デンマークのハイパーカーZENVO AURORAをじっくり見てきた!!AgilとTurの2つのグレードどちらを購入したい??
ただし、お値段は4.2億円
度々お邪魔させていただいている「BINGO SPORTS」にデンマークからZENVO AURORAが来日販売にやってきた。
3月27日~4月7日の12日間ショールームに展示してあり、その間に私は有給という素敵な休日を取りつつ溜池山王へと向かった。
先ずはこの「ZENVO(ゼンヴォ)」というブランドをイメージすると、ST1という車種が思い浮かんでくる。
ST1はケーニグセグCCXより少し遅れて2009年に登場し、無駄な贅肉を削ぎ落としたアスリートのような車である。
6.8L スーパーチャージャー搭載のV8エンジンは最高出力が1104PS、最大トルクは1429N・mを発生させる。
そしてST1を不運ながらも有名にさせてしまったのが、トップギアでの車両炎上トラブルであった。
と、そんな過去があったZENVOであるが新しいハイパーカーであるAURORAが誕生した。
このAURORAはハンドメイドによって作られ、AgilとTurのラインナップがあり各50台ずつ生産される。
「BINGO SPORTS」では両モデルの細部をじっくり見る事ができたのでAgilとTurの違いを紹介していきたい。
ZENVO AURORA Agil
一目で見て分かるが、Agilは完全にサーキット走行向けのモデルである。
軽量化とダウンフォースの向上の為にフロントフェンダーを大きく肉抜きしホイールの裏側が見える程までくり抜かれている。
Turとフロント部で大きく違う点はフェンダーに加えて左右フロントダクトの形状が異なっている。
Agilは中央にフラップを備えるのではなく、フロントスポイラーの延長線に2段階でダクトを設けてあり高速域での安定性を確保している。
サイドに視点を移すとカーボンファイバー製の巨大なサイドディフューザーの存在感に圧倒されるが空気力学を意識しているデザインにも注目してほしい。
そして革新的なフロント、リア共にプッシュロッドサスペンションを備えたマルチリンクサスペンションがフェンダーから剥き出しで装着されている。
サスペンションが車両に対して横向きに装着することでスタビライザーの機能を果たし、非常に急激な方向転換の際には車体のロールを防いでくれる機能を持っている。
Agilで最も象徴的であるのが車幅の限界にまで広がったリアウイングだ。
メインの固定ウイングとDRS (Drag Reduction System)で作動する可動式フラップの2つの要素で構成されていると思われる。
このDRSとはリアウイングの角度を意図的に変更することで空気抵抗を減らし、コーナーを高速で駆け抜ける際のダウンフォースやストレートでは空気抵抗を減らす為にウイングの角度を調整する機構である。
テールライトは細長く極限まで空気抵抗を減らす設計となり、マフラーエンドは4本出しとなっている。
Agilについて特筆すべき点がエンジンスペックだ。
全長×全幅×全高 | 4,836×2,020×1,097mm |
車両重量 | 1,300kg |
エンジン型式 | 不明 |
最高出力 | 1450PS |
最大トルク | 1,400N・m |
エンジン種類 | クアッドターボ 6.6L V12エンジン |
総排気量 | 6,600㏄ |
トランスミッション | ハイブリッド7速パドルシフト |
特注の6.6リッターV12 クアッドターボエンジンは最大出力1250PS/最大トルク1400N•mを発生させ統合型eモーターでのハイブリッドシステムを2つリアに備えると1,450PSの出力を後輪で駆動する。
ゼンヴォは、このパワーがあればAgilは0~100km/hの加速を2.5秒で駆け抜け最高速度ば365km/hに到達するという。
ZENVO AURORA Tur
AgilはTurとは違いモータの数を減らした恩恵で車両重量は1,300kgに抑えられている。
Agilの妖艶な赤のボディカラーとは違い、どこか海外の透き通った美しい海のような鮮やかな青色のTurを見ていきたい。
Agilの攻撃的なスタイリングに対してTurは華やかさや優雅といった表現がに合っていると私は思う。
安全で快適なグランドツーリングカーの位置付けとなっているがエンジンのスペックがとんでもない領域に達している。
リヤに加えてフロントに約200PSの電動モーターを取り付ける事で最大出力1,850PS、最大トルク約1,700N•m発生させる。
そして最高速度は450km/hとなり、AURORAが驚異的なスペックを持つハイパーカーであることを証明している。
全長×全幅×全高 | 4,819×2,020×1,117mm |
車両重量 | 1,450kg |
エンジン型式 | 不明 |
最高出力 | 1850PS |
最大トルク | 1,700N・m |
エンジン種類 | クアッドターボ 6.6L V12エンジン |
総排気量 | 6,600㏄ |
トランスミッション | ハイブリッド7速パドルシフト |
またブガッティ・シロン・スーパースポーツよりも速く、最高速度280mphに達するのに十分だとZENVOは主張している。
電気だけで約33km走行できるため、サーキットに向かう途中で静かに町や村から抜け出すのにも十分である。
ZENVOの会長兼最高商業責任者(CCO)のスヴェルドラップ氏は
「朝の5時にV12エンジンを始動するのは、ますます受け入れられなくなってきています」
と冗談交じりに語ったそうだ。
Turをフロントから見ていく。
Agilと大きく違う点はフロントフェンダーとフロントスポイラーである。
フロントから取り込んだ空気をフロントフェンダーから上方に受け流す事でダウンフォースを得る構造となっており、スポイラーの左右にはフィンを設けている。
Turにはカーボン剥き出しの巨大なサイドディフューザーは装着されておらずラグジュアリーを意識した無駄のないデザインでサイドインテークがより際立っている。
Turで特に美しいと感じたのがインテリアである。
本革とカーボン、アルミニウムで成型されたと思われる各スイッチが見事に調整の取れた素晴らしい仕上がりになっている。
特に私が気に入っているのがエアコンの吹き出し口で角度調整や風向調整をする機構は一切存在しない無駄のないデザインだ。
次にセンターのスイッチモジュールは芸術品の域であって、このセンターのスイッチモジュールの形状はハイヒールのようだと強く印象に残っていた。
足元周りはモノコックボディーのカーボンが剥き出しで、ダッシュボードの一部にはリネン生地のような素材がインテリアに使われているのに気づいた。
世界で100台というZENVO AURORAは約4.2億円という値段になっている。
私の生涯収入を遥かに超える金額が車1台に値が付けられているのに対し、自身の価値について2台を目の間にして暫し考えてしまっていた。