量
- 約2,290kg
PHEV・EV性能
- エンジン
- 2.0L直列4気筒ガソリンターボ+電気モーター
- 最高出力
- 404PS
- 最大トルク
- 640Nm
- バッテリー
- 約19.2kWh
- EV距離
-
公称最大64km/想定実用最大約51km
試乗開始時は約40km表示
駆動系
- 駆動方式
- AWD
- 変速機
- 8速オートマチック
- エンジン配置
- フロント縦置き
※数値は現行型ヴェラール P400eの公式諸元に基づく代表値。 全幅はボディ幅で、ドアミラーを含むとさらに広くなる。 EV走行距離は海外仕様の参考値を含み、日本仕様や試乗車の正確な仕様は車両資料または販売店で確認が必要。
ヴェラールを運転してみて
細かい話に入る前に、今回の試乗で受けた第一印象を整理しておく。星の数や100点満点の採点はしなく、あくまで私が街中で感じたままの評価になる。
正直に言えば、ヴェラールの車体はデカい、というのが率直な第一印象だった。
全長約4.8m、ボディ幅だけで約1.92mで私のFタイプよりも僅かに大きい。ドアミラーを含めれば、さらに幅は広がる。ホイールベースも約2.87mと長い。
一般的な乗用車とのすれ違いでは大きな問題はなかった。
ただ、狭い道路で大型トラックやフルサイズSUVと対向した場面では、かなり神経を使った。古い市街地の細い道や住宅街に入ると、左側の車両感覚と、ボンネット左端の位置に意識を集中させる必要がある。

着座位置が高くボンネットが見えるので前方の見切りは悪くないが、それでも「車幅を意識するクルマ」であることは変わらない。
もちろん、360度カメラやパーキングセンサーは備わり、駐車や幅寄せは支援してくれる。
ただ、運転支援装備が充実していても、車体の物理的な幅そのものが小さくなるわけではない。商業施設の駐車枠や、機械式・立体駐車場では、事前にサイズの確認をしておきたい。
試乗開始時、メーターにはEV走行可能距離が約40kmと表示されていた。正確な充電率は確認していない。まず断っておくと、この約40kmは私が試乗車のメーターで確認した表示値であって、カタログ上の公式EV航続距離ではない。数値の位置づけを整理すると、次のようになる。
- 最大64km: WLTP上の最大EV走行距離(海外公式値)
- 最大約51km: メーカーが示す想定実用走行距離
- 約40km: 今回の試乗開始時に実車へ表示されていた距離
今回はハイブリッドモードで走り出した。ところが、EV走行可能距離は私の想像よりも早く減っていった。当初は「ハイブリッドモードなら、エンジンとモーターを均等に使いながら、バッテリーをもう少し長く残すのではないか」と考えていたのだが、実際には走り始めてから比較的早い段階で表示がみるみる減り、やがてガソリンエンジン主体の走行へ移行した。正直、P400eの制御に少し疑問を感じた場面だった。

いずれにしても、2.3トン近い車重をモーターだけで賄うには、それなりに電力を使う。表示の減り方だけを見て「バッテリーがすぐ空になる」と早合点するより、この学習補正の仕組みを理解しておいた方が、P400eとは付き合いやすい。
タチバナのひとりごと
輸入車整備のフロントスタッフとしての一言
EV走行可能距離の表示が早く減る背景として考えられる要素
PHEVの走行可能距離表示は、直前の走行履歴をもとにした学習補正で決まるため、 実際のバッテリー残量をそのまま距離へ置き換えた数値ではない。 「この使い方なら、あとどのくらい走れそうか」という予測値に近いものだ。 外気温、車内空調やシートヒーターなどの電装品、アクセル開度、車速、坂道、 車両重量、バッテリー温度、エンジンの暖機要求といった条件が重なると、 同じ残量でも表示距離は短めに振れやすい。 ただし、今回の試乗では外気温や空調条件を細かく記録していないため、 どれが主な原因だったのかまでは断定できない。
P400eはエンジン走行中に駆動用バッテリーを充電するのか?

EV走行可能距離が早く減ったことで、次に気になったのが「では、エンジンで走っている間にバッテリーは充電されるのか」という点だ。ここは混同しやすいので、いくつかに分けて整理したい。
回生ブレーキによる充電
減速時やブレーキ操作時には、モーターを発電機として使い、駆動用バッテリーへ電力を戻す回生充電が行われる。
ただし、市街地でこまめに回収できるエネルギーだけで、走行に使った分をすべて取り戻せるわけではない。「エンジンで積極的に充電すること」と「減速時の回生充電」は、別物として考えたい。
エンジン駆動による充電
バッテリー残量の維持やシステム制御上、走行中にバッテリーへ電力が戻る場面は今回のヴェラールでは感じ取れなかった。ランドローバーの公式サイトでは一部の車種のシステムに充電機能が搭載されているそうだ。
SAVEモード(バッテリー温存機能)
ヴェラールには、バッテリー残量を温存するSAVEモードが用意されている。

SAVE機能は、選択したバッテリー残量を下回らないよう制御し、後の市街地走行などに電力を残すための機能だ。ランドローバーの資料によれば、保ちたい残量をPivi Proのタッチスクリーンから設定できる。高速道路などエンジンが効率よく使える場面でSAVEを使い、市街地に入ってからEV走行に切り替える、といった使い方が想定されている。
一部モデルでは走行中に残量を回復させる機能も案内されているが、今回の試乗車と同じ日本仕様・年式における詳細な制御は確認できていない。
EV走行可能距離が0kmになった後
メーターのEV走行可能距離が0kmになっても、エンジン駆動として制御が変わり、駆動用バッテリーが物理的に完全放電しているとはならない。
一般にPHEVでは、バッテリー保護、エンジン再始動、ハイブリッドアシスト、発進補助、回生エネルギーの受け入れといった用途のために、一定の電力が保護領域として残される。表示上の0kmと、電池が空になることはイコールではない、と考えておく。
オートホールドからの発進で感じた衝撃

今回の試乗で、私が特に気になったのがこれだ。オートホールドが作動した停止状態から発進する際、何度か、トランスミッションが突然つながったような「ドンッ」という強い衝撃を感じた。
毎回発生したわけではない。私のアクセル操作や、オートホールドが解除されるタイミングが影響した可能性もある。ただ、ごく普通の発進操作の中で複数回感じたので、単純に私の操作だけが原因とも言い切れない。ヴェラール P400eは、電気モーターを組み込んだ8速オートマチックトランスミッションを採用している。今回感じた衝撃については、オートホールドの解除、モータートルクの立ち上がり、ガソリンエンジンの始動、トランスミッション内部の駆動力制御などが重なった可能性が考えられる。ただし、これらも原因として断定はできない。
- オートホールドがブレーキを解除するタイミングと、 アクセルによるモータートルクの立ち上がりが重なった
- モーター駆動からエンジン駆動へ移行する、 あるいはガソリンエンジンが始動する瞬間の挙動
- トランスミッション内部の駆動力制御と、 PHEVの駆動力立ち上がりが重なった過渡的な挙動
- 路面の勾配、バッテリー残量、エンジンの冷間・暖機状態などの条件差
シンプルだが上質なインテリア


内装は、さすがランドローバーと感じた。ただし、それは装飾を大量に盛り込んで豪華に見せる方向ではない。ダッシュボードは水平基調で伸びやかに広がり、視覚的に落ち着く。レザーやステッチ、金属調パーツを、広い面の中へ節度をもって配置している。線を増やして情報量で圧倒するのではなく、素材と余白で質感を出すインテリアだ。
センターコンソールやドアトリムも、パネル同士のつながりが自然で、スイッチや画面の配置に無理がない。派手さはないのに安っぽく見えない。
この匙加減が、現代の英国車らしい落ち着きだと思う。「高級感がある」で片づけるより、なぜ高級に見えるのかと言えば、要素を足すのではなく、質の高い素材を静かに並べているからだ。
インフォテインメントは反応がよく使いやすい
インフォテインメントは、素直に使いやすいと感じた。

ヴェラールが搭載するPivi Proは、湾曲した大型タッチスクリーンを中心とした構成で、タッチへの反応がよく、スクロールも滑らかだった。
メニューの切り替えにもたつきが少ない。Apple CarPlayやAndroid Autoのワイヤレス接続にも対応するが、対応状況は年式・仕様により差があるため要確認だ。

ヴェラールは空調操作などもディスプレイ側へ集約されている。ここはメリットとデメリットの両方がある。

ステアリングとメーターの視認性
運転席まわりで好印象だったのが、ステアリングとメーターの扱いやすさだ。ステアリングスイッチは、触れただけで反応してしまう分かりにくいタイプではなく、操作した感触がしっかり伝わり、運転中でも扱いやすかった。

ステアリングホイールは、グレー系レザーとブラックを組み合わせた2色構成。スポークはSUVだからといって過度に太くはなく、ステアリング自体も大きすぎず小さすぎず、ちょうどよいサイズに感じた。握った印象は素直で、クセがない。
以前試乗したプジョーのi-Cockpitは、小径ステアリングの上からメーターを見る独自の構成が特徴だが、私の体格とシートポジションではメーターが見えにくく感じた。
これはi-Cockpitそのものやプジョー全車を否定する話ではなく、あくまで私の体格との相性の問題だ。その点、ヴェラールはステアリングとメーターの位置関係が一般的で、自然な姿勢でメーターを確認でき、視線移動も無理がなかった。
安心して運転に集中できたのは、地味だが大きな美点だと思う。

私は身長172cm、体重73kg。自分に合わせた運転席のシートポジションを保ったまま後席へ座ってみたが、膝前と足元には十分な余裕があった。今回確認できた範囲では、少なくとも大人4人で移動する用途なら、後席の広さに大きな不満は感じにくそうだ。


ただし、これは私が実際に座って確認した範囲の話だ。中央席の座り心地や後席の細かな装備、長距離での快適性までは今回すべてを確かめていない。海外レビューでは、大人4人がゆったり、5人ならやや詰まる、といった評価も見られる。

なお、PHEVはバッテリーを搭載する都合上、ガソリン車よりラゲッジ容量が小さくなる点は、購入前に確認しておきたい。
VW車より柔らかく、上質に感じる乗り心地
乗り心地は、普段私が触れているフォルクスワーゲン車と比べて、少し柔らかめだと感じた。ただ、単に柔らかいだけではない。路面からの入力を、角の取れた感触に整えてから室内へ伝えるようだった。路面の細かな凹凸に対する当たりが穏やかで、入力の角を丸めてから室内へ届けてくる印象だ。

もっとも、フォルクスワーゲン車と言っても、車種・タイヤ・サスペンションによって乗り味は大きく異なるサイズ感の近いティグアンと比べてみての話であるが。ひとまとめに語れるものではない。
ヴェラールのホイールサイズは21インチにジャガー/ランドローバー承認のLATITUDE TOUR HPを履き少なくとも市街地では普段のVW車よりも柔らかく、路面からの入力を穏やかに処理する印象だった、という範囲でとどめておく。

ヴェラール P400eは、「パワーや速さを前面に出して、ぐんぐん加速する車」とは感じなかった。ただ、これは絶対的な性能が低いという意味では決してない。システム最高出力404PS、システム最大トルク640Nm。数値上の動力性能は十分に高い。市街地で必要な加速に不足はなく、アクセルを踏み増した場面では、モーターとガソリンエンジンが十分な余力を感じさせた。
それでも、加速の見せ方は攻撃的ではない。モーターによる発進は静かで滑らかで、そこからエンジンが自然に加わり、車重を意識させないように速度を乗せていく。
スポーツSUVのように背中を蹴られる感覚ではなく、気づけば流れをリードしている、という運び方だ。私が感じたのは、急いで目的地へ向かうための車というより、余裕を持ってゆっくり移動することが似合う車、という性格だった。
デザイン
フロントデザイン

ヴェラールの顔つきは、薄く横方向へ伸びるヘッドライトが基調をつくっている。ライト内部のグラフィックはシンプルで、グリルと高さを揃えることで、視線が自然に左右へ流れる。

この水平基調が、車幅を広く、車高を低く見せる効果を生んでいる。
中央のRANGE ROVERレタリングと、控えめなパターンのフロントグリルも、押し出しの強さより端正さを優先している。

ボンネットは中央が僅かに窪み、左右がわずかに盛り上がってフェンダーへと自然につながる。下部バンパーやエアインテークまわりはブラックパーツで引き締め、必要以上に厚みを感じさせない。ディフェンダーのような道具感や、レンジローバー スポーツのような力強さだけを前に出すのではなく、ランドローバーらしい存在感を保ちながら、あくまで上品にまとめた表情だと思う。威圧感に頼らず存在感を出す…このバランスがヴェラールの美点だと私は思う。
サイドデザイン

横から見ると、ヴェラールの美しさが最もよく分かる。
長いホイールベースと、抑えたオーバーハング。ボンネットからキャビンへ流れるプロポーションは、SUVでありながらクーペのようなシルエットを描く。

高めのベルトラインと、後方へ緩やかに落ちるルーフライン、そしてブラックアウトされたピラーによるフローティングルーフが、重心の低い伸びやかな見え方をつくっている。
面構成も見どころだ。ドアパネルは大きな面で構成され、余計なキャラクターラインを刻みすぎていない。ここで効いているのが格納式ドアハンドルだ。

単なる装備というより、ドアハンドルを格納することで、ボディ側面の大きな面を途中で分断せず、クリーンなシルエットを成立させているという、デザイン上の意味を持っている。
ホイールアーチには存在感のある大径ホイールが収まり、SUVらしい車高と、伸びやかな面のバランスを取っている。
リアデザイン

リアは、薄型のテールライトと、それを左右でつなぐブラックパネルが主役だ。
横一文字の意匠が、後ろ姿に幅方向の広がりと安定感を与えている。テールライト内部のグラフィックは端正で、RANGE ROVER/VELARのレタリングも派手に主張せず、静かに配置されている。

傾斜したリアガラスとルーフスポイラーが、上方向のボリュームを抑え、すっきりとした後ろ姿をつくる。バンパー下部の造形も過度に厚くならず、全体としてモダンでクリーンな印象だ。
フロントからサイド、リアまで、水平基調と面の美しさで一貫している…これがヴェラールのデザインの芯だと思う。
総合評価
| 評価区分 | 内容 |
|---|---|
| ◎ 良かったところ |
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| △ 気になったところ |
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