Eタイプの魂を継ぐ「美」を1年半追い求め、遂にジャガーFタイプが納車された。

購入までの道のりは長かった
これまでアストンマーティン DB9やマセラティ グラントゥーリズモを所有し、高級車の魅力と維持の難しさを経験してきた。

特にアストンマーティンでは、維持費や信頼性の面で苦い経験をし、グラントゥーリズモでは車両売却の際に値段がつかず売却までに苦労した。

なので今回の中古車購入には慎重になっており、先月まで私が探していた車両は以下の2台であった(アストンマーティンは痛い目に合う前提で探していた)
•2008年式~ アストンマーティンDB9
•ジャガー Fタイプ
2008年式以降の右ハンドルでボディカラーがシルバー系のDB9は残念ながら1台も出品されなかった。
ジャガー Fタイプは中古車市場に比較的多く出回っているものの、自分の理想とする条件に合う個体を見つけるのは簡単ではなかった。
ジャガー Fタイプに私が求める条件は以下の通りだった。
•サンルーフ:なし
•グレード:ベースグレードかS(Rやコンバーチブルは無し)
•走行距離:低走行(3万km以下を希望)
•年式:初期型を避けた2016年以降
これらの条件を満たす個体を求めて、カーオークションや中古車市場を1年半以上チェックし続けた。
オークションでの苦戦と運命の出会い
カーオークションを毎週頻繁にチェックしていたが、インダスシルバーやアンモナイトグレーの個体はほとんど出回らず、見つかっても価格が相場より高額だったり、サンルーフ付きだったりと購入条件には合わなかった。

特にサンルーフ無しでのシルバー系の個体は市場に出ることはほぼ無く、あってもRモデルが多かった。
そんな中、半年以上前から出品されていた2016年式、イタリアンレーシングレッドのFタイプが気になっていた。

走行距離は2.9万km、サンルーフなし、パフォーマンスシート装備という魅力的な仕様であったが、外装の評価が低いせいかオークションでは何度も流札になっていた。
友人に頼み入札に参加したが売主の希望価格に届かず落札は出来ず、いつの間にか他の販売店に落札されてしまった。
しかし運命は巡ってくるもので、
落札されてから2週間後くらいに千葉県松戸市の中古車販売店でオークションで落札されたと思われるFタイプがカーセンサーに掲載されていた。
写真ではボディのくすみや擦り傷、洗車傷や雨染み、白カビが目立つ状態であるが仕様は私の理想に近く、価格も手頃だった。
物は試しと思い連絡を取り現車確認に松戸へ向かった。
想像していたよりも悪くはなかった。
販売店に連絡し、実際に車両を見た第一印象は、「意外と綺麗だな…」だった。

販売店がボディ磨きを実施してくれたらしくボディに光沢が生まれ魅力的な姿に変わっていた。
販売店のスタッフによると、陸送されてきた当初は埃が厚く積もった放置車両のようだったとのこと。

それでも、ボディの磨き上げにより、光沢を取り戻したイタリアンレーシングレッドのFタイプを私自身で少しずつ綺麗に仕立てあげるのも面白いと考えていた。


内装のパフォーマンスシートはセミバケット仕様で、サンルーフがない分、スポーティな雰囲気が際立っていた。
試乗時には8速ATの変速ショックやブッシュ類の異音も無いことから大きな問題は感じられなかった。

またFタイプの魅力的な要素の1つである。3.0L V6スーパーチャージャーエンジンのエキゾーストサウンドが非常に心地良い。
最高出力306PSと現代では非力に感じ、ゴルフ8Rの方が間違いなく遅いがグラントゥーリズモ を思い出させるような官能的なサウンドを奏でてくれる。
もちろんRやSグレードのようにハイパフォーマンスモデルにすれば過激な走りも期待できるが、私はスピード狂でもないのでワイディングロードや街乗りを流して走るのが好きなので充分過ぎるスペックであった。
流麗かつ力強いエクステリア

ジャガー Fタイプを選んだ最大の理由は、イアン・カラム氏によるデザインの美しさになる。
イアン・カラム氏は、アストンマーティン DB9やヴァンキッシュ、ジャガー XKなど、数々の名車のデザインを手掛けた伝説的なデザイナーで、
直近ではWood & Pickett Mini by CALLUMというローバーミニを現代風にアップデートしている。
過去の記事でも紹介したがジャガーでは、C-X75 CALLUMも発表している。

そのイアン•カラムがデザインしたFタイプのエクステリアは、彼の哲学である「ロングノーズ、ショートデッキ」を体現しており、完璧なプロポーションが特徴ある。
EタイプのDNAを継承
Eタイプの象徴的なロングノーズ、ショートデッキのプロポーションは、Fタイプにも明確に受け継がれている。

長いボンネットと短いキャビンは、ジャガーのスポーツカーの伝統であり、両車が視覚的に「ジャガーらしい」印象を与える要因である。
イアン・カラム自身が「Eタイプの精神を現代に蘇らせる」ことを目指したと語っており、このプロポーションは意図的に踏襲されている。
流線型の美学
Eタイプの滑らかなボディラインは、空力性能と美しさを両立させ、Fタイプも同様に滑らかな曲線と空力デザインを採用し、高速走行時の安定性と視覚的な優雅さを追求している。

特にサイドの流れるようなラインは、Eタイプの曲線美を彷彿とさせる。
言わずとも、Eタイプと同様にFタイプは尻がとても良い。無駄な部分が削ぎ落とされてモデルような魅力な尻は眺めていて飽きがこない。

あえて言うならば、Eタイプのオマージュではあろうテールライトが気に入ってない。
半月型のブレーキライトがどうも好きになれず、新型Fタイプのテールライトを移植出来ないかと考えている。


インテリアはドライバー中心の設計が特徴。コックピットのようなレイアウトは、すべてのコントロールが手の届く範囲に配置され、運転に集中できる環境を提供している。
試乗したFタイプは長年放置されていたのにも関わらず、ダッシュボードはやれてなくルーフトリムが垂れていたりピラートリムの剥がれは無かった。
パフォーマンスシートのホールド感は素晴らしく、長時間のドライブでも疲れにくい。
インテリアに関しては文句の言いようがなく、ダッシュボードには高級感のある?レザーとメタルトリムが使用され、ジャガーらしい上質な雰囲気が漂う。

ナビゲーションは至って普通で、BluetoothとUSBが使えるので音楽を聴くには問題は無さそうであった。
エアコンの設定が細かく変えられるのは高得点であるが、必ず壊れるであろうダッシュボードのエアコン吹き出し口を常時作動出来ないのは少し困っている。
エンジンとパフォーマンス
3.0L V6スーパーチャージャーエンジンは、滑らかなパワー供給とレスポンスの良さが特徴。
ベースモデル最高出力306PSは、日常使いからスポーツ走行まで幅広くカバーし、8速オートマチックトランスミッションとの組み合わせの相性が良い。

特に、4000rpmを超えた時による迫力のあるエキゾーストサウンドは、運転の楽しさを倍増させる。

因みにコールドスタートは爆音でアパートの住民から苦情が来そうでヒヤヒヤしている。
アイドリングに落ち着いてしまえば、問題ないレベルではあるが…夜中の走行は悩みどころである。
サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンク式になるが、Fタイプははっきり言って乗り心地が悪い。
昔、Top GearにてジェレミーがFタイプの走行中の突き上げが酷く乗り心地が悪いと、言っていたような気がするが本当であった。

グラントゥーリズモに比べホイールベースが短いせいか路面の凹凸が酷い所だと、更に苦痛を伴う。
しかし、車体から降りてそのデザインを眺めるとそんな事はどうでも良くなる程に美しい。
張り出た尻と、曲線美のサイドライン。
それがジャガー Fタイプの魅力であり、ジャガー流の魅せ方であると思った。

まとめ
1年半の探求の末、手に入れたジャガー Fタイプは、イアン・カラム氏のデザイン哲学が凝縮された「動く芸術品」であった。
流麗なボディライン、迫力のあるエキゾーストサウンド、ドライバー中心のインテリアは、所有する喜びを感じさせてくれそうで長く愛情を持って維持していきたい。
ジャガー Fタイプを購入して1週間経ったが、イタリアンレーシングレッドのボディカラーは思っている以上に気に入っている。
お財布事情もあるが、今後イタリアンレーシングレッドに飽きたら車両価値を無視してオールペイントをしようか計画中である。
他にもオイル交換やデフオイル、バッテリー交換などやることが山積みで、テールライトの移植やフロントグリルの交換など色々と弄りたいことがあるので、先ずはこの耐え難い夏が終わり肌寒くなってきたら、少しずつこのブログにて作業紹介していきたい。
御納車との事で誠におめでとうございます。
はじめましてのコメントですのに個人的な好みの披露でお恥ずかしいですが大変美しい色だと思います。整備の記録の更新も楽しみにしております。
ところで、RAPIDEが選考から漏れた理由もお時間があれ執筆下さい。特に、昨年に関しての値下がりは顕著で金額だけ見れば中古販売サイトやオークションでお買い得車が溢れており気になった次第です。
テルオ様
初めまして!コメントありがとうございます。
そして納車のお言葉ありがとうございます。
また記事のリクエストいただき大変嬉しく思います。
ラピードが選考にから落ちた記事ですね!畏まりました。
現在執筆中の記事が2本ありますのでそちらの記事が投稿され次第執筆させていただきます。