ハンドルを触ってもドアロックが解除されない!?スマートエントリーの不具合とは?
便利過ぎるスマートエントリー
名前は知らなくとも機能としては、既に使っている人が多いと思われるこのスマートエントリーだが、最近の新車にはほぼ採用されている機能になる。
このスマートエントリーを説明すると、
リモコンキーをポケットやバックに入れたまま車両の開閉ができ、ボタンを押すだけでエンジンの始動が可能になる。
過去に乗っていた、DB9、グラントゥーリズモ 、ゴルフはリモコンキーでドアの開閉とエンジンの始動が必要になったが、先日納車されたCクラスではスマートエントリーが採用されているのでハンドルをタッチするだけでドアを施錠する事ができ、ハンドルに指を通せばドアが開いてくれる。
あまりにも便利過ぎるので、次回もスマートエントリー採用の車を購入しようと思うほどだ。
今回、お客様に言われて不具合は以下の通りになる。
「『キーバッテリーを交換して下さい』と表示が出たから自分で交換したらスマートエントリーが使えなくなった。」
とご要望をいただいた。
故障診断に移っていくが、今回はキーリモコンのボタンでの開閉はできるという特殊な条件である。
診断をしていくが、キーの検出は車両のアウタードアハンドル内にセンサーが組み込まれている。「ドアを開く為にドアハンドルとドア隙間に手を入れる」
又は
「車両をロックする為にドアハンドルの窪みをタッチする」
この両方の動作を検知し、キーリモコンがドアハンドルから約1.5m範囲にある場合にドアの開閉が行われる。
そして覚えていただきたい重要なポイントが2つある。
運転席を除くドアハンドルは、車両をロックしてから約30時間が経過するとセンサーの反応を止め機能を停止する。
また運転席側のドアハンドルは約90時間後にセンサーの反応がしなくなるように制御される。
これらは全てバッテリー上がりを防ぐための制御なので異常ではない。
ご依頼のお客様は、車両をロックした後にキーバッテリーを交換したらしく最初は私はこの制御によるものかと思っていた。
しかし、20時頃に車両をロックし次の日の10時頃にスマートエントリーにてドアを開けようとしたらドアが開かなかったという。
この間約14時間であるが、先程説明した制御の内容には当てはまらない。
動画を見ていただきたいが、ドアロックをした後にドアハンドルに手を入れてもスマートエントリーが反応しない状況である。
因みに診断機はドアアウターハンドルの故障コードは入っていない状況である。
キーバッテリーを新品交換しても症状は変わらない…次にアウターハンドルの配線回りを確認してみるが配線が撚れていたり被膜が破れて配線間ショートを起こしている状態でも無かった。
どうにもいかないまま、預かりから2日経ってしまったので正規ディーラーメカニックの友人に助言をもらう事にした。
そうしたら思いもしなかった回答が返ってきた。
その内容とは、
「キーバッテリーを新品交換する前に、キーリモコン本体の余剰電力を放出しないといけない」
とのことだった。
最初は良く分からなかったが、キーバッテリーの電力が無くなった後にキーバッテリーの交換を行うと稀にキーリモコン側がキーバッテリーが交換されたと検知が出来なくなり、スマートエントリーの機能のみ使用が出来なくなるという。
なのでそのキーバッテリーの余剰電力を放出しないといけないが、方法は至って簡単である。
使用する工具は精密マイナスドライバーのみである。(下記動画は100均のマイナスドライバーを使っている)
動画を参照して欲しいが、キーバッテリーを抜き取ったキーリモコンの開閉ボタンどちらかを10秒程押し続ければ良いとのこと。(動画内は時間短縮の為、3秒程度しか押していない)
押し続けた事により、キーリモコン内の余剰電力が消費されキーバッテリーが新品交換されたと検知されるそうだ。
・ゴルフ7.5
・ゴルフ トゥーラン(5T)
・ポロ(6C)
・ティグアン(AD)
・ゴルフ8
・パサート(B7)
・パサート(B8)
・ポロ(AW)
・ザ ビートル
・シャラン
・Up!
・アルテオン
・T‐ROC
・T‐CROSS
・ID.4
預かった車両を教えてもらった方法で試してみると、スマートエントリーの機能が復活した…
たった10秒程で終わる作業に、今回は通り道をし過ぎてしまったがまた1つ勉強になった。
※今回はT-ROCで症状が発生した。
T-ROCの年式は2022年式で、高年式というのもあって非常に稀なケースと友人が言っていた。
しかしゴルフ7やゴルフ7.5ではスマートエントリーが効かなくなった車両を多々見かけたというので、今後ご自身でキーバッテリーを交換する時は是非試して欲しい。