ゴルフ7、パサート、ポロなどでギヤが入らない!??トランスミッションエラーの警告の表示が出たら高額修理の可能性が…
やはり壊れる乾式DSG
先週、レッカー搬送にて走行不能なゴルフ7が入庫してきた。
レッカーの人曰く「N」レンジには入るけど、「D」や「R」にいれるとスパナマークが点滅して黄色い警告灯が点灯するという内容であった。
車両に乗り込んで確かめてみると、エンジンチェックランプが点灯し
「エラー:トランスミッション バックギヤ使用不可」
の警告が表示されていた。
ここで大体の予想は付いていたが、次のステップに以降していく。
故障診断機にてギヤボックスECUの故障コードを見ていくと、
「P073B00:6速ギヤ:アジャスト出来ない」
の故障コードが入力されていた。
この故障コードが入力されていた場合は、トランスミッション本体の内部不良か6速ギヤを動かしているシフトフォークが破損している可能性があるのでメカトロニクスを外して確認する必要がある。
メカトロニクスの取り外しはこちらの記事でも書いたが、トランスミッションハウジング上部の黒いカバーを外してシフトフォークを指で押して「N」状態した後に取り外す事が可能になる。(既にNポジションになっている車両もある)
ピストンをフリーにする為に、ギヤボックスハウジングに特殊工具を挟み込みシフトフォークを起こすとピストンがフリーになる。
フリーになった状態でT45のアルミボルトを7本外してメカトロニクスを取り外す。
シフトフォークには点検用のマグネットが取り付けられていて、その箇所でギヤの摩耗具合を確認できる。
特にシフトフォークに異常な量の鉄粉が付いていなかったので今回はトランスミッション本体の交換ではなく、シフトフォークの交換作業となった。(異常な鉄粉量の場合ギヤが摩耗又は削れている可能性がある為)
シフトフォークの交換作業ではトランスミッションのオーバーホール作業となるので、先ずはトランスミッションを降ろしていく。
いつも通りにトランスミッションを下ろしオーバーホール作業の準備に取り掛かる。
クラッチを取り外し、トランスミッションに取り付けられているボルトを取り外していく。
圧入されているトランスミッションハウジングを特殊工具を用いて外していくと(写真を撮り忘れた)各ギヤが現れる。
各ギヤが損傷はなかったが、やはりシフトフォークは完全に破損していた。シフトフォークを新品交換するには各ギヤ、フロントデフを取り外していくので、アウトプットシャフト1→アウトプットシャフト2→アウトプットシャフト3→フロントデフの順に取り外していく。
アウトプットシャフト1を取り外した際にRギヤ、6速ギヤのシフトフォークを外したが完全にボールベアリングが粉々になっていた。
このボールベアリングが破損した為に、メカトロニクスのピストンがシフトフォークを動かしてもシフトフォークが斜めに動いてしまう為に各ギヤに変速出来ずにトランスミッションエラーの警告灯が点灯してしまっている。
なのでシフトフォークを先端がゴム製になっている隣のシフトフォークと同様の対策品と交換する必要がある。
ゴム製のシフトフォークに交換するにはボールベアリングが通っていたスリーブを取り外す必要があるので外していく。
スリーブはトランスミッションハウジングに圧入されているのが、このスリーブを外すのが厄介である。
2箇所取り外す必要があるスリーブを特殊工具を用いて外していく。
圧力を掛け過ぎてトランスミッションハウジングを割らないように外していき、スリーブを外していく。
外し終えたらトランスミッションハウジングを清掃し対策品のシフトフォークを取り付けトランスミッションを組み上げ後、トランスミッションの基本調整し作業は終了となる。
今回は2014年モデルのゴルフ7での作業を紹介した。
ゴルフ7でこの故障が発生する車両の見分け方があるのだが、車両のルーフを見ていただきたい。
ルーフアンテナがある車両と取り付けが無い車両があるのだが、初期型のみルーフアンテナが取り付けされていない。(ハロゲンヘッドライトの車両もルーフアンテナが無いが、2015年式以降であれば問題はないと思われる)
今回整備した車両もルーフアンテナ無しの車両であり、価格も非常に安いという点から手が出し易いがトランスミッションの故障が起こり易いという事を知っていただきたい。
大まかに説明してしまったが、2011~2014年式の乾式クラッチを使っているゴルフ6、ゴルフ7、ポロ(6R)、パサート(B7)、ビートルでメカトロニクス本体故障以外で起こる可能性がある故障を紹介させていただいた。
この整備は基本的にディーラーやフォルクスワーゲンのプロショップでないと出来ない整備であり、多くの車両がトランスミッション本体が駄目と言われてしまい乗り換え案件になると思うが、大切に乗っている車両がこの事案によって故障している場合は値段もそこまで掛からずに整備が出来るのでトランスミッションエラーで入庫する際は正規ディーラーか実績のあるプロショップをオススメする。
•交換工賃及び診断料等 100,000円
•オイルスロワー 3,800円 WHT000387A
•ボルト650円×12 N 90991102
•ボルト 520円×4 WHT001922
•ボルト 460円×4 N 90758302
•ボルト 620円×3 N 10706901
•ボルト 1,300円×2 N 10785401
•ボルト 660円×2 02E409359
•ボルト 930円×2 N 10552404
•ボルト 210円×2 N 10196103
•ボルト 1,400円×2 N 0123191
•ボルト 930円×2 N 10552402
•ボルト 1,200円 N 91201001
•ボルト 620円 N 91167101
•ボールベアリング 4,000円 0AM311235A
•カバー 2,500円 OAM301212A
•ガスケット 16,000円 0AM927377
•スクリュー 600円×17 01X301127C
•スクリュー 590円 N 91066101
•シフトフォーク 29,000円 OAM311562L
•シーリング剤 600円 D 176600SO
•トランスミッションオイル 4,500円 G 055512S0
•ロックリング 140円 N 10661601
•ロックリング 250円 02E311467
•ロックリング 1,500円 N 0123191
•ヘッドボルト 550円×6 N 91174301
•プラグ 1,400円 N 10037105
•ナット 370円×6 N 10332002
•ナット 400円×2 N 0150816
•ナット 500円×2 WHT005538
•ニードルベアリング 4,800円 06B105313D
•オイルシール 660円×2 OAM301733L
税込み価格合計 214,180円