連日の猛暑で車も耐えきれないのか!? Up!のエアコン修理。
毎日思うが、夏がまだまだ終わらない…
連日の猛暑日で頭がおかしくなりそうだ。
この先10年後はどうなってしまうのだろうか?
今年の6月には世界の平均気温は観測史上最高の17.01℃に達し、2016年の16.92℃を上回ったとニュースで見た。
人間もへばりそうな気温の中で、更に車はこの猛暑の連続で高負荷の状態で常に稼働している。
こういった中で使用する機能はもちろんエアコン機能だ。
今週はエアコンの重整備があったので紹介していきたい。
・Up! エバポレータ交換及びコンデンサー交換
こちらを紹介していきたい。
Up! エアコンガスを補充しても直ぐエアコンが効かなくなる。
先日お客様がTシャツがびしょ濡れの状態で来店された。予約が入っていなく私は何があったのか驚いてしまったが、とりあえず急いで飲み物を渡し問診に移らせてもらった。
問診の結果
・ガソリンスタンドやショップでエアコンガスを入れても直ぐに無くなってしまう。
・しばらく車を止めて置い後にエンジンを掛けるとエアコン吹き出し口から異臭がする。
この2点が今回エアコン修理に対してのヒントだった。
初めにエアコンゲージで圧力を測ってみる。
もちろん低圧、高圧共に0Mpaだった。
次に目視で確認できる所で漏れを確認していく。
基本的に私がエンジンルームで点検するのは以下の箇所である。
・コンデンサー
・エアコンガス低圧、高圧チャックの緩み
・エキスパンションバルブ接合部
・コンプレッサー軸部
・ハイプレッシャーセンダー
ここを順に見ていく。
先ずはコンデンサーだが怪しい箇所を発見。
しかしUp!の場合バンパーを外さないと全貌が分からない為に、
お客様に漏れていなくてもバンパー脱着工賃が掛かってしまうと報告した。
続いてエアコンガスのチャックを確認する。
こちらはトルクが十分に掛かっていたので異常なし。
エキスパンションバルブの接合部にも汚れはあったもののエアコンガスによるものではなかった。
コンプレッサー軸部、ハイプレッシャーセンダー共に異常なし。
エンジンルーム内での漏れの箇所はコンデンサーとなった。
次にエンジン始動時に異臭がする件を診断していく。
先ずはガスを補充し3時間程車両を放置した。
その後エンジンを掛けると異臭を確認。
エアコンガスに近い匂いだ。
漏れては補充し、また漏れて補充と繰り返していたのでエアコンフィルターの匂いが酷いと予想した。エアコンフィルターを外し匂いを嗅いだ。
ドンピシャだった。
この事から予想出来る診断結果はエバポレータからのガス漏れだと判断した。
(エアコンガス漏れ探知機くらい用意しとけ。と、思うかも知れないが新人君が落として壊してしまった。)
お客様と料金相談して、エバポレータ交換とコンデンサー交換作業に移る。
エバポレータをどう交換するのかと言うと、ダッシュボード周りを全て外す事になる。
Up!はマニュアルエアコンであり、フラップの位置を手動で切り替えるスイッチモジュールがある。
その先にワイヤーで繋がっているので位置決めを必ずしておく。
(ワイヤー位置がズレると冷房位置なのに暖房が出てくるというミスに繋がる)
ダッシュボードセンター周り及びグローブボックス、メーターを外していく。
ステアリングコラムもフレームキャリアから外していく。
ダッシュボードボードを下ろす際に先程のスイッチモジュールのワイヤーを曲げないように注意する。
(フルオートエアコンだと配線のみである)
ダッシュボードを下ろした後にフレームキャリアを下ろし、エアコンユニットを取り外す。
時間は測ってなかったが、大体3~5時間でダッシュボードを下ろしエアコンユニットまで辿り着けたと思う。
Up!はゴルフやパサートとは違いMOSTと呼ばれる光ファイバー通信やECUの数が少ないので配線の束の太さが圧倒的に違うので、配線の取り回しが少なくて済む。
そしてエアコンユニットには空気を除湿した際に出てくる水を排出するドレーンホースがある。
良く分からないのだが、
フォルクスワーゲンはエアコンユニットに取り付けられているドレーンホース直下にエアバックECUを取り付けている。(ゴルフ、ポロは確認済み)
仮にドレーンホースがズレたり亀裂が入ったりし水を車外へ排出出来なくなった場合の残された経路は1つ。
車内へ流れ込みエアバックECU直下で水滴が垂れ始める。
その結果エアバックECUがショートしエアバック警告灯及び、車内が水浸しになる。
(実例があるが、これは後日紹介する予定)
この箇所に取り付ける理由として衝突事故時にエアバックを正常作動させる為に衝突によってECUが壊れるのを防止する為に中央配置しているのだろうと私は考えている。
ECUを取り付けるアースポイントとしても良い場所なのだとも思う。
そしてエアコンユニットが外れたので、分解していく。
基本的トルクスで止まっているのだが、Up!は珍しくプラスネジでエアコンユニットが組み立てられていた。
写真だと分かり辛いが手前が新品で奥が取り外したエバポレータになる。
右上部が黒くなっており、エアコンガスが漏れた形跡がある。
エバポレータを新品に交換し、エアコンユニットに組み付け後は取り外し手順と逆に取り付けていく。
続いてはコンデンサー交換になる。
Up!の場合はバンパーと左ヘッドライトを外すのみで直ぐコンデンサー交換が可能なので比較的簡単だ。
バンパーを外してみると、バンパー下部がエアコンガスで汚れていた。
この汚れ具合はエバポレータよりコンデンサーの方が漏れが酷かった可能性がある。
こちらも新品に交換。
真空引きを実施しエアコンガス充填後、作業は終了。
・コンデンサーは走行風が当たる様にバンパーダクトから見えるようになっているが、稀に大きい石が飛んできてコンデンサーを損傷してしまった。
・縁石や車止めにバンパー下部をぶつけてしまいラジエーター、コンデンサー共に割れてしまった。
・中古品を取り付けたのち、新しいエアコンガスが入ってガス経路が破裂した。
嘘ではなく実際にあった事例になる。
いづれにしても高額整備となるので注意していただきたい。
今回のUp!も高額な整備となったので整備費用を参考にしてほしい。
エキスパンションバルブOリング 2,024円 7H0 820 898 8E0及び8E0 260 749
エバポレーター 116,600円 1S2 816 103
コンデンサー交換工賃 11,000円
コンデンサーOリング 1,991円 4E0 260 749A及び3D0 260 749C
コンデンサー 83,600円 1S0 816 103
エアコンフィルター 6,930円 1S0 819 669
エアコンガス缶 3本サービス
合計 287,145円
年式は2013年度の車両でほぼ初期型であった。