アストンマーティンに憧れるきっかけを作ってくれたV12ヴァンテージとは?過去の歴史を振り返る。
赤坂で見た初めてのアストンマーティン
私が車好きになるきっかけとなり、更に車業界にまで足を踏み入れ自身の仕事になった。
それから車という機械に深く付き合っていく事になった思い入れのある1台を紹介する。
そしてこのブログを読んでくれている人は、どんな車に憧れているのだろうか??
私の周りでは、NSX(NA1)、スカイライン R32、F430 スクーデリア、カマロ SSRS、
といった車種が挙げられ、最も新しくても年式が2015年以下という同年代ならではの好みとなっている。
最新の車には殆ど魅力を感じていないらしく、電子的に制御される機能が多いほど、車に対する魅力は無くなっていくようだ。
フォルクスワーゲンを整備している上でも、ゴルフ5とゴルフ8 ではコンピューター(ECU)の数が圧倒的にゴルフ8 の方が多い。
しかし、ゴルフ8 Rとゴルフ5 R32を比べると車としての性能はゴルフ5 R32はゴルフ8 Rには敵わないが、運転する楽しさはゴルフ5 R32の方が勝る。
両車の違いは機会がある時に紹介するが、単に最新の車が1番良い車であるとは無いという事だ。
そんな中で私が高校生の時に出会った思い入れのあるアストンマーティンV12ヴァンテージを紹介する。
2007 V12 Vantage RS Concept
このV12ヴァンテージが2009年に正規販売される前に、「V12 Vantage RS Concept」というコンセプトカーを2007年12月にアストンマーティンのデザインスタジオでのパーティで発表した。
僅か 4 か月で製造されたV12 ヴァンテージ RS コンセプトはシャシー番号「RS01」となり、公式オープニングでウルリッヒ・ベズCEOは、充分な需要があれば市販化を検討すると約束したらしい。
そして当時アストンマーティンのモデル中で最も最小であったヴァンテージに強力なエンジンを積んだ事で非常に注目された。
そのエンジンはレーシングカーであるDBRS9のエンジンをデチューンしたものが採用されており、その他にドライサンプ潤滑、カーボンファイバー素材が使用されている。
ベースとなったV8ヴァンテージより、約 200馬力増加の 580ps を発生させる。
V12 を V8ヴァンテージのシャーシに適合させるには、DB9 のエンジンマウントを移植する必要があったが、その結果として生じた重量増加と前方重量配分 (ヴァンテージの フロント/リア48/52 に対してフロント/リア 52/48) をサスペンションを見直す事でV12エンジンに対してのバランスを整えた。
V12 ヴァンテージRS は、より重い 12 気筒エンジンを搭載しているにもかかわらず、V8ヴァンテージよりも軽量になるよう工夫されており、重量はわずか 1,600kg である。
(市販化されているV8ヴァンテージの車両重量は1,630kgだ)
以下、V12ヴァンテージRSコンセプトの諸元表になる。
全長×全幅×全高 | 4,380×1,860×1,250m |
車両重量 | 1,600kg |
エンジン型式 | 不明 |
最高出力 | 580ps |
最大トルク | 570N・m |
エンジン種類 | 自然吸気 12気筒 |
総排気量 | 5,935cc |
トランスミッション | 6速MT |
しかしこの軽量化は、市販化する際には非常に重要な快適装備や安全装備を削ることによって部分的に達されたため、V12ヴァンテージ RS には ABS、トラクション コントロール、エアコン、衛星ナビゲーション、サウンド システムが装備されていない。
これらの装備が搭載されておらず、インテリアは他のアストンマーティンと比べ本革を使用していない作りになっている。
V8ヴァンテージのインテリアとは基本構想は似てても全く違う雰囲気となっている。
市販化モデルでは殆ど見る機会もないボディカラーになるが、プロトタイプの独特の淡いブルーのカラーリングは、
妥当な名前を考える議題の対象となり、デザイン チームによって、
「マコブルー」
と呼ばれるようになった。
アストンマーティン デザインディレクターのマレク・ライヒマン氏は、
「この名前は、人類が知るサメの中で最も速く、最も敏捷なアオザメから取られたものである」
と語った。
私たちは、この名前は色を反映しているだけでなく、サメの性質がこの車の性格と同義であると考えました。
「『マコ』のマオリ語訳は『青い稲妻』で、明らかに色と車の両方を表しています。非常にふさわしい名前です。」
と述べている。
エクステリアを確認していく。
フロント部分でV8ヴァンテージと大きく異なる箇所がフロントリップスポイラーになる。
通常のV8ヴァンテージと比べ、空力を意識したデザインに変更されており、走行中に空気の流れが車体下側に入り込むことを防ぐダウンフォースを向上させている。
その他にボンネットダクトが特徴的である。
V12ヴァンテージと言えば、このボンネットダクトが象徴でありV8ヴァンテージと比べ新たにダクトが追加され大型化している。
またボディと同色である点もRSコンセプトならではであり、ボンネットがカーボンファイバー製である。
サイドデザインに関して変更点はないが、ブレーキが最大の変更点になる。
V8ヴァンテージには鋳鉄製のブレーキローターが取り付けられているがV12ヴァンテージRSからはカーボンブレーキへと変更されている。
リアデザインはコンセプト発表時と比べると直ぐに勘付く箇所がある。
プロダクトデザイン時はアストンマーティンの中でも珍しい格納式リアウイングとなっているが、
実際の現車ではダックテールへと変更されている。
(格納式ウイングを搭載している市販モデルはONE-77くらいしか思いつかない)
またリアバンパーのデザインも通常モデルのV8ヴァンテージから変更され、よりスタイリッシュな形状になっている。
フューエルフィラーキャップはアルミ製と思われ、機械式のキーロックタイプになっている。
そして、V12ヴァンテージRSで注目するのがインテリアになる。
本来は本革となるが軽量の為にアルカンターラをシートからダッシュボード、ドアパネル、シフトレバー等に採用している。
センターコンソールはカーボンファイバー剥き出しになっており、6速MTのシフトレバーも高級感に溢れている。
センターのスイッチ類はレーシングカーを思わせる作りとなっているが、エアコンの温度調整、風の吹き出し口、ブロワモーターの風量調整がありエアコンシステムを搭載しているのが分かる。
私は大好きであるが、皆さんも好きであろうトグルスイッチでライト類や車両コントロールシステムをON/OFFできる仕様になっている。
またキルスイッチのようなボタンや緊急用のスイッチだと考えられるボタンも用意されている。
シートはフルバケットシートとなっており、足回りも固いと思われるので日常使いには向いて無さそうだ。
(ダンパーの減衰調整は付いているもよう)
また非常に気になったのだが、ドアハンドルが見当たらない。
恐らくドアトリム上方の窪みに何かの開錠機構があると思うが、実際のところ不明である。
(通常モデルのヴァンテージやDB9はドアトリム中央にドアレバーがある)
トランクにはドライサンプ用のオイルタンクがあり、上方の黒い丸い部品はフュエールタンクと私は予想する。
このあまりにも過激的なV12ヴァンテージRS コンセプトから2年後、遂に市販化することになる。
2009 V12 Vantage
2008年初め、ウルリッヒ・ベズCEOはV12ヴァンテージの生産が2009年半ばに開始されることを認めたが、そのエンジンはプロトタイプの580PSのドライサンプレーシングユニットではなく、アストンマーティンの他の12気筒モデルと共有される510PSエンジンを搭載したものに変更されると発表した。
V12 ヴァンテージ RSコンセプトがアストン マーティンにとって新たな大成功を収めた量産モデルとなったことになる。
以下、V12ヴァンテージの諸元表となる。
全長×全幅×全高 | 4,380×1,860×1,250m |
車両重量 | 1,680kg |
エンジン型式 | AM10 |
最高出力 | 510ps |
最大トルク | 570N・m |
エンジン種類 | 自然吸気 12気筒 |
総排気量 | 5,935cc |
トランスミッション | 6速MT |
フォルクスワーゲンも同じ事が言えるのだが、小さな車のエンジンルーム内にエンジンを目一杯詰め込むと怪物が生まれる事が世の理である。
先程も登場したが、その良い例が今も大人気で中古市場価格が年々上がっているゴルフ5 R32だ。
ゴルフ5 R32については次回以降紹介していきたいが、今回のアストンマーティン ヴァンテージにも同じ事が言える。
2005年に発表された当初は4,300ccのV8エンジンを搭載しているが、既にエンジンルームはこれ以上収まり切らないくらいにぎっしり詰め込まれている。
しかし、アストンマーティンはヴァンテージのエンジンルームにV12を搭載させる事に成功した。
画像で確認するとエンジン上部のインテークマニホールドがカウルトップ限界にまで迫ってきている事にアストンマーティンの本気度が見える。
アストンマーティンの中でも小さなエンジンルームにV12エンジンを詰め込もうとした情熱と技術力に脱帽である。
さて、V12ヴァンテージRSコンセプトから市販化に至った訳だが、エンジンを除く変更点は殆ど少ない。
エクステリアを確認していく。
フロントの変更点は殆ど無いが、ボンネットがカーボンファイバーからアルミニウムに変更されているが、V12エンジンが搭載されている証でもある4つのボンネットダクトはカーボンファイバー製となっている。
また、フロントバンパー部にパーキングセンサーが新たに取り付けられアシスト機能も追加されている。
サイド、リア共にV12ヴァンテージRSとの変更点は無いが、
インテリアが大幅に変更された。
センターパネルやスイッチ類は同時期のアストンマーティンモデルと同様の物になっている。
またV12ヴァンテージRSではダッシュボード、ドアパネル、シフトレバー等にアルカンターラが採用されていたが、新しいV12ヴァンテージでは伝統のスコティッシュ・レザーでアストンマーティンらしさを演出している。
このV12ヴァンテージは私が車好きにきっかけとなった思い出の深いアストンマーティンになるが、更に印象的だったのが旧Top Gear司会者のジェレミー・クラークソンのレビューだった。
普段ふざけているジェレミーだが、この回は珍しく全く喋らずただ真剣にV12ヴァンテージと今後の車の在り方に向き合っていた。
詳しくはTop Gear13 エピソード7を見て欲しいが、
ジェレミー・クラークソンはV12ヴァンテージを短い言葉で、
と評価していた。
中古車価格も1,263万円~1,585万円と途方もない金額ではあるが、私の人生を大きく変えたV12ヴァンテージは生涯の中で乗りたい車の1台でもある。
皆さんも自分の人生に大きな影響を与え憧れ続けている車はあるだろうか?
近い将来、車は電気自動車やハイブリッド化が加速かしていく中で私は自然吸気大排気エンジンが無くならない事をただ祈るばかりである。。。
Yuuさんこんにちは。
私もこの世代のアストンマーチンのデザインが好きですが、私の場合、アストンマーチンはスポーツカーというよりGTカーのイメージが強いのでヴァンテッジより大柄なDB9が好きですね。特にオープンカーのDB9ボランテが良いです。トップを上げていても下ろした状態でもカッコいい。特にサイドからと斜め後ろからのビューが素敵です。マセラティでもグランツーリスモよりグランカブリオの方が好みです。大型クーペベースのカブリオレってほんと優雅な雰囲気で道を走るのクルーザーみないな感じですよね。ただ買うとなると実用性も考えてしまうから、ラピードとかになってしまいますが、実用性無視で選ぶならDB9ボランテ一択です。
もんもんさん
おはようございます。コメントありがとうございます。
私も同じでスポーツタイプの車両より、GTカーでゆっくり流して走るのが好きです!
ヴォランテはベントレーのコンバーチブル、ローマ スパイダーのような余裕のある優雅さを感じます。
私は帆のメンテナンスや故障を考えるとヴォランテは選択肢から外れがちですが、私はDB11のヴォランテで海沿いを走ってみたいですね。。。
もんもんさんの言うとおり実用性は無いので、基本はいつも車庫で眠ってそうです笑