ゴルフ8の変速がおかしい?減速時のシフトショックについて。
ゴルフ8が販売されてから、もう2年程経つ。
今日はお客様から相談される件数が増えてきたゴルフ8のシフトショックについて紹介する。
この症状に悩まされるゴルフ8は2021年式が圧倒的に多く、1.5Lのマイルドハイブリッドモデルのみの症状である。
1.0Lやディーゼルモデルは今回の症状には当てはまらないので安心して欲しい。
更に絞り込むと、ヴァリアントではなくハッチバックのゴルフ8の方がより症状が重症化する。
このシフトショックは結論から先に話してしまうと、ディーラーでのソフトウェアアップデートで解消する事が出来る。
ディーラーで購入した場合は直ぐ担当者に
「減速時のシフトショックが酷い!」
と連絡をすればアップデートをしてくれると思う。
それ以外で中古車ショップでの購入の場合も近くのディーラーへ連絡し、必ず予約を取ってから入庫する事をオススメする。
基本的にディーラーは飛び込み入庫を非常に嫌うので気をつけた方が良い。
新規ユーザーの飛び込み作業となると尚更なので注意が必要である。
予め予定を立ててからの方がスムーズになり、
診断料やソフトウェアアップデート料金は掛かってしまうがシフトショックが気になる場合は実施した方が良い。
実際の料金は不明だが、診断料とアップデート料金で大体10,000円くらいで対応をしてくれると思う。
シフトショックはどういった状況で発生するのか?
今回のシフトショックだが、どのような時に症状が出やすいのか具体的に話していく。
基本的に症状が出るのが減速時である。
加速時には車体が「バンッ!」と押された様な感覚にはならない。
ほぼ減速時に症状が発生し、4→3速へ減速した時にある一定の条件が揃うと上記のような「バンッ」といった明らかに不快な振動が車体に響く。
今回預からせていただいた車両は2021年式のモデルであり、ゴルフ8が発表された時に直ぐに受注した初期モデルになる。
納車して半年くらいにエンジンチェックランプが点灯し販売ディーラーへ入庫したのが事の始まりだ。
ソフトウェアアップデートで改善すると言われアップデートをしてもらった後にチェックランプは消えたのだが、シフトショックが入庫前に比べかなり酷くなってしまったという。
そしてお客様は元々静岡で購入したのだが、
私達のショップ近くに引っ越して、シフトショックにもう耐え切れずにどうにかならないかと思って一度立ち寄ってみたという。
そして駄目だったら正規ディーラーへ持って行こうという事だった。
このチェックランプ点灯とは別に2022年の6月2日付けでサービスキャンペーンという名目でマイルドハイブリッドシステムのソフトウェアアップデートが出されたが、内容に目を通すとリコール案件でもおかしくないと思うのだが。。。
因みに、このエンジンチェックランプ及びサービスキャンペーンのソフトウェアアップデートの内容はほぼ同じである。
預からせていたゴルフ8の試乗条件は以下の通り
・エアコン ON
・平坦な直線道路を走行
・エンジンは暖気状態
実際に走行してみると、加速時は全く問題ない。
しかし、減速時のあるタイミングが重なると酷いシフトショックが車体全体に伝わってくる。
エアコンOFFにすると症状が収まるのだが、最新の車がシフトショック改善の為に常時エアコンOFFで走行をするのはおかしな話だ…
このシフトショックは日常生活で使用していくには余りにも耐え難いものであり、正直なところ静岡のオーナー様は良く今まで耐えられたと思った。
私達のショップに戻り、ゴルフ8に対して出来る範囲内で作業をした。
・メカトロニクスの学習値リセット
・エンジンECUのコーディング
・エンジンECUの学習値リセット
これらの他にも作業をしてみたが、
どれも全くシフトショックの軽減には繋がらなかった。
そこで正規ディーラーで働いている友人に話を聞いてみると、半年以上も対策ソフトウェアを待っていたらしい。
そして今年の3月ぐらいからやっと新しい対策ソフトウェアがリリースされてアップデートが可能になったという。
今回の症状のソフトウェアアップデートに関連する重要な部品があるだが、
それは現在フォルクスワーゲンではゴルフ8のみに取り付けられているベルトドライブスターターオルタネーターになる。
(名前が長いので以下からスターターオルタネーターと略する)
スターターオルタネーターの作動がイメージし易くなると思うので先ずはこの動画を見て欲しい。
主なスターターオルタネーターの機能として、
・エンジン始動時、又はアイドリングストップ、惰性走行時のエンジン再始動
・加速のアシスト機能
これらの機能が上げられる。
今回の原因は主に初めの48Vバッテリーを充電する機能が問題となっている。
動画でも説明していたが、48Vバッテリーの充電機能として、
・スターターオルタネーターは電気エネルギーを蓄えられた48Vバッテリーによってエンジンを始動させる事が出来る。
・エンジン始動は通常のスターターでのエンジン始動より非常に滑らかである。
更にゴルフ8は走行中の速度が一定(大体50km/h以上)になった時にアクセルをOFFにして惰性走行に移ると、
回転数が落ちそのまままエンジンがOFFになる。この制御により燃費を稼いだり無駄な排気ガスを出さない様な工夫がされている。
しかし、48Vバッテリーの充電が無くなってきた場合にスターターオルタネーターの充電制御が増加してしまう。
加えてエアコンを使用している時の電気負荷が増加しより充電制御が増加してしまう。
その為、シフトダウンとスターターオルタネーターの充電制御が終わるタイミングが重なった瞬間に問題のシフトショックが起きる。
そして今回シフトショック対策用のソフトウェアアップデートの内容だが、
エンジンECUのソフトウェアアップデートは、
48V及び12Vバッテリーの充電制御を元々の制御よりも安定した充電量を増やす制御に変更する事により、48Vバッテリーの不足を未然に防ぐ事が出来るので、シフトショックも軽減されるという。
友人に聞いたが、減速時のシフトショックは完全には改善されないとのこと。
どうしても車両制御の限界を超えてしまうと、アップデート前のような強いシフトショックは発生はしないが、非常に軽微なシフトショックはどうしても発生してしまうと話を聞いた。
友人に頼み今回お預かりした車両を正規ディーラーへ持っていきアップデートをしてもらった。
その後の車両に乗ってみたが、間違いなくシフトショックの回数は減っていた。
ただ時折これはちょっと怪しいなと思うシフトショックも感じられたが許容範囲内だったので今回の対策用のソフトウェアアップデートでシフトショックは改善されていると私は思っている。
ゴルフ8を中古で買ってシフトショックに悩んでいる方がいたら、是非一度ディーラーへ相談してみて欲しい。
1人でも多くの方が快適にフォルクスワーゲンライフを送れる為にこれからも情報を提供していく。