パサート(B8)

ゴルフ7、トゥーラン、パサートのエアコン吹き出し口から風が出ない? 夏本番前にエアコンの基本調整とフラップモーター交換を!

Yuu

エアコン吹き出し口から風が出ない?

車齢が10年近くに達すると、車両にはさまざまなトラブルが少しずつ発生し始める。

特に、夏が近づくにつれて増えるのがエアコン関連のトラブルになる。エアコンが効いていても、希望する吹き出し口から風が出ない場合、体温調節がうまくいかず、運転中のストレスが増大する。

これは快適なドライブを妨げるだけでなく、特に暑い夏場では安全運転にも影響を与える可能性がある。

エアコン吹き出し口から風が出ない原因は多岐にわたるが、近年特に多く見られるのが「フラップモーター」の故障になる。

フラップモーターは、ブロワーモーターが作り出した風を顔、足元、またはフロントウィンドウ(デフロスター)へと適切に切り替える役割を果たしている。

このフラップモーターが故障すると、フラップが全開または全閉の位置で固定されてしまい、風の流れを制御できなくなる。

特に、全閉位置で固定されるケースが多く、希望する吹き出し口から風が出なくなる症状が発生する。

今回は、ゴルフ7、トゥーラン、パサートのエアコンフラップモーター交換について、具体的な手順や注意点を紹介していく。

ゴルフ7 / パサート:フロントディストリビューションフラップモーター交換

ゴルフ7
パサート B8

症状と診断

ゴルフ7やパサートでよく見られる症状の一つが、

「中央の吹き出し口から風が出ない」

と、いう不具合が発生しやすい。

エアコンのコントロールスイッチを操作すると、足元やデフロスター(フロントウィンドウの曇り止め)からは風が出るものの、真ん中の吹き出し口からは全く風が出ないというケースになる。

このような場合、フロントディストリビューションフラップモーターの故障が疑われる。

診断機を使用して車両診断を行うと、以下のような故障コードが記録されていた。

「B109171:フロントエアディストリビューションフラップモーターコントロールエレメント 固着」

「B109915:フロントエアディストリビューションフラップモーターポテンショメーター断線、プラスへのショート」

診断機でフロントディストリビューションフラップモーターの作動点検を行ったところ、他のモーターは正常に動作しているのに対し、フロントディストリビューションフラップモーターは全く動いていなかった。

さらに、モーターに接続されている配線の電源を点検したところ、電源供給に問題がないことが確認でき、モーター内部の不具合が原因と判断した。

フラップモーター交換手順

ゴルフ7やパサートのフロントディストリビューションフラップモーターは、グローブボックスを取り外すことでアクセスが可能。

交換前に必ず確認しておくのがフラップモーターのメーカーである。

フラップモーターはValeoとDENSOの2社で製造されており、正常な作動を確保するには同一のメーカーのフラップモーターを取り付けが必要になる。

なので交換前にはフラップモーターのメーカーを確認する。

※車種によっては新品のフラップモーターが2社統一された物もある。

エアコンフィルターを外す時と同様にグローブボックスのツメを2箇所解除する。

斜め右上を覗くとフラップモーターが見えるのでフラップモーターのメーカーを確認しておく。

メーカーを確認後、適合するフラップモーターを準備する。

Valeo製
DENSO製

以下に、グローブボックス取り外しとモーター交換の手順を説明する。

グローブボックスの取り外し
グローブボックスを開き、以下の手順で作業を進める。

グローブボックス上部のT20トルクスビス3本のうち、左右の2本を外し落下防止のため、真ん中のビスは残しておく。

続いてグローブボックス下部のT20トルクスビス2本を取り外し、特殊工具を使用してインフォメーションECUを取り外してミニマイナスドライバーで配線を慎重に外す。

インフォメーションECUがあったスペースをライトで照らすと、奥にT20トルクスビス1本が見える。これを取り外す。

ETCユニットのカバーをプラスチックベラ(プラベラ)で外し、グローブボックスライトを下方向に押して取り外す。その後、ETCユニットを前方に引き、配線から接続を外す。

左側のダッシュボードパネルをプラベラで外し、T20トルクスビス1本を取り外す。

次に、エアコンコントロールユニットのカバーを下から外し、T20トルクスビス1本を外しセンタートリムをドア側に引っ張る。

最後に残していたグローブボックス上部の真ん中のT20トルクスビスを外し、ダッシュボードトリムのツメを解除してグローブボックスを取り外す。

フラップモーターの交換

グローブボックスを取り外すと、右奥にフロントディストリビューションフラップモーターが見える。このモーターはT15トルクスビス2本で固定されている。

ビスを外し、コネクターを解除。故障したモーターを取り外す。

新品のフラップモーターを装着し、コネクターを接続する。

フラップモーター交換後、エアコンの「基本調整」を行うことが重要になる。

長期間使用していると、温度設定に対するフラップの基準位置がずれてしまうことがある。

基本調整を行うことで、フラップモーターを正しい基準位置にリセットし、最適な風の流れを確保する。診断機を使用して調整を行い、正常に動作することを確認する。

フロントディストリビューションフラップモーターを交換後、真ん中の吹き出し口から正常に風が出るようになり、症状は完全に改善された。

フロントディストリビューションフラップモーター 交換工賃

2016年式 ゴルフ7 フロントディストリビューションフラップモーター交換
部品名、料金、純正部品番号

•交換工賃及び診断料等 4,000円

•フロントディストリビューションフラップモーター 22,000円 5WA907511


税込み価格合計 26,000円

トゥーラン:デフロスターフラップモーター交換

トゥーラン 5T

症状と診断

次に紹介するのは、トゥーランのデフロスターフラップモーターの交換になる。

お客さんから、

「寒い日にフロントウィンドウの曇りが取れず、視界が悪く怖い思いをした」

という相談を受けた。

このような場合はデフロスターフラップモーターの故障が疑われる。

診断機を使用してデフロスターフラップモーターの作動確認を行ったところ、エアコンスイッチの操作に連動してモーターが全く動かないことが確認された。

測定値も変化がないのだが、配線の点検はダッシュボードを下ろさないと点検が出来ないためモーター本体の不良と仮定し作業を進めた。

フラップモーター交換手順

トゥーランのデフロスターフラップモーターは、ダッシュボードを下ろさないとアクセスできないため、作業はやや大掛かりになる。

ハンドル周り、センターコンソール、グローブボックスを取り外す。

これにより、ダッシュボードを下ろす準備が整う。

ダッシュボードを固定しているビスやAピラーとリムを慎重に外し、ダッシュボードを下ろす。

ダッシュボードを下ろすと、デフロスターフラップモーター(吹き出し口右側の青い部品に取り付けられている)が見える。

このモーターは、フロントウィンドウに風を送るためのフラップを制御する。

以下デフロスターを操作している動画になるが、操作しても吹き出し口右側の青いギヤ機構が全く動かない状態である。

故障したフラップモーターを取り外し、新品と交換。交換後、配線を接続し基本調整に移る。

交換後、診断機を使用して基本調整を行い、フラップモーターが正しい位置で動作するように設定する。

下記動画は基本調整の動画になるが、

動作確認では、吹き出し口右側の青い部品がスムーズに動くことが確認できた。

これにより、フロントウィンドウへの風の流れが正常に機能するようになった。

ダッシュボードやその他の部品を元通りに取り付け最終確認後にお客さんへ返却となった。

デフロスタフラップモーター交換工賃

2018年式 トゥーラン デフロスタフラップモーター交換
部品名、料金、純正部品番号

•交換工賃及び診断料等 35,000円

•フロントディストリビューションフラップモーター 22,000円 5WA907511B


税込み価格合計 57,000円

エアコン修理のポイントとアドバイス

定期的な点検の重要性

車齢が10年近くになると、エアコンシステムの経年劣化が進む。

特にフラップモーターは、日常的に動く部品であるため、摩耗や故障が発生しやすい部品。夏や冬のシーズン前に、エアコンの動作確認を行うことをお勧めする。

フラップモーターの故障は、診断機を使用することで正確に特定できる。

基本調整の必要性

フラップモーター交換後は、必ず基本調整が必要になる。これにより、フラップの位置が正確に設定され、エアコンの性能を最大限に引き出せる。

自身でフラップ交換を行なった場合にも、後日正規ディーラーかプロショップにて基本調整を行っていただきたい。

信頼できる整備工場や正規ディーラーに相談し、適切な修理を受けることで、長期的な安心が得られる。

まとめ

ゴルフ7、トゥーラン、パサートのエアコン吹き出し口から風が出ない場合、フラップモーターの故障が原因である可能性が高い。

ゴルフ7やパサートではフロントディストリビューションフラップモーター、トゥーランではフロントディストリビューションフラップモーターやデフロスターフラップモーターの交換が必要なケースが多く、適切な診断と作業で問題を解決できる。

暑い夏や寒い冬を快適に過ごすためにも、エアコンの不具合を感じたら早めに点検を行ってほしい。

特に、フラップモーターの交換後は基本調整を忘れずに行うことで、エアコンの性能を最大限に発揮できる。

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ABOUT ME
Yuu
現在30歳の男性。フォルクスワーゲンのプロショップでフロントスタッフをしています。 アストンマーティンDB9、マセラティ グラントゥーリズモを所有していました。 現在はメルセデスベンツ Cクラスに乗っています。 いかに安く維持するか日々節約との勝負でその奮闘記やちょっとした整備や雑談を紹介したいと思っています。

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