ゴルフ7、ポロ、トゥーラン、ティグアン、パサート、ビートルの冷却水警告灯点灯が多すぎる。ウォーターポンプ交換の費用とその対策とは?

ウォーターポンプは必ず漏れる。

過去の記事をたまたま見返していた時に、ウォーターポンプの記事を書いていなかった事に気づいた。
今更ではあるが工賃と部品代、作業内容も含めて紹介していきたい。
先ずは、一言言っておきたい。

フォルクスワーゲンの約7~8割の車両は冷却水漏れのトラブルが発生する…漏れが起きるのはどうしても防げない、、、
と考えて欲しい。
率直な私の内なる想いであるが、本当に漏れてしまうのでどうしようもない。

フォルクスワーゲンってそんなに品質が悪いの?
と、思うかもしれないが冷却水冷却水のトラブルに関しては品質が悪いと断言が出来る。
過去に2.0Lターボの記事も複数紹介しているが、

今回はベースモデルの1.0L(ポロ,T‐CROSS,Up!)、1.2Lと1.4Lが共通のウォーターポンプなのでその交換作業を紹介する。
エンジンの型式はCJZ、CPT、CHP等があるが、ボンネットを開けて以下の2種類のエンジンの写真に似ていたらウォーターポンプによる冷却水漏れのリスクがあると考えて欲しい。


そして、他のエンジンもウォーターポンプが漏れるので今後紹介していく。
フォルクスワーゲンの流通量も多いせいか月に3~4台は私のショップに入庫してくる状況だ。
先日も交換したので、お客様との問診時に

「冷却水を点検して下さい!取扱説明書参照」とメーターに表示されたから水を足しておいたが、1週間経ってまた点灯したから持ってきた
と言われたので冷却水の漏れ確認を実施した。
今回はゴルフトゥーランでのクーラントワーニング点灯であったので、先ずは漏れの事例が多いウォーターポンプの漏れを確認する事にした。


その他にも比較的珍しいポロ(AW)もクーラント漏れが発生するので注意していただきたい。

ウォーターポンプの漏れを確認するのは簡単でエンジンとバッテリーの間を覗き込むとギヤボックスハウジング上部が見える。

そのハウジング上部にクーラント溜まりが出来ていたらほぼ9割の割合でウォーターポンプからの漏れが発生している。

先ずはディーラー等に入庫するためにはクーラントを補充しないといけないが、
決してイエローハットやオートバックス等で販売しているクーラントで補充しないでいただきたい。Amazonなどで打っている純正クーラントか水道水(アルプスの天然水のようなミネナルウォーターはNG)で補充してから走行していただきたい。
クーラントの補充は必ず冷感時(エンジンはOFF)で行って欲しいが出先の場合で漏れてしまった場合は、エンジンOFFの状態でゆっくりとクーラントタンクのキャップを開けて「プシューッ」と圧が抜けたら1~3分ほど放置してからクーラント回路の圧力を落ち着かせてから純正クーラントか水道水で補充して欲しい。
なのでトランクに2Lペットボトルを用意し水道水を入れて積み込んでおくだけでも安心なのでこの記事を見た後にでも直ぐ実行していただきたい。
この漏れを長期的に放置すると小さな金網になっている部分に少しずつクーラントが侵入してしまう。

この金網の下にはフライホイールやDSGマルチプルクラッチが取り付けられてあり、クーラントが付着する事によって錆が発生する原因ともなってしまうので、後々加速時や発進時にジャダという振動が発生し最悪の場合フライホイールが破損してしまう。
交換工賃も40万円以上の出費となってしまうので、漏れを見つけた際には直ぐに交換することをオススメする。
お客様に料金を提示し了承を得たので作業を実施していく。
先ずは10mmソケットと13mmソケットを使ってバッテリーとバッテリーブラケットを取り外す。

バッテリーが取り外し終えたらエアクリーナーとインテークパイプを取り外すのだが、インテークパイプは非常に固く取り外しづらいのでマイナスドライバーを使ってツメを開きつつ上側に力を入れてパイプを2箇所取り外す。





※ツメが1箇所割れてしまっても取り敢えずは問題ない
インテークパイプを取り外すと、ブローバイパイプの取り外しが可能になるのでT30のトルクスボルトを2本外してパイプを取り外す。


次にツースドベルトカバーのボルトを2本外して、浮いている状態にしておく。

その後ウォーターポンプのパイプを5本取り外すと、ウォーターポンプの取り外しが可能になる。

ウォーターポンプ本体は5本のロングトルクスで取り付けられているので、T30のソケットで外していく。
5本外し終えたらウォーターポンプを取り外していくのだが、ゴムシールが固着しているのでやや力を入れて取り外す。

取り外し終えたらシリンダーブロックに残っているゴムシールや汚れを清掃する。
清掃を終えたら新品のウォーターポンプを取り付けていく。

ここでエキゾーストカムシャフトを上死点に合わせる必要があるのだが、特に気にする必要はない。
新品のベルトとウォーターポンプを取り付けるのだが、ツースドベルトカバーのボルトは閉めずに外す前と同じ状態にする。

ツースドベルトをウォーターポンプとカムスプロケットに掛けて手締めでT30のボルトを5本締めていく。
手締めで締めたら先ずは5本全て10N•mで締める。その後もう一度トルクが抜くような感覚でボルトを外しシリンダーブロックとウォーターポンプにあたりをつける。
ウォーターポンプにヘックスソケット10mmを差し込む箇所があり、そこにヘックスソケット差し込んで40N•mの力を掛けながら番号順にトルクを締めていく。


順番は②→①→⑤を10N•mで締め付けて、最後に③→④→⑤→①→②の順番で12N•mで締め付けていく。

締め付け終えたら抑えていたヘックスソケットを緩め後は取り外した逆の順序で組み上げていけば作業は終了となる。
最後にポロ(6C,AW)やゴルフトゥーラン、ティグアン、ビートル等でも同様のクーラント漏れが発生しているが対策という対策はないが、


このウォーターポンプの漏れが多発している原因は都市部ではちょい乗り(10~20分の走行)が多くエンジンが完全暖気にならないままエンジンが再度冷えてしまうのでゴムシール部がしっかり湿らず固着の原因となる。
その他にも多い要因として、
エンジンを掛けるのがそもそも2~3週間に0~2回程度の走行であり、ゴムシール部が乾燥してしまいゴムの硬化が進行しクーラント漏れが発生する。
またはウォーターポンプのスプロケット軸部からオイル滲みが発生するのだが、これもエンジンを掛けずに同じ向きにベルトの力が掛かってしまい長期放置の結果、僅かな隙間が生まれオイル漏れに繋がってしまう。

もちろん毎日乗っていても、ウォーターポンプの品質が悪く漏れてしまうパターンもある。
絶対に漏れないようにする事は不可能ではあるが、日頃の積み重ねでゴムシールの劣化は遅らせることはできる。
乗らない期間が多いのであれば、週に1~2回はエンジンを掛けてアイドリングで30分程度放置しておくだけでもウォーターポンプが回転しクーラントも循環され、バッテリーも充電されるので乗らない期間が多いのであれば是非試しておいて損は無い。
以下、2016年式 ゴルフトゥーランのウォーターポンプ交換費用になる。
•交換工賃及び診断料等 25,000円
•ウォーターポンプ 47,000円 04E121600CS
•ツースドベルト 5,000円 04E121605E
•クーラント 3,500円 G 12E100M2
税込み価格合計 88,550円