T-CROSSやT-ROC、ポロのステアリングを動かすと「カリカリ音」や「ギィー音」がする??走行には問題ないが不快な音の原因とは?
残り1ヶ月
いよいよ仕事も大詰めになり、少ない人数の中での作業が日に日に苦しくなってきた。
ただ頑張るほど給与となって返ってくる事もあるので今年もあと3週間強あるが、気合いを入れていきたい。
さて、先週入庫した車両になるがT-CROSSの異音修理になる。
つい3週間程前に中古車店で購入したが、納車してからある異音に悩まされているという。
その内容が、
「ステアリング(ハンドル)を回す時に変なガリガリ音やギリギリ音がする」
とのこと。車両はまだ新車保証も残り登録も2022年と比較的新しいモデルのT-CROSSであった。
早速異音の原因を確かめる事にした。
動画を参照に聴いてみて欲しいが、確かにハンドルを回すと異音がした。
しかも走行時のカーブや車線変更等での車体にある程度の負荷が掛かっている状態ではなく、「車両停止、アイドリング時のハンドル操作」で症状が確認出来た。
異音の原因は間違いなくステアリング回りであるが、何処の部品から鳴っているのかが重要なので1つずつ外して確認していく。
先ずはステアリングエアバックから外していく。
今までの依頼件数で多いのがステアリングエアバッグからの異音だったので、今回もプラスチックが擦れる音がするので間違いなくそこからの音だろうと高を括っていた。
ゴルフ8の記事でも説明したが、T-CROSSのエアバッグ取り外しも基本的に同じである。
ステアリングを100°くらいの位置に回すと、ステアリングの裏に差し込み口が現れる。
その箇所にマイナスドライバーを差し込みピンを押し下げてロックを解除する。するとステアリングエアバッグが浮いてくる。この工程を左右繰り返するとステアリングエアバッグが完全に浮き取り外しが可能になる。
そして取り外した後の状態で再度エンジン始動させて(この状態でエンジンを始動するとエアバッグワーニングが点灯するので注意)音の確認をしても動画と同様の音が発生しステアリングエアバッグからの異音ではないことに気づいた。
なのでステアリングをM12 トリプルソケットを用いてセンターボルトを取り外しステアリングを外した状態にする。
ステアリングを外すとスリップリングが目の前に現れる。ステアリングエアバッグに続きプラスチックが擦れる音はここが怪しいので異音の診断をする。
※スリップリングを動かす時は必ず回した方向の回数を覚えておく。回数を忘れ組み付けてしまうと中心位置がズレてしまいスリップリングの測定値が狂って警告灯が点灯し最悪の場合、内部の導線が切れてしまう。
動かしてみると、お客様から依頼された症状の音が発生したのでスリップリング内部から発生している音と判断した。
新車保証も残っており、お客様からのスリップリング交換の了承も得たので交換を実施していく。
スリップリングの交換は非常に簡単で交換には上下のステアリングコラムトリムを外し、スリップリングの固定ネジを外すだけになる。
ステアリングコラムのアッパートリムを外していく。プラスチックのヘラを使ってアッパートリムとロアートリム継ぎ目の部分に差し込みアッパートリムを浮かせる。
アッパートリムを浮かせるとロアートリムがT25のトルクス2本で止まっており、更に下側に1本の計3本で固定されている。
これら全てのトルクスを取り外すとロアートリムが外れ、スリップリングの取り外しが可能になる。
スリップリングはT15 トルクス3本を取り外すとそのまま引き抜く事が出来る。
スリップリングは基本調整が不要なのでそのまま新品と付け替えて作業は終了となった。
以下 2022年式 T-CROSSスリップリング交換工賃となる。
今回は新車保証の為、お客様請求は無しとなる。
•交換工賃及び診断料等 6,000円
•スリップリング 18,700円 2Q0 959 653
•ボルト 1,400円 N 90799102
税込み価格合計 26,100円