新型アストンマーティンDB12について感想を述べたい。
DB11が販売して約7年が経った。
もうDB11が発表されて7年が経っているとは驚きだった。
先週オープンモデルのヴォランテが発表され、私もこのDB12について色々と感じるものがあるので触れていきたい。
先ずは第一印象から。
「期待を裏切らないアストンマーティンらしいアストンだ。」と思った。
実際に買える訳でもないのに私は終始胸が高鳴っていた。
私はフィスカー時代のアストンが好きであるが、このDB12のデザインには脱帽する。
デザインはマイルズ・ニュルンバーガーの指揮下で行われた。
以前はアストンマーティンのチーフ・インテリア・デザイナーであったが現在はデザイン・ディレクターとしてアストン・マーティンに復帰した。
迫力のあるフロントデザイン、美しいサイドビュー、膨れ上がるリアフェンダー、ボンネットダクトなど全てにおいて完璧だと思った。
最近は何かと巨大化する
そしてアストンマーティンといえば、
「ヴェーンドグリル」
である事が必要だと私は思っている。
今回DB12にも採用された事に非常に歓喜した。
ヴェーンドグリルはアストンマーティンには欠かせられない象徴的な部分であり、古典的ではあるが絶対になくてはならいものである。
他車種のDBS SuperleggeraやVantageといったモデルに採用されているのがヴェーンドグリルではなくハニカムグリルとなっている。
(限定車やオプションでヴェーンドグリルが装着されているのもある)
このハニカムグリルというのは、「ハニカム構造」のハニカムを取って名付けられたが実際ハニカム構造とは「ハチの巣」という意味で正六角形または正六角柱を隙間なく並べた構造のことである。
三角形、四角形、六角形の3種類のみが平面を隙間無く埋める事が出来ると数学的に証明されており、自然の成り行きで蜂が巣を作るのも六角形となったのは三角形や四角形より六角形の方が最も多くの蜂蜜を蓄える事ができるらしい。
この六角形を採用するメリットとして、一方向からの力を分散できる耐衝撃性、軽量性、高剛性、疲労特性、断熱性、消音特性が挙げられる。
こういった風に自然界からヒントを得てハニカムグリルのような部品が開発され車に利用されている。
フロントエクステリアは先代のDB11とは大きく変更されており、グリルが巨大化している。
巨大化といえば一時期は炎上もしていたBMWであるがその他アウディ、メルセデスベンツもグリルを巨大化する傾向にある。
グリルを巨大化するあまり、エクステリアデザインのバランスが崩れてしまったのが先程のBMWだ。
BMW M4 F82は素晴らしいデザインであった。
現在の7シリーズや4シリーズはまだまだ見慣れないBMWとなってしまっている。
それに対しDB12はグリルを巨大化したものの絶妙に良いバランスで超越されたデザインとなっている。
パッと見るとフロントはDBXをそのままクーペモデルにしたような造形に近く、ヘッドライトもDBXとDB11を組み合わせたような形状となっている。
DB12で私が注目しているのがフロントダクトが大きく繋がっている点だ。
先代のDBモデル、その他アストンのモデルには無いデザインだ。
空力を意識した左右のエアダクトは走行中に空気を高速でフロント・ホイール・アーチへと放出することで作り出される空気の流れにより、フロント・ホイールの側面をカーテンのように覆い、ホイール及びホイール・アーチ周辺の乱気流を抑え、空気抵抗を低減するものだと思われる。
サイドシルエットはDBS Superleggeraと似ており、リアエンドこそ違うがほぼ同じ様な形状をしている。この形状こそが現時点でのアストンの最高の空力デザインだと勝手に私は想像する。
唯一気になったのがリアデザイン。ほぼDB11と変更がなかったのでリアだけを見るとビックマイナーチェンジにも思える。
若干ではあるがDB12の方がリアフェンダーの膨れ上がりが大きいようにも見えるが殆ど一緒と言っても良いだろう。
ONE-77のようなテールライトを1本化するのもまたDB11と違う味が出ていたかも知れない。
DB12=V12ではなかった。
DB12に関して私が驚いたのが発表時からV8エンジンを積んでいることだった。
DB7から今までのDBシリーズにはV12エンジンが積まれており、アストンマーティンも遂に排ガス規制に太刀打ち出来なくなったのかとも思ってしまった。
V12 Vantageが発表されたのもつい最近の事でもあり、DB12は12という数字が入っている為にアストン最後のV12エンジン搭載車だと予想していた。
この期待感もあって最初はエンジンに関しては少し残念といったところではあった。
DB11もメルセデス製のM177エンジンを搭載してるV8モデルがあるが、DB12もこのM177エンジンを改良したものが搭載されている。
エンジン音はツインターボによる野太いトルクフルなエンジンサウンドかと思ったら、Vantageと同じ様なアストンらしいエンジンサウンドが感じられる。
V8ツインターボエンジンで最高出力は680PS、最大トルク800N・mとなり、最早V12エンジンの必要が無くなってしまう程の高出力エンジンとなっており、自然吸気の大排気量エンジンが排ガス規制という環境問題もあって消えいくのは必然と思ってしまった。
アストンといえばV12エンジンと思ってた時代も変化の時なのだろう…
発表されたDB12のパワートレインを見た時にそう思ってしまった私がいた。
インテリアは大幅に変更された。
インテリアを確認すると、今までとは大幅に改良されたのが直ぐに分かった。
アストンのインテリアパーツは1つ1つ洗練されていて、DB11のドアトリムが特にお気に入り。
センターコンソールは部屋に飾りたいくらいに曲線カーブが美しく素晴らしい。
今回のDB12では今までのエッジを立たせない曲線のインテリアとは違い直線のデザインを多く取り込んでいる。
そしてDB12のインテリアを画像で見た瞬間は少しドイツ車に近いものを感じた。
普段フォルクスワーゲンのインテリアを見ているせいか、アルテオンやパサートと近いものを感じてしまった。
センターのスイッチパネルもポルシェ カレラやパナメーラと似ているとも思ったが、
やはりそこはアストン流の見せ方もあり、
ウッドパネルのセンターコンソール、シートや各パネルにはダイヤモンドステッチを随所に使っており、センターコンソールのスイッチやシフトレバーなど全てにおいてイギリスらしさを感じる。
(下記の動画を参考にした)
ステアリングもややメルセデスに似ているが静電式ではなく、
各スイッチ類もタッチ式を採用せずにボタン式やロータリー式といった不評なタッチ式(スライド式も)を採用してない事が何よりも好感度が上がる。
そして動画で確認するとインフォメントシステムの処理速度が非常に速くメルセデス製のナビよりも扱いが良さそうである。
先代のDB11と比べインテリアは完全に一新された。
1人のアストンファンとして、
今までのインテリアの面影を残して欲しかったが世界の富裕層のニーズに合わせるとなると、
これからのアストンマーティンは新しい段階へ進む必要があるのだとDB12を通じて思った。