エンジンを始動する度に「リヤトラフィックアラート」の警告灯が点灯する!?ゴルフ8でこの警告灯が出たらスピーカーが故障しているかも…
今年も宜しくお願いします。
インフルエンザの猛威に巻き込まれ、年末は何も出来ずただただベットで過ごす年越しとなってしまった。
相変わらず空咳が止まらず苦しい思いをしているが、少しずつ回復しているので今年は健康でいられる事を願っている。
さて、仕事納めの直前に珍しい故障が入って来たので紹介していきたい。
入庫してきたのはゴルフ8になるのだが、お客さんから言われた内容が、
「中古車で購入した後エンジンが掛かる度に警告灯やエラーが表示されて流石にもう耐えられない。鬱陶しいから何とかしてくれ」
とご依頼があった。
エンジンが掛かる度にと言われお客さんが撮影してくれて動画を見てみると、確かにエンジンが掛かる度にエラーが表示されていた。
警告灯は「リヤトラフィックアラートは現在使用出来ません」と表示されており、
コースティングモード時のエンジン始動や通常のエンジン始動でほぼ必ず警告表示されていた。
確かにこれは鬱陶しいな…と、 思いつつ車両診断に移った。
そもそもこの「リアトラフィックアラート」というアシストシステムは,
前向き駐車の状況で車両の左右が車両や障害物で塞がれ、後方が死角になっている場面でバックから発進する際に死角から接近してくる車両を検知した場合にモニターと警告音にてドライバーに注意を促すシステムで、ドライバーが注意に反応しなかった場合は自動的にブレーキを作動させる。
しかもこのブレーキは最大出力でブレーキキングするのでアシスト機能が作動すると、追突されたような衝撃になる。
※後方が死角でなくともバックした際に突然リアのパーキングセンサーに近づくとアシストシステムが作動する場合もある。
診断に移ると、0076パークアシストのECUに
「B1C41F0: リヤドライバーアシストシステム、音声出力 インフォテイメント、信号、妥当ではない」
「U112300: データバス、エラー値受信」
が入力されていた。
この故障コードの内容で、リヤトラフィックアラートやパーキングアシストを使用する際の音声を出すスピーカーが故障しているので、今回エラー表示されているだろうと推測を立てていたが、お客さんから見せてもらった動画内では警告音が鳴っていた事に気づいた。
また配線図を確認してもスピーカー配線とリアトラックフィックアラートエラーに繋がるような配線もなく悩んでいたが、1つ気になる故障コードがあった。
005F インフォメーションECUの故障コードの中に、
「B106513:左リヤ低音域ラウドスピーカー 断線」
の故障コードが入力されていた。
この故障コードと0076パークアシストのECUに記録されていた「B1C41F0: リヤドライバーアシストシステム、音声出力 インフォテイメント、信号、妥当ではない」は結び付くかもしれないが、配線図を見てもリヤスピーカーはインフォメーションECUと接続されていてパークアシストの際にはリヤスピーカーから音が出ていた。
スピーカーの接続コネクターには電源が来ているが、スピーカーからの音声は出ていないのでスピーカー内部不良ではあるが、、、
リアトラックフィックアラートとリヤスピーカーの関連性は確かにあるとは考えていた。しかしもう一押し欲しかったので正規ディーラーの友人に相談してみた。
すると、「ID.4やゴルフ8とかはアシストシステムにリヤスピーカーと連携するから、リヤスピーカーを交換するとその症状治るよー」
というアドバイスをいただいた。
さすが正規ディーラー…持っている情報量が段違いに違うな。。。
と思いつつ、友人に助けられた。
新車保証が切れてしまい有償整備となるので、料金を説明し了承を得たので作業へ移行した。
スピーカーの交換は1つ特殊な作業があるが、基本は簡単である。
先ずはドアトリムを取り外していくのだが、
ボルトを2本外し下側からトリムを浮かせ上に持ち上げるようにドアトリムを外していく。
ウインドウスイッチ、アンビエントライト、ドアケーブル等のコネクタを全て外すとスピーカーにアクセス出来る。
スピーカーは特殊なリベットと呼ばれる締め込み固定ではなく、かしめて物同士を固定する。
このリベットは再使用が不可なので電動ドライバーでリベットの頭を削っていく。
スピーカーは4箇所リベットで固定されているので、スピーカーの土台とツライチくらいになるまでリベットを削り、スピーカーを取り外していく。
※リベットを削り過ぎるとドアパネルを削ってしまう恐れがある。ドアパネルを削ってしまうとスピーカーが固定出来なくなりスピーカーからの雨漏れの原因となる
リベットはリベッターと呼ばれる工具で固定することができるので先端にリベットを差し込んでスピーカーをボディに固定していく。
スピーカーを固定し終えたら重要な作業がある。
ドアトリムのプラスチックビスが固定される箇所に養生テープ等を貼り付け、雨漏れの確認をする。
リベットの埋め込みが甘かったりスピーカーの取り付け具合が悪いと簡単に雨漏れするので、ドアを閉めスピーカーを交換したドアに水を当てて10~20分程度シャワーテストする。
シャワーテスト後、ドアトリムを取り付けて音声が出ることとエラー表示が消え故障コードの入力がない事を確認し作業は終了となった。
以下2021年式 ゴルフ8のリヤスピーカー交換費用となる。
•交換工賃及び診断料等 8,000円
•リヤスピーカー 15,000円 5H0035710
•リベット×4 100円 WHT005353
税込み価格合計 23,400円