過走行のゴルフ7/7.5R、GTI、ポロGTI、アルテオン、パサートはサーモハウジング交換の他にこの冷却水漏れ及びオイル漏れに注意せよ!!
距離数が伸びた個体が増えてきた
私のショップは都心寄りであるに関わらず、距離ガバ(長距離走行の多い車両)のオーナーが多い気がする。
そんな中でも気をつけないといけないのが、冷却水の管理となる。
今回はその冷却水の管理について紹介していきたい。
サーモハウジングを交換したはずなのに…
今回来店されてお客様からの依頼内容が、
「2~3万km前にサーモハウジングを交換したけど、またクーラントワーニングが点灯した」
と、ご依頼があった。
このお客様は社長の知り合いでポルシェ911(991型)をプライベート用で所有しており、会社の通勤等の日頃の足としてゴルフ7.5 GTIに乗っている。
前回サーモスタットハウジングを交換したのは出先でクーラント漏れを起こしてしまい、近くの輸入車ショップで交換したという。
早速リフトに掛けようとエンジンが始動されたと同時に下廻りからクーラントが垂れてきた。
お客様曰く、補充しても10分足らずでクーラントワーニングが点灯してしまうとの事で車両を預かって漏れの点検を始めた。
クーラントの色がおかしい?
エンジンルームを開けてみると、クーラントタンクの異常に気づいた。
2.0Lエンジンは特にクーラントタンクが劣化し易くタンク自体にヒビ割れや汚れが目立ってくるのだが、今回は汚れ方がいつもと違っていた。
キャップを開けると白っぽい浮遊物がタンク内に浮いており、更にクーラント液と油分が分離している状況を確認できた。
この症状から予測できる事はエンジンオイルがクーラントの回路に混ざってしまい、その影響で白い浮遊物を生成したと思われる。
では、一体何処からエンジンオイルが侵入したか診断していく必要がある。
因みに預かったゴルフ7.5 GTIは2017年式で17万km走行しているが、まだまだシリンダブロックとシリンダーヘッドの間に挟まれているシリンダーガスケットが原因とは考え難かった。
車両をリフトに上げアンダーカバーを外してみるとエンジンオイル混入のヒントが残っていた。
エアコンコンプレッサー取り付け部にエンジンオイルらしき液体が付着していた。
この時点でほぼ間違いないだろうという箇所を特定した。
その箇所とは、
「オイルフィルターブラケット及びオイルクーラーのガスケット不良によるエンジンオイル混入」
と、オイル混入についてはこれが原因だと特定し、
クーラントワーニングについては、
「リビルト品サーモハウジングによる漏れと、オイルフィルターブラケットのガスケットからの2箇所からのクーラント漏れ」
と判断した。
この診断結果から必要となる作業がサーモハウジングの新品交換とオイルクーラー新品交換、その他ガスケット交換が必要になってくる。
整備料金を伝え、了承を貰ったので部品交換を進めていく。
サーモハウジングとオイルクーラー(オイルフィルターブラケットに取り付けられている)は共に繋がっているので同時進行で作業を進める必要があるので先ずをオイルフィルターブラケット外してからサーモハウジングを外していこうと思う。
こちらの記事でも紹介しているが、
先ずはエアクリーナー、チャージパイプを外していく。
ここまでは同じ作業であるが、オイルクーラーも外す必要があるので、エアコンコンプレッサー(エアコン回路からは外さない)をブラケットから外してフリーの状態にして、次にオルタネーターを外す。
※バッテリー端子を必ず外しておく
オルタネーターは4本のボルトとバッテリーへ繋がっているB端子、コネクターを外す必要があるのだが、全てを取り外した後にオルタネーターをエンジンルームから取り出すのが地味に厄介であった。
上から引き抜こうにもインテークマニホールドに引っ掛かって取り外せなかったので、下から取り外す事にした。(本来サーモハウジング交換時にインテークマニホールドを外すが別途部品代や工賃が掛かってしまうので外さずに作業している)
無事にオルタネーターを取り外すと下記画像の様な状態になり、オイルやクーラントが漏れて汚れが酷い状況となっていた。
サーモハウジングを取り外し、オイルフィルターブラケットを留めているトリプルスクエアのボルトを外す事が出来る。
オイルフィルターブラケットを外し、オイルクーラーを新品交換するにはT30で留まっているトルクスを4本外すとオイルクーラーを取り外す事が出来る。
またパサートの走行距離が17万kmと過走行の車両でもあり、オイルクーラー内部が劣化してエンジンオイルとクーラント回路が再び繋がってしまう可能性もあるので対策としてオイルクーラーも新品交換を実施した。
その他ガスケット類やウォーターポンプのベルトも新品交換し作業は終了した。
今回作業した内容は走行距離6~7万kmを超えた1.8Lや2.0Lエンジンを搭載したモデルを所有しているオーナーは是非一度ボンネットを開けてクーラントタンクを確認して欲しい。
※必ずエンジンをオフの状態かつエンジンは冷感時での確認をしていただきたい
またクーラントが漏れていた際は純正クーラント又は水道水での補充を推奨している。
交換工賃 65,000円
・サーモスタット ハウジング 110,000円 06L 121 111P
・ウォーターポンプ 21,000円 06L 121 012L
・オイルクーラー 31,500円 06L 117 021 G
・ガスケット 3,200円 06L 117 070
・バルブ 5,000円 06K 103 208 D
・ボルト 500円×4 N 911 976 01
・ガスケット 2,000円 06N 115 441
・オイルフィルター 3,800円 06L 115 562B
・トゥースベルト 3,888円 06K 121 605C
・ユニオン 2,376円 06L 121 131
・Oリング 1,256円 WHT 004 973
・Oリング 1,372円 N 907 653 01
・クイックカップリングピース 3,656円 5Q0 122 291AB
・クーラント 3,720円 G 12E 100 M2
合計 257,768円