シャランやゴルフトゥーランのエンジンから「ガラガラ」や「ゴロゴロ」の異音が…冷却水警告灯も点灯してしまうウォーターポンプ修理とは??

厄介な高額修理
フォルクスワーゲン定番の1つであるウォーターポンプ修理であるが、その中でも悪名高いのがシャランやゴルフトゥーランに積まれる1.4Lツインチャージャーエンジンのウォーターポンプ交換になる。
お客さんが来店すると決まって、
エンジンルームから「ガラガラ」音がしてて車が壊れそう…
と来店される。
この時点でほぼほぼ何が
故障しているのかが、判断がつくが先ずは実際の音を聞いてほしい。
この異音が発生した場合は間違いなくウォーターポンプの故障になり、修理金額を見るとがっかりされる率が非常に高い。
1.4Lツインチャージャーのウォーターポンプは何故壊れやすいのか説明してながら作業工程を紹介していきたいが、
その前に、
2Lペットボトルに水道水を入れてトランクの中にいれておくこと!
クーラント(冷却水)警告灯が点灯している場合は、ボンネットを開けてクーラントタンクの圧力を抜き(クーラント警告灯点灯時は高圧力がタンク内に掛かっているのでゆっくりとタンクキャップを開く)用意したペットボトルの水を補充して最寄のディーラーか販売店へ連絡していただきたい。
か
1.4Lツインチャージャーは名前の通り、ツインチャージャーという2機の過給機を搭載しているエンジンである。
フォルクスワーゲンブランドの中でも特に珍しくスーパーチャージャーを積んでいるエンジンであり、低回転~中回転域の加速を補助し中回転~高回転域ではターボチャージャーで加速するので全域で無駄なく過給が行えるのでシャランやトゥーランといった車重が重い車両にはもってこいのエンジンである。
言ってしまえば後期型シャランや2代目トゥーランに搭載されている2.0L ディーゼルエンジンの良さには敵わないが、シングルターボエンジンに比べグングン加速してくれるので今でも長く乗り続けているオーナーが多い人気のあるエンジンである。
そしてコンパクトなツインチャージャーを採用したことで補機類の負荷が高くなってしまった。
紹介しているウォーターポンプはクーラントの循環はもちろんのことスーパーチャージャーのON/OFFを担っているマグネットクラッチが取り付けられている。
そのマグネットクラッチは低~中回転域でのアクセルペダルの踏み込み量によって作動しアクセルペダル信号が入力されるとマグネットクラッチが締結されスーパーチャージャーが作動する仕組みになっている。
そのためストップ&ゴーが多い街乗りや加減速を繰り返すアクセルワークはマグネットクラッチ付きウォーターポンプを劣化させる原因となる。
またウォーターポンプ部はシリンダーブロックに付けられており長期間乗らない場合や短距離走行しか使用してない車両はシール部が硬化しクーラントの流出に繋がる。
マグネットクラッチ付きウォーターポンプを劣化させない為の方法として、優しいアクセルワークが必要になる。
信号待ちや渋滞では急いで加速はせずにクリープ現象で進みながら柔らかくアクセルを踏んでいく。せっかちに何度もアクセルを踏むとその度にマグネットクラッチが締結されるのでマグネットクラッチが疲弊し故障の原因に繋がってしまうので注意してほしい。
また長期間乗らない場合や短距離走行が多いケースは週に1度でもアイドリングで30分間放置して置くだけでもウォーターポンプシール部が硬化せずにクーラント漏れを軽減できる。
ウォーターポンプ交換
お客さんにウォーターポンプ交換の了承を得たので作業へ移っていく。
エンジンカバーを取りインテークパイプのトルクスT30を3本とブローバイホースを取り外し、16mmのスパナを用いてオートテンショナーを手前に引いてロックポジションになったら鉄ピン(4mmのプラスドライバーでも可能)を差し込んで固定する。
固定した後はホイールを外しホイールハウジングを外す。
ホイールハウジングが外れるとチャージパイプが見えるのでCクリップのロックをマイナスで2箇所抉ってパイプを外し、テンショナープーリーを16mmソケットで動かし鉄ピンを挟んで固定しリブドベルトを外す。
リブドベルトが外れたら、やや面倒なエンジンサポートブラケットが固定されているT30のトルクスと10mmのトリプルスクエアを2本外す。
その後、ブレーキマスタシリンダー付近にチャージパイプを止めている7mmのバンドがあるのでバンドを限界近くまで緩めてチャージャーパイプを固定している2本のT30トルクスを外し、固着し取り外しづらいチャージパイプを下から引き抜く。
チャージャーパイプが外れたら、スーパーチャージャーのカバーのロックを解除していく。
カバーを浮かせないと3つ目のオートテンショナーを固定できないのでカバーのロックを2箇所外す。
外すとオートテンショナーが見えるが、T40のトルクスソケットでオートテンショナーをサービスポジションの位置に動かすが、鉄ピンが差し込みづらいので気合で取り付けていく。(ゴルフ5世代はカバーが無いので非常にやり易い)
ウォーターポンプは3本のT30 トルクスで固定されているので外していき取り外す際はクーラントが大量に出てくる可能性があるので注意する。
取り外し後、エンジンルーム上部からマグネットクラッチのコネクターを外して下からウォーターポンプを外す。
またウォーターポンプを新品に交換と同時にショートベルトも新品へ交換することをオススメする。
ウォーターポンプを固定しているT30のトルクスを10N•mで締め付けて取り外しと逆の手順で作業を進めていき作業は終了となる。
ウォーターポンプ交換工賃
以下、2013年式 シャランのウォーターポンプ交換となる。
•交換工賃及び診断料等 32,000円
•クーラントポンプ 62,000円 03C121004J
•ショートベルト 4,000円 03C145933A
•クーラント 5,000円 G 12E100M2
税込み価格合計 103,000円