アストンマーティンDB9やラピードの中古車相場が下がる今、なぜ私はラピードを選ばなかったのか?

アストンマーティンへの憧れと現実の選択
中古車市場でアストンマーティンDB9やラピードの相場が下落し、手頃な価格で購入できる機会が増えている。
当ブログのコメントで、
「ラピードが選考から漏れた理由をブログ記事で綴ってほしい」
と、ありがたい事にリクエストをいただいたので今回私がラピードやDB9を諦め、ジャガーFタイプを購入した理由を詳しく伝えていきたい。
中古アストンマーティン・ラピードの魅力と相場の現状
近年、中古車市場でのアストンマーティン・ラピードの価格下落が顕著になっている。
特に、モーニングフロスト(パールホワイト)やコンコースブルーといった人気色の個体は、走行距離3~5万kmで税込400万円前後から購入可能なケースも出てきて、いかにアストンマーティンは2ドアクーペのイメージが強いのかが市場でハッキリしてきた。
数年前なら800万円以上が当たり前だったことを考えると、驚くほど手頃な価格帯になっている。
直近3ヶ月のオークションでの取引は、
•2014年式 ラピードS? モーニングフロスト 4.8万km 541万円
•2012年式 ラピード オニキスブラック 5.6万km 387万円
※全て税込
となり、タッチトロニック2ではあるがラピードSも600万円を切るようになってきた。
ラピードは、メルセデス・ベンツSクラス、レクサスLS、BMW 7シリーズ、アウディA8といったラグジュアリーサルーンと比較しても、独特の存在感を持つ4ドアスポーツサルーンで全長約5mのロングボディに、アストンマーティンらしい「ロングノーズ、ショートデッキ」のデザインを採用している。
エクステリアはマレク・ライヒマン氏が手掛ける流麗なラインが特徴で、特にサイドビューやリアの曲線美はジャガー Fタイプとは違う華麗さがある。
インテリアはさらに魅力的でセミアニリンレザー?(レザーの知識が乏しいため詳細は不明)を使用したセンターコンソールがフロントからリアまで伸び、4人乗りのレイアウトは後席にも贅沢な空間を提供している。
特にリアのエアコン吹き出し口の凝ったデザインが私はたまらなく好きで、コスト度外視のこだわりを感じさせる。
後席は他の欧州車と比べ圧倒的に狭く圧迫感があるものの、まるでファーストクラスのような雰囲気は他ブランドは表現出来ない仕上がり。
運転手付きのラピードで地方のレストランでのんびり夫婦で過ごせたらと何とも優雅な1日になるだろう、と妄想が膨らむ。
このようなデザインと機能の融合は、DBXではなくラピードが「4ドアのアストンマーティン」として唯一無二であると私は思っている。
ラピードのスペックとパフォーマンス
ラピードに搭載される5.9L V12エンジンは、最高出力477PS(初期モデル)~558PS(ラピードS)を誇り、0-100km/h加速は約4.9秒(ラピードSの場合)と、4ドアサルーンとしては驚異的なパフォーマンスを発揮する。
過去に6速タッチトロニック2のラピードを試乗した時は走り出しの変速がややもたつく傾向があって、全体的に熟成していない印象であった。
滑らかな加速と高速域での安定感を求めるならやはりラピードS のタッチトロニック3を勧めるがこちらは車両価格が1,000万円付近なので手も足も出ない。
しかしタッチトロニック2搭載のラピードでも素晴らしいエンジンサウンドを奏で街中でも存在感を放つ。
サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンク式で、スポーツカーらしいハンドリングとラグジュアリーな乗り心地を両立。ただし、路面の凹凸を拾いやすい傾向があり、長距離移動ではやや硬めの乗り味を感じることがあった。
アストンマーティン・ラピードを見送った理由
ラピードの魅力は認めつつも、私は購入を見送った理由として私自身の気持ちと維持費の問題が挙げられる。
隠さず正直に申し上げると、
「ラピードやDB9の運転席に座りハンドルを握るとV12アストンに乗る人物として、自分はまだ相応しくない」
と感じていた。
気持ちの余裕と年収が1000万円以上あれば話は別であるが、現在の私の収入では、自動車税、自動車保険、維持費が重くのしかかり、資金が底をつくのが目に見えている。
また結婚や新居購入、子供の将来を考えるライフステージに立っており車に注ぎ込める金が1人暮らしの時と比べ大幅に少なくなった。
なのでラピードの魅力は認めつつも、現実的に維持が難しいと判断した。
更に整備士の経験から、V12エンジンに乗ると不安になる事もDB9に乗っていた時に経験していた。
アイドリング中や渋滞時のボンネットから、揺れている熱気を見ると、
「熱でセンサーが故障したりクーラントパイプが割れてオーバーヒートしないか?」
変な振動を感じると、
「ミスファイヤーの兆候ではないか?」
また走行中では、
「ATF漏れを引き起こし走行不能になったりしないか?クーラント漏れは大丈夫か?」
と、
V12エンジンは気筒数が多い分、熱管理の問題や部品の消耗が早く故障リスクが高まる。
過去に所有した初期型DB9では、納車から1年以内に100万円以上の修理費が発生している。
ラピードの故障を想定すると、左右キャタライザーの交換(約100万円)、オルタネーターの故障(40~50万円)、オイルクーラーの漏れ(100万円以上)など、潜在的なトラブルが無数に存在する。
ラピードの中古車は、走行距離3~5万kmの個体が多く、ちょうどメンテナンス費用が増えるタイミングでもある。
モーニングフロストやコンコースブルーの個体は比較的多いものの、整備履歴が不明な車両や、放置されていた痕跡(ヘッドライトのクラック、ボディのくすみやレザー剥がれ等の劣化)がある場合も少なくない。
なので、本格的に乗り始めるには車両価格に+200~300万円は用意しなければアストンマーティン ラピードという車を心の底から堪能することは出来ない。
なので考えれば考える程に不安になり、
故障の度に50万円なのか、100万円以上掛かるのかと不安になるのは余りにも心理的な負荷が大きい。
であれば、奥さんと高級ホテルに宿泊したりバックの1つでもプレゼントした方が2人とも幸せな気分になるのでは?と思い、今はラピードに乗るべきではないと考えた。
なぜジャガーFタイプを選んだのか?
ラピードを見送った結果、私は2016年式のジャガーFタイプを購入した。
以前の記事でその理由を沢山書かせていただいたので簡潔に説明していくが、
私はイギリス車に心底惚れており、アストンマーティンの他にデザインが美しく維持費の面でも不安になる要素が少ないFタイプが今の私にはピッタリであった。
V6エンジンはV12に比べ熱問題や故障リスクが低く、自動車税や保険も抑えらる。更に私が大好きなデザイナーの1人でもあるイアン・カラム氏による「ロングノーズ、ショートデッキ」のデザインは、ラピードとは異なるスポーティな美しさを表現している。
306PSのV6エンジンは、日常使いからワインディングロードまで充分でエンジンのパワーを全て出し切れるのも惹かれた理由であった。
まとめ:ラピードを検討している方へ
ラピードは、4ドアサルーンとしての実用性とスーパーカー並みのパフォーマンスを兼ね備えた唯一無二の存在になる。
中古アストンマーティン・ラピードの相場下落は魅力的で金銭的な余裕があり、整備環境を整えられるなら、羨ましく素晴らしいカーライフが待っているので是非一度実車を見に行ってほしい。
V12エンジンのサウンドと豪華なインテリアは所有の喜びを約束するに違いない。
私はラピードの代わりにジャガーFタイプを選んだが、ラピードの魅力は今も心に残っている。
いつか所有するに相応しい人物になり、経済的に余裕ができたら、ラピードやDB11を迎え入れてガレージで眺めながら至福の一時を過ごしたいと記事を書いていた。
出典:2014 Aston Martin Rapide S – Stratton Motor Company
出典:2015 Aston Martin Rapide S – Stratton Motor Company