駐車場にオイルのような滲み跡があるのは一体なぜ??ゴルフ7やポロ、トゥーランのオイルセパレーター交換。

ゴルフ7も誕生から10年

10年選手の車両達の整備が目立ってきている。
車の耐用年数が6年と言われている世の中ではあるが、それ以上に長く愛車を大切にしている人も多い。
しかし機械である以上は何処か劣化してくるのも当たり前の話であり、今回は事例の多いオイル漏れを紹介していきたい。
駐車場が汚れている
先月来店したお客さんの話であるが、とてもがっかりした様子で

綺麗にした駐車場がオイルで汚れてしまった…悪いけど急いで修理して欲しい
と、ご依頼をいただいた。
早速リフトに上げてオイル漏れの確認をしていく。
確かにアンダーカバー下部がオイルで滲んでいるように見えた。
アンダーカバーを取り外すとオイルフィルター付近が酷くオイルで汚れていた。


単純にオイルフィルターが緩んでいてオイルが漏れているのかもしれないから緩みの点検をしたけど、特に問題は無さそうだな…
なので考えられる箇所としてオイルセパレーターからのオイル漏れの疑いが出てきた。
オイルセパレーターはオイルに混入したブローバイガス(エンジン内部で取り除き切れなかった排気ガスや未燃焼ガス)をオイルミストと未燃焼ガスに分離させる機構であるのだか、
このオイルセパレーターはボルトとシーリング剤で固定されており、年数が経過してくると熱や振動によってシーリング剤が劣化し隙間が生まれてきてしまう。
その劣化したシーリング剤の隙間からオイルを含んだブローバイガスが少しずつ抜けていきオイル漏れの原因となってしまう。
なのでオイルセパレーター本体を取り外してシーリング剤の再塗布で治るかと思ってしまうが、過去にシーリング剤だけ塗り直し納車したがまた2ヶ月もしない内に再入庫になってしまったので、オイルセパレーターとボルトの新品交換を推奨している。
オイルセパレーターの交換はシーリングの交換時間を含めて1泊2日の時間が必要なので料金の了承をいただいた後、車両を預かった。
今回整備するのはゴルフ7になる。
前回のウォーターポンプでも説明したが、

ボンネットを開いて下記の画像と同じようなレイアウトのエンジンであれば今回紹介するオイルセパレーターからのオイル漏れが起きる可能性があるので注意していただきたい。

またオイルレベルを確認してオイルが減っていたら純正オイルを補充することをオススメする。
作業に取りかかっていく
オイルセパレーターを作業していく上でオイルフィルターが邪魔になるのでオイルフィルターを外していく。

オイルフィルターを外すとゴムブラケットで固定されている電動ウォーターポンプが見えるのでT30トルクスを使って取り外していく。


ウォーターポンプを邪魔にならない位置に動かし、インテークマニホールドに繋がっているブローバイホースをオイルセパレーター側から内張剥がし等で取り外す。


オイルセパレーター側のブローバイホース取付部が折れてまったら、必ずペンチ等でホースからブローバイホース取付部を取り除く。
次にオイルセパレーターの本体のカバーを取り外すが、このカバーを外すのが非常に厄介である。
とにかくツメが外れなく、Lピックやマイナスドライバーでこじりながら1つ1つロックを解除する必要がある。

4箇所あるロックのうち、①~③のロックを外し上へ持ち上げるとカバーが外れる。

カバーが取り外す事ができたらオイルセパレーターのT30 トルクスボルトを9本外していくのだがネジロックが塗布されているのでボルトの頭をなめないように慎重に緩めていく。

全てのボルトを取り外し、クリップクランプツール等でセパレーターをエンジンブロックから剥がす。
剥がし終えたらシーリング剤が残っているので、このシーリング剤を綺麗にスクレッパーやワイヤーブラシで綺麗に取り除く。


私は徹底的にシーリング剤を取り除くが、人によってはシーリング剤をわざと残す人もいる。
ワイヤーブラシで擦り過ぎるとブロック側が削れてしまうというが、シーリング剤で庇いきれない程にエンジンブロックが削られるか信じ難いので私は徹底的に綺麗にすることにしている。
シーリング剤を綺麗に取り除いたら、新品のシーリング剤を開封する。
シーリング剤のスプライン部の先端部分を少しニッパーで切り落としキャップを取り付けて、キャップの先端を1mmくらいの太さに切り落とす。


新品のオイルセパレーターに新品のシーリング剤を1mm~2mmくらいの太さで塗布していく。


全周にシーリング剤が塗れたら直ぐにブロック側に取り付ける。
(5分もすると硬化が始まるのでなるべく早く取り付ける)
取り付け終えたらセパレーターを押さえつけるくらいのトルクでボルトを9本締めていく。

その後下記の順番で9N・mで締めていくのだが、規定トルク以上で締めすぎるとセパレーターの端部が割れるので慎重にトルク締めをする。

トルク締めが終えたら、カバー、電動ウォーターポンプ、ブローバイホース、オイルフィルター(24N・m)を締め付ける。
作業終了後シーリングが完全硬化するまで半日以上そのまま放置しする。その後エンジンを掛け試乗を実施しオイル漏れが無いことを確認しお客様へ返却した。
以下2016年式 ゴルフ7 オイルセパレーター交換になる。
また純正パーツの購入は度々お世話になっている「パーツスペシャリスト山口」にて購入が可能なので是非活用してほしい。
•交換工賃及び診断料等 16,000円
•オイルセパレーター 14,000円 04E103464E
•シーラント 6,000円 D 176501A1
•T30トルクスボルト×9 2,400円 N 90737803
税込み価格合計 38,400円