アストンマーティン
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元アストンオーナーが探している。それなりにお手頃で壊れなそうなアストンマーティンの中古車とは?

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中古車情報は毎日の日課

アストンマーティンの中古車情報は、今もほぼ毎日見ている。DB9を手放してから、この習慣だけは変わっていない。

元オーナーとして言えるのは、アストンマーティンは車両価格だけで判断してはいけないということだ。500万円で買えるからといって、500万円で乗れるわけではない。

この記事では、私が本気で狙っている2台を紹介しながら、購入を検討している人が実際に判断に使える材料を書いていく。

この記事の結論

予算は「車両支払総額+200万円」で組む。 私は100万円しか用意せず、1年で使い切った。

狙うべきは年間3,000〜4,000km走っている個体。 走行距離は少なければ良いというものではない。

DB9とV8ヴァンテージの最大の違いはトランスミッション。 試乗でここを確認しないと、後悔する可能性がある。

まず決めておきたい予算の考え方

アストンマーティンを検討し始めると、どうしても車両価格に目が行く。ただ実際に必要なのは、車両支払総額に加えて200万円程度の余力になる。

これは脅かしではない。私自身の失敗から出た数字だ。

100万円しか用意しなかった私は、1年で使い切った

DB9を所有していた当時、整備用に用意していたのは100万円だった。 1年ほどで無くなった。

直せる箇所は自分で直していた整備士でこれになる。 全て工場に任せるなら、もっと必要になると考えてほしい。

1度でも大きな故障をすれば100万円は覚悟するという前提で予算を組んでおくと、精神的にかなり楽になる。

この余力があるかどうかで、アストンとの付き合い方はまるで変わる。修理費が出せる状態なら「また壊れたか」で済むが、出せない状態だと生活そのものが揺らぐ。私はそれで手放している。

1台目 アストンマーティン DB9

過去に所有した車両ではあるが、DB9の魅力は手放した今でも計り知れない。エクステリアデザインは完璧で、V12エンジンを始動するときのスターター音には毎回やられていた。

アストンマーティン スタート ボタン

所有していた当時は残業続きで精神をすり減らしていたが、休日にDB9のエンジンスタートを聞けるだけで疲労が嘘のように無くなった。

DB9 インテリア

何をするにも金が掛かり、機嫌が悪くなると一歩も動かなくなる我儘な車だった。それでもグラントゥーリズモより気に入っていたのは確かだ。

(DB9の内装は、マジックテープや取り付け部にはめてあるだけといった、意外な箇所もある)

DB9とV8ヴァンテージ、どちらを選ぶか

同じ予算帯で必ず比較対象になるのがV8ヴァンテージになる。エクステリアはどちらも遜色なく、そこでは選び切れない。

DB9 V8ヴァンテージ
エンジン V12 V8
ボディサイズ 大きい ひと回り小さい
ミッション 市場に出ているのはほぼ6速AT 2ペダルMTのスポーツシフト
街乗りの気楽さ ATなので普通に扱える ATモードに癖がある
私の選択 こちらを選んだ デザインは互角だが見送った

※DB9にもMTの設定はあるが、中古市場で見かけるのはほとんどがATになる。

決め手はトランスミッションだった

私が両車を比べて一番違うと感じたのは、V8ヴァンテージにスポーツシフトという2ペダルMTのトランスミッションが積まれている点になる。

ここは仕組みから説明しておきたい。検討している人にとって、試乗で確認すべき最重要ポイントだからだ。

2ペダルMTは、AT風に見えて中身はMT

スポーツシフトの正体はマニュアルトランスミッションになる。 クラッチペダルが無いだけで、中身はMTそのものだ。人がやっていたクラッチ操作とギア選択を、機械が代わりにやっている。

一方、DB9の6速ATはトルクコンバーターを使った一般的なATになる。 クラッチを切る動作そのものが存在しないので、変速で駆動が途切れる感覚が出にくい。

見た目はどちらも2ペダルで同じだが、動きの質はまったく別物になる。

2ペダルMTでは、変速のたびにクラッチを切る → ギアを変える → クラッチを繋ぐという一連の動作を機械が実行している。人間なら足と手を同時に動かして、アクセルの抜き加減まで合わせている作業だ。

この間、駆動力は一瞬途切れる。だからATモードで普通に走らせると、変速のたびに車体が前へつんのめり、ワンテンポ遅れて次のギアが繋がるという挙動になる。

フォルクスワーゲンで例えるならUp!のASG

仕事柄フォルクスワーゲンで例えると分かりやすいのだが、V8ヴァンテージのスポーツシフトはUp!のASGに似ている。

Up!に積まれているASGは、シングルクラッチの5段セミATになる。クラッチを操作するアクチュエーターと、ギアを操作するアクチュエーターが付いていて、この2つの連携で変速している。

Up!のATモードで走ると、変速時にフロントがかなり沈み込んでワンテンポ遅れて繋がる。普段AT車やDSG車に乗っているオーナーなら、間違いなく違和感を覚えるはずだ。

そしてUp!を楽しく乗るコツは、常にシーケンシャルモードで運転することになる。

手動で変速するときにアクセルを抜いてやると、ATモードとは比べものにならないほどキビキビ走る。

V8ヴァンテージも同じだった。パドルシフトで回転を上げてから変速すれば、カチッと気持ちよく決まる。

年式によっても違いがある

私は4.2Lの2007年式と、4.7Lの2010年式の両方でスポーツシフトを体験している。2007年式の方がATモードでのシフトショックが強かった。

それでもワンテンポ遅れる特性自体は共通していた。

つまりV8ヴァンテージを検討するなら、年式によって印象が変わる可能性があるということになる。

カタログや記事の評価ではなく、実際に乗る個体で確認してほしい。

試乗では必ずATモードで走らせてほしい

販売店の試乗では、つい楽しくてパドルを使ってしまう。 ただ日常で使うのはATモードの方になる。

渋滞や駐車場での低速、発進からの加速。 この領域でどう感じるかが、購入後の満足度を左右する。 私はこの手動操作を毎回やるのが嫌になる未来が見えたので、DB9を選んだ。

逆に「常にパドルで走るのが楽しい」という人なら、V8ヴァンテージは良い選択になる。 好みの問題であって、優劣の話ではない。

走行距離は「少ないほど良い」ではない

ここが中古アストンを選ぶうえで、私が最も重要だと思っているポイントになる。

実際に私が狙っていたDB9は、2008年式で走行59,000kmの個体だった。計算すると年間4,000kmペースになる。

仮にこれが半分以下の20,000kmだったとすると、年間1,300kmペースになる。ほとんど動いていなかった期間が長いということだ。

なぜ動かさない車が傷むのか

車は走らせないと、劣化のペースがむしろ早くなる。理由は油脂の循環にある。

エンジンオイルやクーラント、ATFといった油脂類は、エンジンが回っている間じゅう各部を巡っている。この循環が、ゴムや樹脂のシール類に油分を行き渡らせ、乾きと硬化を防いでいる。

動かさない期間が長いと、シールに触れる油分が失われる。乾いたゴムは縮み、硬くなり、ひび割れる。次にエンジンを掛けて圧力が掛かったとき、そこから漏れ始める。

低走行で劣化しやすい箇所 起きること
エンジンヘッドカバーのオイルシール 硬化してオイルが滲む、漏れる
ラジエーター接合部のシール クーラントが漏れる
ATFクーラーのゴムホース 劣化してATFが漏れる。アストンではよくある症状で、私のDB9も1度交換している
ゴム・樹脂部品全般 硬化とひび割れが進む

※当ショップや自身の所有経験にもとづく傾向になる。

もちろん、大切に保管しながら週1ペースでエンジンを始動していた個体もあるはずだ。ただその車両を書類や写真から見極めるのは、非常に難しい。

だからリスクを避けるという意味で、年式に対して年間3,000〜4,000km走行している個体が狙い目だと考えている。ボディの綺麗さだけで低走行車に飛びつかないでほしい。

個体を絞り込むときのチェックリスト

私が中古車情報を見るときに、実際に確認している順番になる。

01

年間走行距離を計算する

走行距離 ÷ 経過年数。3,000〜4,000kmに収まっているか

02

保証の「範囲」を確認する

期間の長さより中身が重要。エンジン内部だけなのか、センサー類まで含むのかで価値がまるで違う

03

タイヤの銘柄を見る

前オーナーがどこまで金を掛けていたかが表れる。安価なタイヤが履かれていれば、他の整備も推して知るべし

04

ストーンガードや外装の状態を見る

黄ばみや飛び石跡。生産終了している外装部品もあるので、程度は妥協しにくい

05

ハンドル位置を決めておく

左右で使い勝手も相場も変わる。妥協できるかを事前に決めておきたい

06

整備記録を確認する

どこを直してきた個体なのか。大物の交換歴があるなら、それは減点ではなく加点になる

02の保証については補足しておきたい。以前、保証期間1年という表示のDB9を見つけたことがある。この価格帯では見たことのない条件だった。

ただし保証は期間より範囲を見てほしい。エンジン内部の重整備しか対象にならない保証なら、実質的にはほとんど使えない。逆にセンサー類や電装まで含まれているなら、非常に価値が高い。契約前に、何が対象で何が対象外なのかを書面で確認してほしい。

2台目|アストンマーティン ラピード

Aston Martin Rapide

もう1台狙っているのがラピードになる。値下がりが特に目立つモデルで、初期モデルなら総額600万円を切る個体も出てきていた。日本だけでなく海外でも同じ傾向だった。

ラピードは今のハイテク車と並べても遜色ないエクステリアだと思う。対するDB9は、ややネオクラシックカーに近づいてきた印象がある。

新車価格が2,000万円を余裕で超えていた車が、なぜここまで落ちたのか。

4ドアのアストンという難しさ

アストンマーティンには4人乗りというイメージがない。ラピードを除けばラゴンダしか思い浮かばず、クーペのイメージが根強い。

海外ではラピードをファミリーカーとして説明していたが、まったく相手にされなかったため、4人乗りのスポーツカーとして紹介し直したという話がある。

もちろん4ドアになってもエクステリアはアストンらしく、他ブランドの4ドアサルーンとは比べものにならないほど美しい。DB9やヴァンキッシュと並べても違和感がない。

後部座席が狭いという評価もあるが、日本人の体格であれば窮屈な思いをすることは少ないと思う。

ラゲッジもクーペより拡大されているので、バッグが入らずに困ることはなさそうだ。

(ただしキャリーケースを4つ積むのは厳しい)

値下がりのもうひとつの理由

4ドアという以外に、もうひとつ大きな理由がある。初期ラピードは故障が多いことで知られている。

知人がラピードに乗っていたので、実際に聞いた内容を挙げておく。

故障箇所 知人から聞いた内容
バッテリー 他のアストンでも同様。ほぼ起こると言っていた
オルタネーター 同上
O2センサー 同上
エキゾーストマニホールド(触媒) 本体交換になると高額。ラピードで最も恐れていた箇所だと話していた
燃料ポンプ 不良の事例あり
ヘッドライト・テールライト シーリング不足で内部に水が侵入し、ショートして本体交換になる

※私が直接整備した内容ではなく、オーナーだった知人から聞いた話になる。全個体で起きるという意味ではない。

ラピードは全長5.0mで、DB9より30cmほど長い。全長が伸びたぶんエキゾーストパイプも長くなっており、排気系に何らかの因果関係があるのかもしれないが、そこまでは分からない。

その知人はトラブルの多さに嫌気がさし、現在はAMG GTに乗っている。今のところノントラブルで実に快適だそうだ。

それでもアストンを選ぶのか

正直に書いておく。4人が快適に乗れて、大きな故障の心配も少ない車なら、他にいくらでもある。

比較されやすい車 ラピードに対しての立ち位置
メルセデスAMG GT 知人が乗り換えた先。トラブルの少なさを評価している
ポルシェ パナメーラ 4人が快適に移動できる。実用性で上回る
アウディ A7スポーツバック 同価格帯で維持のしやすさが違う

冷静に考えれば、これらを選ぶ方が合理的だと思う。それでも私は、余裕さえあればラピードを買いたい。

絶対的な美を持つ4ドアは、ラピード以外にあり得ないからだ。

タチバナのひとりごと

この記事を最初に書いたとき、私は「まだ買えない」と書いていた。 その後もDB9とラピードを本気で検討したが、最終的に選んだのはジャガーFタイプだった。

合理性で負けているのは分かっている。 それでも中古車情報を見る手は止まらない。 アストンを検討している人なら、この感覚は伝わると思う。

まとめ

この記事のポイント
  • 予算は車両支払総額+200万円。私は100万円で1年しか持たなかった
  • DB9とV8ヴァンテージの最大の違いはトランスミッション。スポーツシフトは中身がMTになる
  • 2ペダルMTはATモードで変速が途切れる。試乗ではパドルではなくATモードで確認したい
  • V8ヴァンテージは年式でも印象が変わる。2007年式の方がショックが強かった
  • 走行距離は少なければ良いというものではない。年間3,000〜4,000kmが狙い目
  • 動かさない車はシール類が乾いて硬化する。ヘッドカバー、ラジエーター、ATFクーラーのホースが漏れやすい
  • 保証は期間より範囲を確認する。エンジン内部だけの保証は実質使えないことがある
  • ラピードは値落ちが大きいが、初期モデルは故障が多いことで知られている

相場や個体の状況は年々変わっていく。この記事の金額は執筆時点のものになるので、実際に検討する際は現在の相場を確認してほしい。

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アストンマーティンDB9やマセラティグラントゥーリズモ、メルセデスベンツCクラスを過去に所有し、現在はジャガーFタイプと三菱エクリプスクロスを愛車とする30歳の整備士が運営するブログ「タチバナ記録簿 」。 フォルクスワーゲンのプロショップでフロントスタッフとして働く著者が、輸入車の維持費を安く抑える節約術や日常のメンテナンス、ちょっとした雑談をリアルに紹介。 高校生時代からの車への情熱を交え、初心者からベテランまで役立つ情報を発信。 フォルクスワーゲンのメンテナンスのコツやコストダウン方法を探しているなら、このブログを是非覗いてみてください。

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