700万円するフォルクスワーゲンは果たして大衆車と呼んでもいいのか??ゴルフ8Rは間違いなく速いが、価格に見合っているのか考えていく。
確かに売れているゴルフ8R
私のショップでもゴルフ8の入庫がかなり増えてきたが、そのフォルクスワーゲンの中で最も売れ行きが良いのが「ゴルフ」である。
しかし、ゴルフしかりフォルクスワーゲン全体のモデルがここ数年で値上がりの連続となっている。
世界的な半導体不足とは言われているが、大衆車でもあるフォルクスワーゲンにはゴルフのベースグレードを300万円を切るくらいから買えるように何とか頑張って欲しいものだ。
Volkswagen Golf8R
今回偶然にもゴルフ8Rを3日間借りる事ができ、外房や都内をドライブし合計300km程走ってみた感想を述べていきたい。
仕事で度々ゴルフ8Rには触れているが、試乗以外では長距離を運転した事が無かったので色々と新たな発見があった。
その新たな発見を含めて良い点と悪い点を上げていく。
・個人的に乗り心地もハード寄りでなく、ややソフトになった印象である。(ゴルフ7.5GTI TCRやR Performanceはスパルタン過ぎる)
・私は少し苦手だがノーマルマフラーでも普通にバブリングするので、好きな人には好かれる。
・マトリクスヘッドライトが非常に便利で、夜間走行がかなり安心して走行できるようになった。
・更に「Rモード」にするマフラーのバルブが開くので、もう1段階うるさくなるのでデートには不向きな印象。
・ゴルフ8全車に当てはまるのだが、内装のコストカットが著しく小物入れが無くなり、ドリンクホルダーの形状も変わってしまったのでペットボトルが1つしか入らない。
・静電式ステアリングが取り付けられており、少し攻めた走りをすると「ステアリングヒーター」のボタンが勝手に押されたりと使い勝手が非常に悪い。
・CarPlayが採用されているのが幸いだが、基本的にナビゲーションシステム及びオンラインサービスは動きが悪かったり接続が出来ない状況が多いので不安が溜まる。
良い点、悪い点はまだまだあるが、個人的に感じた事をリストアップした
そしてゴルフ8Rのスペックは以下の通りになる。
全長×全幅×全高 | 4,295×1,790×1,460mm |
車両重量 | 1,540kg |
エンジン型式 | DNF |
最高出力 | 320ps |
最大トルク | 420N・m |
エンジン種類 | 直列4気筒DOHC16バルブICターボ |
総排気量 | 1,984cc |
トランスミッション | 7速 DSG |
今までのゴルフシリーズの中でも最も強力な改良型エンジンを積んでおり、
CJX(ゴルフ7 )→DJH(ゴルフ7.5)→DNF(ゴルフ8)へと進化していった。
エンジンの外観にほぼ変わりが無いが、エンジンの型式が変わる事に、280ps→310ps→320psとゴルフ7 Rとゴルフ8 Rでは40psもの差がある。
運転していてもこの差は大きく感じ、停車時からのスタートは、ゴルフ7R、ゴルフ8R共に「4MOTION」(4WD)であるがアクセルを大きく踏み込んだ瞬間に、ゴルフ8Rの加速力に驚いた。洗練された湿式7速DSGが的確に素早く変速し車体がグングン加速していくのはクセになりそうだった。
また、2つの多板クラッチを使って左右後輪のトルク配分を制御する「Rパフォーマンストルクベクタリング」機構が、ゴルフ8Rに備わっており、カーブ時に減速てからの立ち上がりに対してクイックに反応してくれるお陰で、ちょっとした山道を走るのが楽しくなる。
4MOTIONの恩恵で路面への食い付きがしっかりしており、常に車体を安定させてくれる。
但し、ノーマルモデルより小回りが効かないのがGTI やRモデルの悩みの種である。
左右にハンドルがロックされる事を指す「ロック・トゥ・ロック」はノーマルのゴルフが約2.8回転に対してゴルフGTIやRは約2.1回転で止まってしまう事が原因かと思われる。
フォルクスワーゲンの一部のモデルには、
ハンドル操作の深さによって車体が鋭く方向転換するが、逆に直進走行時にハンドルの操作を操作をしても緩やかに曲がろうとするプログレッシブステアリングが採用されている。
またブレーキにも変更点があり、ベースモデルでは珍しい2ポッドピストンのブレーキキャリパーへ変更された。
車としての完成度が高く、過去のゴルフシリーズの中では最も速いゴルフ8Rだが、心に訴えるエンジンサウンドが足りない気がする。
近年の騒音規制の問題で同じ2.0L エンジンでも、ゴルフ6Rの方がよりスポーティらしさを私は感じた。
擬似的な音でもドライバーをワクワクさせようとする企業努力は素晴らしいが、ゴルフ8 Rにはサイレンサーが更に追加されており、本来のエンジンサウンドが聞けないのが下廻りを見た時何とも寂しい気持ちになった。
そして問題の価格である。
新車のコンパクトカーに700万円が必要な時代になってしまった。
ベースのゴルフ8Rの場合でも677万円~となっており、更にアダプティブシャシーコントロール”DCC”や19インチホイールをオプションとして取り付けた場合はあっという間に700万円へ到達する。
そして基本的にベースモデルは受注生産となるので、半年から1年以上待つ場合もある。なので正規ディーラーは売りやすいオプションが多く取り付けられている車両を店舗在庫として確保している率が多いのでどうしても車両値段が上昇してしまう。
当然の事でもあるが、私は限定車以外の新車を買うメリットは殆どないと思っており、リセールや残価率を考えると新車は避けるべき選択肢である。
現在の中古車市場は走行距離が約3万kmの個体で約550万円、最も高いのは走行距離1,000kmで668万円となっている。
信頼性に関しては、販売から1年程しか経ってないので、ナビゲーションシステムを除きエンジンやトランスミッションの不具合での入庫は現時点では0台なので安心して欲しい。
そして、更にグレードアップされたゴルフ8R 20yearsがぼちぼち納車されていくと情報を貰った。新車価格792万円という、価格と性能が再頂点となっているゴルフは最強のホットハッチとなるか楽しみである。